ほぼ一週一ネタgoo

2016年の投稿を最後に滞っていたブログを提供元の閉鎖を機に引っ越し。今後の更新は不明瞭。

年下の訃報

2024-10-31 15:56:17 | 芝居

 去年から今年にかけて、訃報が連続したのだが、それは全部年上だった。年下の訃報は辛い。しかもそれが、何度か役者として出てもらったこともあり、スタッフを手伝ってもらったこともあったりすると、その辛さもひとしおである。
 しばらく前には、演劇関係者の、さらに若い子の訃報もあり、とにかく自分より若い人の訃報はなるべく聞きたくないモノなのだ。
 珍しい人から電話があった、と思ったら訃報である。予想だにしなかったことで、しばし呆然とした。
 彼女はクールビューティーという言葉がピッタリくるような人柄で、さっぱりしつつ率直で、でもなんだか独特の色気があって、はにかむような笑顔が素敵な人だった。
 架空の劇団第6回公演「夜の完成見学会」は、住宅展示場の中で上演した作品だった。 住宅展示場だから、家を建てようとする人たちや、工務店の営業なんかがいたり、やって来たりするわけで、折角の本物だから、開場時刻を1時間半前にして、タイトル通り「夜の完成見学会」として内部を見学してもらったりしたのち、そういう人たちが登場する芝居にした。
 彼女は、リストラされて失業中の夫と一緒に見学に訪れた妻の役どころで、頼りない夫に冷静で的確なツッコミを入れる。辛辣だが愛情は感じられるという、なかなか複雑な役柄なのだが、これはむしろ彼女に書かされた役柄だったかもしれない。
 夫役Tさんの、トボケた愛嬌のある返しが、良い具合にハマり、味わい深い夫婦になった。例えばこんな感じ。

ひばり なにやってんの?
雪彦 え? 輪投げ。
ひばり そりゃ見ればわかるよ。
雪彦 うん。
ひばり 遅いよ。
雪彦 あ、ゴメン。
ひばり なんで無職なのに遅れるのよ。
雪彦 いや、掃除して夕飯の準備してたら・・・。
ひばり 今日は外で食べるって言ってたじゃない。
雪彦 そうだっけ?
ひばり 間抜け。
雪彦 ・・・はい・・・。
ひばり なんか良い知らせないの?
雪彦 え?
ひばり 就職決まったとか、宝くじ当たったとか、遺産入ったとか。
雪彦 いや、ないけど・・・。
ひばり 穀潰しだね。
雪彦 ・・・うん・・・でも、遺産入るのはいい知らせか?
ひばり ものの例えよ。
雪彦 うん・・・。
ひばり ここ、求人出してるみたい。
雪彦 ここって?
ひばり ここ、この、なごみホーム。
雪彦 ああ・・・。
ひばり 受けてみたら?
雪彦 いやあ・・・。
ひばり どうしてそうあんたは危機感がないのよ!
雪彦 いや、あるよ、あるんだけどそれが態度に出ないんだよ!
ひばり じゃあ出してよ、危機感!
雪彦 えぇ? そんな、出せって言われても・・・。
ひばり 帰る。

          ひばり、帰ろうとする。
          
雪彦 ちょっ、ちょっと待ってよ! 

          ひばりの腕をつかむ。
          
雪彦 折角来たんだからちゃんと見ていこうよ。
ひばり だって・・・。
雪彦 じゃあまず、輪投げやろう! 輪投げ!
ひばり 何であたしが輪投げやんなきゃいけないのよ!
雪彦 楽しいよ輪投げ、ほら、センターフリップ、サイドフリップ。
ひばり 何よそのセンターフリップって?
雪彦 投げ方投げ方。
ひばり なんであんたはそんなに輪投げに詳しいのよ!

とまあ、こんな感じである。
今はご冥福をお祈りするしか出来ない。悲しい。


北のまほろば祭り2

2024-10-25 17:46:18 | 芝居

 今年の春頃、青森の渡辺源四郎商店(劇団である)から、「北のまほろば祭り2」に出演してくれないかというお話が来た。10月に劇団の本公演があるので、12月くらいだったら行けるかなと思い、そんな返事をした。
 30分くらいの芝居をやってくれると良いらしい。ちなみに、そんな作品は、なくはないが、それなりに手間がかかる。というか、何人か出演することになる。ギャラもそれほど出るわけではないので、人数はできる限り絞りたい。となると、オレが自分で出て、30分持たせられるような、そういう演目の方が良い。
 そんなオレには、1つやってみたいことがあった。
 ことは、2021年に遡る。さらに遡ること3年、映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見た後、にわかに歌番組でも島津亜矢が歌ったり、氷川きよしが日本語訳で歌ったりしていた。でまあ、英語で歌うのも大変だなぁと思っていたのだが、日本語訳はより大変そうだなぁと思っていたのである。
 日本語の歌は基本的に1文字1音で作られていて、英語の翻訳は、大体字余りになる。音は5つしかないのに、文字数は10になってしまう、みたいなことが良くあるのだ。また、英語の歌は、韻を踏んでいることも多く、普通に訳すと、韻は大体消滅してしまう。特に、フレーズの最後で伸ばす音の母音が違っていると、なんか変な感じがしてしまう。
 そこらへんの事情を上手く翻訳して日本語の歌詞を作ったのが「アナと雪の女王」の主題歌である。「Let it go,Let it go 」を「ありのー、ままのー」と訳し、伸ばす音の母音を合わせ、前後で意味を取る仕組みになっている。
 このあたりをお手本として、横目で「デイドリームビリーバー」のタイマーズ版や、「アローンアゲイン」の有頂天版を見ながら「ボヘミアン・ラプソディ」のオリジナル訳を誰に頼まれることもなく始めたのである。
 まあなんというか「ボヘミアン・ラプソディ」を気持ちよく日本語で歌ったみたかったわけですね。それが2021年のこと。この年は息子が受験なので、寝室を勉強部屋として明け渡し、夜な夜な翻訳作業にいそしんでいたのである。
 英語が得意なわけでもないので、英語と和訳を見比べ、英語の母音を拾い上げて、意味と韻を両方取れることを理想としながら、意訳をしていく。韻も意味も完全に合わせることは難しすぎるので、ある程度諦めるところもあり、大胆に変えるところもあり、まあ、そこらへんはやりたいようにやって、ちょっとウケを狙ったりというところもあり、そんな感じで訳していった。
 そんな作業がハタと止まったところがあった。それが「Beelzebub」である。これ日本語に訳せば「蝿の王」ということになり、文字数は1つ余るが、最後の母音は合っている。だが、何となくしっくり来なかった。そこで3年停滞した。
 「北のまほろば祭り2」のオファーが来て、すぐにやったのは、コーラスを含めた伴奏を作ってくれる音響スタッフをお願いすることだった。運良く水井米くんが引き受けてくれたのだが、あとで、ちょー七面倒くさい作業に苦労することになったのは、まあ、そんなこともあるだろうなと。
 とまあここも長くなったので、続きはしばらく後に。


キャスト交代

2024-10-19 17:04:06 | 芝居

 多分2週間前にキャストを交代するという事態は、初めてのことだったと思う。諸般の事情により、架空の劇団第27回公演「白い象のあぽかりぷす」に急遽出演するということになった。
 ここに至る過程は、いろいろと問題もあるので詳細は控えるが、久しぶりに心身に負担のかかる決断だった。そして、実際出演するもんだから、そこらへんの負担も久しぶりだった。
 まあ、負担と言ってるけど、それ相応の楽しみというか、リターンもあるわけで……。思ったよりもセリフが入っていたのが救い。さすがに2週間前に、ラップもアリの振付もアリの出番もかなりアリの、という役を誰かにお願いするのも忍びない。
 というわけで、自劇団の本公演に出演する事態は、かなり久しぶりとなった。もっと早いうちに決断しとけば良かったとも思ったが、それはそれ、なんとかなるのではないか、出来るのではないか、といった希望的観測を信じたかったのである。
 何の役かというと「キノコ」である。ラップも振付もセリフもあるキノコである。しかも、途中から歩き始めるという荒唐無稽である。地上を覆い尽くすキノコネットワークが、砂漠や海、果ては月にまでそのネットワークを広げようとするのである。
 こうやって書いているとまったくもってなんだかよくわからないが、芝居を見ると、多分何となく、なんかわかったような気になってくれるだろう、という期待はある。
 1ステ目、2カ所ほどセリフが飛んだ。じっとりとした間が出来てしまう。なんとか周りの役者の協力を得て、力業でクリアしたが、反省することしきり。しかしながら、まずまず観客の反応も良く、笑いを取るべきところでは取れていたので良しとしよう。2ステ目以降は、セリフは飛んだモノの、じっとりした間が出来ることはなく、コロコロと芝居は流れた。
 やはり本番とお客さんの力は偉大である。個人的に「本番1回は、稽古10回分」くらいの密度があると思っていて、本番は重ねるごとにその出来は向上していくモノだと思う。これが10回、20回と本番を重ねていくと、飽きてくるとか、自己模倣に陥りがちになることもあるだろうか?
 そんなことを考えながら、なんとか本番を終えたが、実は次が控えているのである。青森の渡辺源四郎商店(劇団である)からのお誘いで「北のまほろば祭り2」に出演が決まっている。12月の7、8の2日間、30分くらいの独芝居的なものをやる予定なのである。
 その内容はどんなものかというと……長くなりそうなので次に続く。


ヒグラシの衝撃

2024-10-05 15:40:17 | 動物

 10月2日にゆぴあすに行った。ここに行く目的はサ活である。

 https://blog.goo.ne.jp/abusann/s/%E3%82%B5%E6%B4%BB

 まず最初に身体を流し、露天に身体を沈める。今年の夏は長かった。しかし、さすがに10月である。日中に半袖になることはあっても、もはや夏ではなかろうと思っていたが、そうでもなかった。
 時刻は4時くらい。夕方の風情は漂っているが、まだ暗くなるほどではない。目の前は森ってほどでもないが、木々がそれなりに生えていて、当然のように自然豊かである。まずはゆったりと身体を温めていると。

「カナカナカナカナ」

 ん? ヒグラシ? え? 10月だよ? 

「カナカナカナカナカナ」

 間違いない! ヒグラシである。10月2日にヒグラシかぁ・・・衝撃だった。
 八日目の蝉どころではない。10月のヒグラシである。もはやお相手はいないかも知れないのに、夏の夕方風情の鳴き声が響き渡っている。
 こりゃ驚いたね。と、ひとしきり驚いたところで、ちょっと柔軟体操をしてみる。
 ここの露天はわりと空いていて、迷惑がかかる人はいない。そんなわけで温まった身体でゆっくりと身体をほぐす。足を前後に開いて前の足を曲げ、ふかく腰を落とし、腸腰筋あたりを伸ばす。
 そして、開脚をしてゆっくりと角度を広くしていく。
 そのときだった。
 浴槽脇の椅子で涼んでいたおじさんがオレに声をかけた。

「スゴいですね、足、開きますね」

 急なことだったので、オレもアタフタしそうだったが、風呂の中ではリラックスしてるので、落ち着いて答えた。

「いやあ、温まると柔らかくなるんですよ」

 オレにはヒグラシが衝撃だったが、そのおじさんにとってはオレの開脚が衝撃だったのだろうか? 思わず話しかけずにはいられないような。そういやオレもこの間、カモシカ見て女子中学生に声をかけたのだった。


野生動物天国

2024-09-28 21:36:15 | 動物

 岩手は今年もクマが街中とかに出たり、結構被害があったりと、野生動物とうっかり出合ってしまうのだが、近所を散歩しててもそういうことがある。
 まだ夏の頃に出合ったのが子ダヌキ。
 中央公民館の裏に、自転車と歩行者専用の道路がある。この遊歩道はなかなかすぐれもので、4号線から山岸6丁目までつながっている。山岸のバス通りの裏道といった風情で、水路はその道に沿って流れている。
 幅1メートルくらいの水路に落ちたんだと思うが、上がるルートが見当たらなかったのだろう。てくてくと悲しそうな顔をして水路の中を歩いていた。
「あ、子ダヌキ」
 と思って助けようかなと思ったのだが、近づくと
「ウウーッ」
 と威嚇するので、そのまま心の中で(なんとか頑張って這い上がれよ)と思って通り過ぎた。水位は低く、足が濡れてるくらい。そんな子ダヌキの写真。

  U字溝で壁は垂直だから、なかなか這い上がれないだろうなぁ。

 山岸に住んでからタヌキを目撃するのは都合4度目くらいか。夜中の道路で、以前住んでいた貸家のすぐそばで、里に近い動物なので、案外見かけることはある。ハクビシンは、専立寺で稽古してたら前の道路で轢かれていた、ということもあった。
 夜中の道路を横断するハクビシンを見たときは、一瞬何の動物かわからず、尻尾の長さとか、大きさとかで後から判断した。
 カモシカは、息子を寝かしつけるために、抱っこして近所を一回り散歩して帰ってきたときに見かけたのが早20年前くらい。それから16年、2度目の目撃は夜の7時頃。そして3度目はご近所の鎮守岩谷稲荷神社の前を散歩していた昼下がり。

 のんびりと草を食む、カモシカの親子のようだった。こちらを見ても驚くでもなく逃げるでもなく、あくまでも自然体である。これはチャンスと写真と動画を撮影し、散歩を続けようとしたら、中学生の女の子が帰宅途中だった。つい、
「カモシカいるよ、ほら、そこ」
 と教えてあげたら、斜面を見上げ、
「怖っ」
 と言って去って行った。
 まあ、野生動物は怖いんだろうなぁ。