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山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

鷲羽・水晶・雲ノ平・三俣蓮華・双六エピローグ~遭難考

2013-10-21 | 山行~北アルプス

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雲ノ平山荘から満月を見る(9月20日早朝)

2013年9月19日(木)に雲ノ平山荘に泊まった。そのときに同室の年配夫婦から聞いた前日の遭難騒ぎについて記しておこう。同室の年配夫婦は、この日で2泊目ということだった。

18日(水)16時半頃、70代男性が雲ノ平山荘に到着。女房があとから来るからと2人分の宿代を払って到着を待ったという。たまたま同室となったこの年配夫婦は、なかなか来ませんねえと、案じたものの、男性は意に介することもなく、いつものことだからと平静を保っていた。しかし、日が暮れてきても、いっこうに到着しない。

さすがに食事も済ませてしまうと、皆が心配になってきた。年齢も70代。山の神と私も前日水晶小屋に泊まっていたときに、小屋のスタッフが無線で応答する一部始終を聞いていた。「道に迷っている? こちらには来ていない」と。だれかが小屋に到着できずにいる。たいへんだ。遭難なのか?と思ったわけだ。

日がとっぷり暮れてから、捜索活動は始まった。雲ノ平山荘のスタッフが3人で、ご主人が口にしたコースをたどっていく。二重遭難を避けるため、ご主人には山荘に残ってもらう。その日は月の明かりが皓々と辺りを照らしていて明るかったのが、幸いした。

70代の奥さんは、祖父岳のふもとでうずくまり、誰かに見つけてもらいたくて、笛(ホイッスル?)を吹いていたという。日没後は冷え込んだから、防寒着を重ね着し、ビバークするつもりになっていたようだ。山荘のスタッフが笛の音に気づいて、無事保護。山荘には、22時半頃到着した。

そもそもなぜこんなことになったのだろう。聞いてみると、ご主人の亭主関白ぶり、横暴に驚かされる。奥さんと一緒にいたのは、三俣山荘までだという。そこから自分だけ振り返りもせず、スタスタ歩いて雲ノ平山荘に来たのだ。まるで単独行ではないか。

その話を聞いて、山の神とあきれ返ってしまった。いまどきそんな人がいるとは……

この話をしてくれた年配夫婦は、いたって仲良しで、最後にこう締めくくった。うちの女房はひざが悪くてね、調子が悪いとどんどん遅れるから、今日は何度も何度も振り返ったよと旦那さん。照れ笑いをしていた。

けれど、遭難しかかったこの70代の奥さんは、今後どうするのだろう。ご主人とはもう2度と山に行かなくなるのか、あるいはご主人が心を入れ替えて再びいっしょに山に行くのだろうか、どちらなのだろう。

夫婦で歩かれている方、奥さん(旦那?)が後ろから、ちゃんとついて来ているか、時々振り返りましょうね。

 

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Part3~水晶岳・雲ノ平へ戻る
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