遠い遠い空の彼方の小さな星
そこにはサンタの国がある
そこではたくさんのサンタが明日のクリスマスに配る子供たちへのプレゼントの準備で大忙し。
その中の一番若いサンタがおもちゃを大きな袋にポイポイと放り投げている。
「ねぇゼリーどうして僕達は子供達にプレゼントを配らなきゃいけないのかな?」
プリンはおもちゃを放り投げる手を止めて、先輩サンタのゼリーにそう聞きいた
「どうしてって?それはそれが俺達の役目だからさ」
ゼリーはそう言うと、さっさとプレゼントの入った大きな袋をそりに乗せた。
「お前もさっさと準備しとけよ、明日は年に一回のクリスマスなんだぞ」
プリンはまたおもちゃを大きな袋にしぶしぶと詰め込み始める。
それを見たゼリーが呆れたように言った。
「お前は何を子供達にプレゼントしてる?」
「何って・・・おもちゃですけど・・・」
プリンが当たり前のように答えると、更に呆れてゼリーは言った
「あのなー、お前の役目は子供達が」
その時、遠くから仲間のサンタが叫んだ
「おーい、そろそろミーティングの時間だぞー」
「おー、わかった今行くから」
ゼリーは仲間のサンタにそう答えると
「まーそのうちきっとわかる日が来るよ」
そう言い、プリンの方を向いてちょっとだけニコッと笑った。
「さぁ、今年もいよいよクリスマスが来るぞ」
そう言うと張り切ってプリンの手を引きミーティングへ行った。
ミーティングの広場にはもうたくさんのサンタが集まっていた。
赤い服、赤い尖がり帽子の上には白いボンボリ、それに白いひげ
みんな同じ格好をしている
プリンは雑然とした中で、さっきゼリーに言われたことを思い出していた
”お前は何を子供達にプレゼントしてる?”
何度考えても答えは一つしか浮かばなかった
”何度考えても僕がプレゼントしているものはおもちゃだけだ、それ以外に何があるっていうんだ?”
サンタがソリに乗って出かける日はたったの一日、それはクリスマスの日の夜だけで、サンタが一年間で唯一出かけることが許される日。
だからサンタ達は、そのたった一日に一年間の全てを注いでいる。
プリンは思っていた
”どうして僕達は一年に一回、たったの一日しか活躍できないのかな?”
広場では既に明日のクリスマスに向けてミーティングが行われていた。
でもやることは毎年同じで、
忘れ物はないか
自分の行く地区の確認
それに一番大切な帰ってくる時刻の確認
サンタはクリスマスの日だけしか子供たちのいる星へ行ってはいけない。それは絶対に守らなければいけない約束であった。もしも夜明けまでにかえらなければそのサンタは消えてなくなってしまう。だから帰ってくる時刻は特に厳しく決められていて、それを破ることはとても重い罰になる。
そしてミーティングの終わりにサンタの長からの激励の言葉
「さあ、今年もクリスマスがやってきました。一年間の準備の全てを、明日全て出し切りましょう」
プリンはその言葉を聞くといつも思う
”一年間の準備っていっても、僕はただ遊んでいただけだ。準備したのは今日おもちゃを袋につめただけ”
クリスマスの日、子供たちの話題はプレゼントで持ちきりだった
「サンタさんに何頼む?」
「うーん、僕はゲームソフト」
「僕はラジコン」
「私はミッキーのぬいぐるみがいいなー」
中にはこんなことをいう子もいる
「サンタなんて本当はいないんだよーだ」
実際にサンタを見たことのある子供は一人もいなかった。
同じ頃、たくさんの電飾で飾られた大きなクリスマスツリーがある広場の前で、ある親子が話をしている
女の子はお母さんに言う
「今年は家にもサンタさんくるかな?」
お母さんはどこか寂しげに答える
「そうね、来てくれるといいわね」
そう言う母の顔を女の子はぼんやり見つめている
「いいえ、きっと来てくれるわよ」
母はとっさに笑顔をつくってそう答えた。
・
・・・続く
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