秋待ち猫

 大阪の北のほうの高校で、厳しい残暑のなか運動会をやって、何人もの生徒が熱中症で保健室に駆け込んだというニュースがあったけれど、猫だったら、こんな暑いときに運動会なんてやらないだろう。もうちょっと涼しくなってからにしましょうニャ、と校長猫先生が言って運動会は延期、暑いあいだはみんなで木陰でお昼寝である。
 みゆちゃんも、暑い夏のあいだはあまり活発に遊ばない。お気に入りの紐で遊んであげようと思って誘ってみても、紐をじっと見ているから飛び掛るのかと思いきや、その場でごろんと床の上に寝転んで、お腹をさすってくれと横に長々と伸びる。寝ている時間も長い。朝起きて、というか、人間と一緒に起こされて、しぶしぶ下に降りて庭を一回りすると、もう二階へ寝に戻っている。もっとも、その昼寝の場所が、窓を閉め切った南向きの部屋に置いてあるダンボール箱の中という、家の中で一番暑い場所であるから、みゆちゃんの感覚はちょっとわかない。
 八月の最後の週は少し涼しかったから、活発に遊び出したみゆちゃんだけれど、今週になってまた残暑が厳しくなって、ふたたびやる気がなくなった。
 夏の終わりは、寂しいような惜しいような気持ちになるけれど、終わりきれない夏みたいに残暑がだらだら続くのはすっきりしない。もう心は秋になっているから、夏の太陽はまた来年と潔くして、はやく涼風を吹かせて欲しい。
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