「死はもう怖くない」津川雅彦が車椅子、鼻チューブ姿で語った覚悟
4日に心不全で亡くなっていた俳優の津川雅彦さん。
そのわずか2か月半前、本誌の独占取材に応じ、体調が万全ではない中で、
2時間近くに渡り、自分の人生について饒舌に語った。
(鎌田倫子2018.8.8 11:38週刊朝日#お悔やみ)
その文中に、こんなくだりがありました。
「世間からは、兄は芝居がうまいが、弟は顔がいいだけのド大根、ってののしられてね。
しかし、まねしようのがない兄の個性ある役者っぷりがあったからこそ、
僕も自分のやり方を探し続けることができた」
二枚目俳優からの脱却は、『必殺仕事人シリーズ』で敵役を演じたことがきっかけだと明かした。
『必殺仕事人シリーズ』で敵役??
もしかしたら、あのときの役だろうか?
実は、津川雅彦さんの芝居で、
今でも忘れられない演技があるんです。
私が中学生か高校生の頃。
やはり「必殺」シリーズで、
悪人(津川さん)が追い詰められて、
海にざぶざぶと入って逃げていく。
でも、もう逃げられないと悟ったとき、
急に振り向いて、こちら(カメラ)を見る。
にらむ、じゃないんです。
そんな単純な顔じゃない。
悔しさ、憎しみ、悲しさ、後悔・・・、
それはそれは沢山のものを、
その一瞬の表情で表現して「こちらを見た」んです。
芝居好きのナマイキなガキンチョだった私は、
その衝撃に凍り付いて、息もできませんでした。
必殺シリーズは何度も出演しておられるらしいので、
私が観た、その回のことではないかもしれません。
でも、間違いなく、1人の女の子は、
その演技で一生ものの衝撃を受けたのです。
私には二つ、忘れられない演技があって、
ひとつが、故日下武史さんのシャイロック。
もうひとつが、この津川さんの悪人。
また観たくても、
どちらも亡くなってしまいましたね。
今度はまた新たな、
衝撃的な演技に出会えることを期待しますか。
津川さん。
こんな見ず知らずのおばさんの人生に、
名演技を残して下さって、ありがとうございました!
<合掌>