望子のただいま稽古チュッ!

稽古、公演、プライベート
・・・オバサン役者、木村望子の日々。

舞台の裏のウラ話 <小劇場のウラの声・その6>

2019-07-25 20:52:17 | 舞台・ウラ話

 

楽屋のスピーカーから聞こえてくる、

先輩に対するすさまじい愚痴。

 

  ・・・って、

マイクがONになってるんだぞ!

劇場じゅうのスピーカーから流れてるぞ!

 

笑いながら聞いていた楽屋のみんなが、

はっと我に帰りました。

 

もし先輩に聞かれたらどうするんだ!

 

「止めに行く?」

「あ、うん。これはヤバいよね」

 

みんなが動き始めたところで、

 

「あと5分で舞台集合でーす!」

 

という舞台監督さんの大きな声。

そこでぶつっと途切れて、それでおしまい。

 

注意する暇もなく、

そのまま流れていきましたが、

次の休憩時間にも、

またぼそぼそという話し声が・・・。

 

「〇〇さん知ってます?」

「あ、△△の演出の?」

「あの人と仕事したことあります?」

「いや、ないな」

「絶対にやめたほうがいいですよ」

 

おいおい、また愚痴や悪口か?

それも、またまたマイクONだぞ!

 

それも!

どこかの演出家の悪口はいよいよマズいだろ!

 

「いやー、もうほんと、ひどいですよ。

 毎日言う事違うっていうか、

 こっちが言われた通りにしてるのに、

 違うって文句言ってくるんだから」

「 まぁ演出もいろいろだしな」

 

楽屋でちょっとため息が漏れました。

 

「どうする?止める?」

「止めるしかないでしょ」

 

と、また動こうとした時に、

今度は聞き役の人(結局誰かわからず)が一言。

 

「だけど、こういう現場で、

 そんな話はしないほうがいいぞ。

 この仕事は信頼関係で成り立ってるんだから。

 誰かに聞かれたりしたら、これからやりにくくなるぞ」

 

・・・はい。誰かどころか、みんな聞いてます。

 

まぁ、止めに行かなくても良さそうだと安心したものの、

これほど人の愚痴や悪口ばかり言っている若手君。

 

一人前になるにはまだ道は遠いなと、

みんな心の中で思ったのでありました。

 

 

いやしかし、ほんとに、マイクというヤツは、

どこで何の声を拾うかわかりません。

 

数年前。

そこそこ大きな劇場に出たときのことでした。

 

   <つづく>

 

【オマケ写真】

とある公演の場当り現場。これが客席です。

 

 

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