劉夢熊の習近平批判は本気か?
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」217/通算648 2023(令和5)年9/2/土】33歳の1984年に建てたビルは2023年になって築39年。今朝は7時から、普段は見えない西側に密集して大きく成長した細竹を刈り込んだ。足場がコンクリートブロックの上だけと悪いので、もうぐったり、警戒を怠り油断しているとひどい目に遭う。
一般的に建物は40年ほどが寿命だと言われるが、確かに外側も内側もかなり劣化する。コマメに営繕しないとボロボロになる。我が家の正面のビルも築40年ほどだが、2階の水道パイプがイカレテ1階のおしゃれな美容院は2日連続でびしょびしょ、店長は嘆いていたが、今朝から修理が始まった。
人間も国家もメンテナンスを疎かにすると酷いことになる。民主主義国の選挙は「現政権は〇か×」を問うもので、一種の営繕作業、メンテナンスみたいなものだ。政党は政権を得るために国民に美味しい約束をするが、ちゃんとやらないと次の選挙では与党の座を奪われることになる。そのシステムがいいかどうかはともかく、独裁国家ではそのような営繕作業、新陳代謝がないから、ビョーキになるとどんどん悪化する。死に至る病・・・習近平は末期か?
現代ビジネス2023/8/29、石平氏の「今の経済崩壊の根っこは政治――香港の著名親中派すら習近平全面批判」は衝撃的だった。以下、転載する。(*は修一)
<【◎全面的かつ本格的批判】:今年8月21日、シンガポール紙の聯合早報は「問題は経済にあるが、根っ子は政治にある」と題する長文の論評を掲載した。それは、習近平主席と「習近平路線」に対する全面的かつ本格的な批判として世界中の中国語SNSなどで大きな反響を呼んだ。
執筆者は劉夢熊氏、香港著名の実業家・政治評論家でもある。劉氏は1948年に中国広東省出身、1973年に香港へ密航。先物取引の成功で香港財界で頭角を表し、いつくかの上場企業の会長や顧問を兼任しビジネス活動を行う傍ら、香港・マカオ・台湾などのメデイアで経済・時事問題な関する評論活動を展開している。香港政府戦略発展委員会委員、民間シンクタンク「百家戦略智庫」主席を務める。香港ではひと角の著名人なのてある。
劉氏はまた、香港財界における親中派、中国共産党擁護派として知られる。彼は今まで広州市政府政策顧問、共産党助言機関の全国政治協商会議の委員を歴任。北京政府からの信頼は厚いようである。共産党機関紙の人民日報も数回にわたって劉氏の論評を掲載したことがある。政治の面では一貫として香港の民主派に批判的姿勢である。
このような人物が香港から「習近平全面批判」の論評を堂々と発表したこと自体は、まさに政治的大事件である。
【◎経済衰退の原因は政治にあり】:劉氏論評の概要を抜粋的・要約的に下記に紹介する。
論評は冒頭からまず、中国経済の現状についてこう語る。
「中国経済は今、民間企業倒産、外資企業撤収、投資大幅萎縮、輸出輸入下落、深刻な消費不足、債務問題爆発、労働者大量失業、政府財政失血という『波』に襲われている。経済を牽引する3つのエンジンの『投資・輸出・消費』は全部失速する一方、デフレの傾向は明確になっている。米国のバイデン大統領が指摘したように、中国経済は今、世界にとっての“時限爆弾”となっている」
経済現状に対するこのような厳しい見方を示した上で劉氏論評は、改革開放以来、中国経済は数十年間にわたって高度成長を続け、世界第二の経済大国にもなったのに、どうして近年に急速に傾いてきているのかとの問題提起を行い、「経済衰退の根っ子はまさに政治にある」と喝破した。
そこから論評は、中国の高度成長をもたらしたトウ小平の「改革開放路線」と正反対の、習近平政権の悪政の数々を羅列しながら批判していく。
1) “経済建設が中心”のトウ小平路線から離反した「政治中心、イデオロギー中心」の政策遂行が、中国国内のビジネス環境を悪い方に変えた。
2) “国進民退”の政策理念の下で独占的国有企業の肥大化を図る一方、民間企業・新興産業を恣意的に苛(いじ)め大きな打撃を与えたことは、中国民間企業家の投資意欲・経営意欲を殺した。
3) 対外的にはトウ小平時代以来の実利外交・親欧米外交の総方針に反して無意味な「戦狼外交」を推進し、米中関係・日中関係・中英関係・中欧関係・中韓関係など、中国にとっての重要国との関係を尽(ことごと)く悪化させた。その一方、国内では反スパイ法を実施し、対台湾軍事侵攻準備を着々と進めたことで、中国にとっての国際的ビジネス環境を壊して、国際資本とサプライチェーンの中国離れを引き起こし、中国の対外貿易を潰した。
4) 論評はまた、今の習近平政権の現状について、トウ小平時代以来の「集団的指導体制」が破壊され、(指導者)に対する個人崇拝が再び氾濫し、幹部集団においては有能な人が排斥される(*7月末に突如解任された秦剛(しんごう)国務委員兼外相?)一方、媚び諂うことだけのイエスマンばかりが重用され、結果的にはそれは経済政策の誤りをもたらしている、と指摘した。
【◎香港親中エリート層の危機感】:このようにして劉氏論文は、名指しこそを避けながらも、習近平と習近平政権の政治路線・経済政策・外交政策・人事路線などに対し全面的、かつ本格的な批判を行った上で、中国経済が危機的な状況に陥った大きな理由の一つはまさに「習近平悪政」にあるとの認識を明確に示した。
彼の現状認識と習近平批判は尽(ことごと)くまともなものであって、まさにその通りであるが、ここで大いに注目すべきなのはむしろ、このような全面的・本格的な「習近平批判」が香港にいる中国人の評論家によって、しかも香港の中の親中派・共産党政権擁護派の著名人によって行われたことである。それはある意味においては前代未聞、まさに画期的なことである。
このような論調が香港の親中的著名人から展開されている背景には当然、劉氏論評の指摘した通りの中国経済崩壊の危機があろう。そして、中国の一部となっている香港の「親中界」においても、現在の中国の経済情勢に対する危機感が未曾有のレベルに達していること、習近平政治に対する反発と危惧がすでに広がっていることも伺えるのである。
劉氏の習近平批判はむしろ、香港のエリート階層の共通した認識と危機感を代弁しているのであろう。
【◎言論弾圧下でなぜ発言可能なのか】:もう一つ摩訶不思議なことは、今の香港は言論弾圧の面では中国本土とは全く変わらない状況下で、しかも習近平の秘密警察が跋扈している状況下で、香港にいるはずの劉氏は敢然と習近平批判を行ったのは一体なぜか?である。これはまた、今回の一件の最大の謎でもある。
これに対する解釈の一つは、「劉氏は憂国の止むを得ない心情からわが身を顧みずにして果敢な行動に出た」ことであるが、もう一つの可能性として考えられるのはやはり、劉氏の背後には共産党政権内部の大物、あるいは一部勢力の存在があって、劉氏はそれからの保護を受けている、ということである。
もし後者であれば、共産党政権内で「反習近平勢力」は再び結集して動き出している可能性も出ているが、今後における劉氏の動向及び共産党政権全体の動向は要注意である>(以上)
英国統治下の香港は長年にわたり中国における自由の象徴で、トウ小平の改革開放を支持する上海閥(江沢民派)の影響力も強かった。上海閥は昨年、習近平に潰され、改革開放の象徴だったアリババの創業者、ジャック・マーも習近平に弾圧され今は香港(と日本?)に逼塞しているようだ。
香港の自由民主陣営=反・習近平独裁の人々は、表向きは昨2022年末までに習近平に叩き潰されたことになっているが、もしかしたら“どっこい”生き残り、臥薪嘗胆、習近平潰すべし、「♪立て飢えたる者よ、今ぞ日は近し、醒めよ我が同胞(はらから)暁は来ぬ!」と「動き出している」のかも知れない。
反共の法輪功系サイト「看中国」2023/8/24は劉夢熊氏の主張をこうも伝えている。
<中国経済のエンジンは今や国家統計局、中央宣伝部、新華社通信になったが、経済を救うための道具箱は空っぽだ。中国は、改革開放以来急速な進歩を遂げてきたが、なぜここ数年で状況が突然変化し、急激に衰退したのか。 一言で言えば、問題は政治にある。中国は世界で最も経済が政治に縛られている国だ>
劉夢熊氏の論稿を国際社会はどう受け止めたのか。Record China 2023/8/24「中国経済危機論、実際のところはどうなのか」から。
<8月22日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国経済の先行きに対して欧米メディアから懸念の声が出ており、「問題の根源は政治にある」との指摘も飛び出したことを報じた。
記事はバイデン米大統領が8月中旬に資金集めのイベントで中国の経済問題を「時限爆弾」と呼び、これに対して中国の国営メディア・新華社が同大統領を批判した上で「課題はあるが、今年の中国経済の回復は堅調だ」とする評論を発表したものの、中国当局が発表した7月の経済指標は軒並み不調だったことから、海外の主要メディアからは中国経済が現在直面している問題や課題についての議論が起こり始めていると伝えた。
そして、米紙WSJ(ウォールストリートジャーナル)は22日付の記事で「中国が貧困から抜け出し大国としての地位を獲得した経済モデルは、もはや持続可能なものではない。単なる経済の低迷期ではなく、これは長い時代の終わりかもしれない」と指摘。
国際通貨基金(IMF)が中国の国内総生産(GDP)成長率について今後数年間は4%を下回ると予想しており、 このままでは、2035年までにGDPを倍増させるという目標や、中国が長年抱いてきた「米国を抜いて世界最大の経済大国になる」という野望が実現しない可能性があると報じたことを紹介している。
またNYT(ニューヨークタイムズ)も同日、ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマン氏が「中国は、持続不可能な不動産投資をより高い消費者需要に置き換える必要があるにもかかわらず、中国当局は銀行に融資を増やすよう働きかけることで潜在的な危機に対応しようという、これまでと同じやり方を進めており、人々の不安を募らせている」と論じた文章を掲載したと伝えた。
さらに、中国市場に対して常に強気と見られてきた投資家のレイ・ダリオ氏でさえ、中国は現在の苦境から抜け出すために、早急に債務再編を行う必要があると述べており、ダリオ氏のファンドで中国企業に数十億ドルを投資してきたブリッジウォーターが昨年よりは中国企業への投資を減らし始めているとの報道も出ていることを紹介した。
記事はさらに、シンガポール紙・聯合早報に21日、「問題は経済にあり、根源は政治にある」と題した非常にストレートな評論が掲載されたと紹介。著者である香港の実業家、劉夢熊(ラウ・モンホン)氏が
「改革開放の最初の30年間は着実に上昇し、近年では負のスパイラルに陥っているという逆転現象の最も根本的な原因は政治にある。中国は今、世界で最も経済が政治に縛られている国だ」
と論じ、中国経済の成長を阻害している一番の主要因は「政治におけるイデオロギーの強化、国家の安全保障や反スパイという概念の乱用で投資家らに心理的な脅威を与えていること」と指摘したことを伝えた。
一方で、中国政府系メディア・環球時報の胡錫進(フー・シージン)元編集長がSNS上で欧米のメディアや専門家による指摘について「中国経済に対する悪口」と批判した上で、「われわれは言いはやされている衰退の声を撃滅し、中国社会に強い自信を植え付けなければならない。そして、この目標を達成するための根本的かつ唯一の方法は、中国の経済を実際に上向きにさせ、国内の信頼を鼓舞することだ」と主張したとしている>(以上)
14億市場に釣られて中共に寄り添ってきた多くの外資系企業は中国から徐々に撤収を始めているようである。中共による報復を恐れて公表は控えているようだが、いくら巨大市場ではあっても、ある日突然、輸出入が禁止されたり、ネチズンの小遣い稼ぎで不買運動が始まったり、不満のはけ口として暴徒の襲撃を受けたりするような、常軌を逸した中国から他国へ資本を移す企業は増えるばかりだろう。
しかし、だ、同志諸君、我らが習近平は1ミリたりとも動じないのである。毛沢東式の「清貧=食うだけで精いっぱいだが目が澄んでいる」という、いささかビョーキの「時代、経済、社会」に戻したいという、かなりビョーキの習近平に信心の濁りはない。
習近平とって、腐敗した銭ゲバのような外国企業が中国から逃げ出すことにはまったく痛痒を覚えないどころか、腐敗分子の消滅は歓迎すべきことである。それは宗教と言うか、完全な邪教で、狂気そのもの。信者918人が集団自殺した人民寺院(1978年)と似ていないか?
経済ボロボロ、その上に「一緒に死にましょう」と習近平に言われても、天国よりこの世での蓄財蓄妾美酒美食が大好きな人民は「いやなこった、お前がボロボロにしたのだから一人で死ね!」となるだろう。
中国は自力で習近平とその一派を駆除できるだろうか。「白紙革命」で人民は習のコロナ封鎖を突破した。今度は「白色革命」で赤色帝国を潰せるか? 西側諸国の多くは上述の劉夢熊の論稿を、毛沢東が「百家争鳴」と称して異分子をあぶり出し叩き潰したことを覚えているから「その手は桑名の焼き蛤」とばかりに警戒し、当面は様子見だろう。
拙速を戒めるのは大事だが、徐々に対中輸出入を減らし、中国産品の消費を抑えていく=他国産にシフトしていくことで、危険極まりない戦狼妄想の習近平独裁政権を孤立・弱体化させていく好機だと小生は思う。叩けよ、さらば開かれん。第3次世界大戦を避けるためにも悪の総本山“戦狼”習近平を打倒すべし!
・・・・・・・
*読者諸兄の皆さま、御意見を! ishiifam@minos.ocn.ne.jp
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【雀庵の「大戦序章」217/通算648 2023(令和5)年9/2/土】33歳の1984年に建てたビルは2023年になって築39年。今朝は7時から、普段は見えない西側に密集して大きく成長した細竹を刈り込んだ。足場がコンクリートブロックの上だけと悪いので、もうぐったり、警戒を怠り油断しているとひどい目に遭う。
一般的に建物は40年ほどが寿命だと言われるが、確かに外側も内側もかなり劣化する。コマメに営繕しないとボロボロになる。我が家の正面のビルも築40年ほどだが、2階の水道パイプがイカレテ1階のおしゃれな美容院は2日連続でびしょびしょ、店長は嘆いていたが、今朝から修理が始まった。
人間も国家もメンテナンスを疎かにすると酷いことになる。民主主義国の選挙は「現政権は〇か×」を問うもので、一種の営繕作業、メンテナンスみたいなものだ。政党は政権を得るために国民に美味しい約束をするが、ちゃんとやらないと次の選挙では与党の座を奪われることになる。そのシステムがいいかどうかはともかく、独裁国家ではそのような営繕作業、新陳代謝がないから、ビョーキになるとどんどん悪化する。死に至る病・・・習近平は末期か?
現代ビジネス2023/8/29、石平氏の「今の経済崩壊の根っこは政治――香港の著名親中派すら習近平全面批判」は衝撃的だった。以下、転載する。(*は修一)
<【◎全面的かつ本格的批判】:今年8月21日、シンガポール紙の聯合早報は「問題は経済にあるが、根っ子は政治にある」と題する長文の論評を掲載した。それは、習近平主席と「習近平路線」に対する全面的かつ本格的な批判として世界中の中国語SNSなどで大きな反響を呼んだ。
執筆者は劉夢熊氏、香港著名の実業家・政治評論家でもある。劉氏は1948年に中国広東省出身、1973年に香港へ密航。先物取引の成功で香港財界で頭角を表し、いつくかの上場企業の会長や顧問を兼任しビジネス活動を行う傍ら、香港・マカオ・台湾などのメデイアで経済・時事問題な関する評論活動を展開している。香港政府戦略発展委員会委員、民間シンクタンク「百家戦略智庫」主席を務める。香港ではひと角の著名人なのてある。
劉氏はまた、香港財界における親中派、中国共産党擁護派として知られる。彼は今まで広州市政府政策顧問、共産党助言機関の全国政治協商会議の委員を歴任。北京政府からの信頼は厚いようである。共産党機関紙の人民日報も数回にわたって劉氏の論評を掲載したことがある。政治の面では一貫として香港の民主派に批判的姿勢である。
このような人物が香港から「習近平全面批判」の論評を堂々と発表したこと自体は、まさに政治的大事件である。
【◎経済衰退の原因は政治にあり】:劉氏論評の概要を抜粋的・要約的に下記に紹介する。
論評は冒頭からまず、中国経済の現状についてこう語る。
「中国経済は今、民間企業倒産、外資企業撤収、投資大幅萎縮、輸出輸入下落、深刻な消費不足、債務問題爆発、労働者大量失業、政府財政失血という『波』に襲われている。経済を牽引する3つのエンジンの『投資・輸出・消費』は全部失速する一方、デフレの傾向は明確になっている。米国のバイデン大統領が指摘したように、中国経済は今、世界にとっての“時限爆弾”となっている」
経済現状に対するこのような厳しい見方を示した上で劉氏論評は、改革開放以来、中国経済は数十年間にわたって高度成長を続け、世界第二の経済大国にもなったのに、どうして近年に急速に傾いてきているのかとの問題提起を行い、「経済衰退の根っ子はまさに政治にある」と喝破した。
そこから論評は、中国の高度成長をもたらしたトウ小平の「改革開放路線」と正反対の、習近平政権の悪政の数々を羅列しながら批判していく。
1) “経済建設が中心”のトウ小平路線から離反した「政治中心、イデオロギー中心」の政策遂行が、中国国内のビジネス環境を悪い方に変えた。
2) “国進民退”の政策理念の下で独占的国有企業の肥大化を図る一方、民間企業・新興産業を恣意的に苛(いじ)め大きな打撃を与えたことは、中国民間企業家の投資意欲・経営意欲を殺した。
3) 対外的にはトウ小平時代以来の実利外交・親欧米外交の総方針に反して無意味な「戦狼外交」を推進し、米中関係・日中関係・中英関係・中欧関係・中韓関係など、中国にとっての重要国との関係を尽(ことごと)く悪化させた。その一方、国内では反スパイ法を実施し、対台湾軍事侵攻準備を着々と進めたことで、中国にとっての国際的ビジネス環境を壊して、国際資本とサプライチェーンの中国離れを引き起こし、中国の対外貿易を潰した。
4) 論評はまた、今の習近平政権の現状について、トウ小平時代以来の「集団的指導体制」が破壊され、(指導者)に対する個人崇拝が再び氾濫し、幹部集団においては有能な人が排斥される(*7月末に突如解任された秦剛(しんごう)国務委員兼外相?)一方、媚び諂うことだけのイエスマンばかりが重用され、結果的にはそれは経済政策の誤りをもたらしている、と指摘した。
【◎香港親中エリート層の危機感】:このようにして劉氏論文は、名指しこそを避けながらも、習近平と習近平政権の政治路線・経済政策・外交政策・人事路線などに対し全面的、かつ本格的な批判を行った上で、中国経済が危機的な状況に陥った大きな理由の一つはまさに「習近平悪政」にあるとの認識を明確に示した。
彼の現状認識と習近平批判は尽(ことごと)くまともなものであって、まさにその通りであるが、ここで大いに注目すべきなのはむしろ、このような全面的・本格的な「習近平批判」が香港にいる中国人の評論家によって、しかも香港の中の親中派・共産党政権擁護派の著名人によって行われたことである。それはある意味においては前代未聞、まさに画期的なことである。
このような論調が香港の親中的著名人から展開されている背景には当然、劉氏論評の指摘した通りの中国経済崩壊の危機があろう。そして、中国の一部となっている香港の「親中界」においても、現在の中国の経済情勢に対する危機感が未曾有のレベルに達していること、習近平政治に対する反発と危惧がすでに広がっていることも伺えるのである。
劉氏の習近平批判はむしろ、香港のエリート階層の共通した認識と危機感を代弁しているのであろう。
【◎言論弾圧下でなぜ発言可能なのか】:もう一つ摩訶不思議なことは、今の香港は言論弾圧の面では中国本土とは全く変わらない状況下で、しかも習近平の秘密警察が跋扈している状況下で、香港にいるはずの劉氏は敢然と習近平批判を行ったのは一体なぜか?である。これはまた、今回の一件の最大の謎でもある。
これに対する解釈の一つは、「劉氏は憂国の止むを得ない心情からわが身を顧みずにして果敢な行動に出た」ことであるが、もう一つの可能性として考えられるのはやはり、劉氏の背後には共産党政権内部の大物、あるいは一部勢力の存在があって、劉氏はそれからの保護を受けている、ということである。
もし後者であれば、共産党政権内で「反習近平勢力」は再び結集して動き出している可能性も出ているが、今後における劉氏の動向及び共産党政権全体の動向は要注意である>(以上)
英国統治下の香港は長年にわたり中国における自由の象徴で、トウ小平の改革開放を支持する上海閥(江沢民派)の影響力も強かった。上海閥は昨年、習近平に潰され、改革開放の象徴だったアリババの創業者、ジャック・マーも習近平に弾圧され今は香港(と日本?)に逼塞しているようだ。
香港の自由民主陣営=反・習近平独裁の人々は、表向きは昨2022年末までに習近平に叩き潰されたことになっているが、もしかしたら“どっこい”生き残り、臥薪嘗胆、習近平潰すべし、「♪立て飢えたる者よ、今ぞ日は近し、醒めよ我が同胞(はらから)暁は来ぬ!」と「動き出している」のかも知れない。
反共の法輪功系サイト「看中国」2023/8/24は劉夢熊氏の主張をこうも伝えている。
<中国経済のエンジンは今や国家統計局、中央宣伝部、新華社通信になったが、経済を救うための道具箱は空っぽだ。中国は、改革開放以来急速な進歩を遂げてきたが、なぜここ数年で状況が突然変化し、急激に衰退したのか。 一言で言えば、問題は政治にある。中国は世界で最も経済が政治に縛られている国だ>
劉夢熊氏の論稿を国際社会はどう受け止めたのか。Record China 2023/8/24「中国経済危機論、実際のところはどうなのか」から。
<8月22日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国経済の先行きに対して欧米メディアから懸念の声が出ており、「問題の根源は政治にある」との指摘も飛び出したことを報じた。
記事はバイデン米大統領が8月中旬に資金集めのイベントで中国の経済問題を「時限爆弾」と呼び、これに対して中国の国営メディア・新華社が同大統領を批判した上で「課題はあるが、今年の中国経済の回復は堅調だ」とする評論を発表したものの、中国当局が発表した7月の経済指標は軒並み不調だったことから、海外の主要メディアからは中国経済が現在直面している問題や課題についての議論が起こり始めていると伝えた。
そして、米紙WSJ(ウォールストリートジャーナル)は22日付の記事で「中国が貧困から抜け出し大国としての地位を獲得した経済モデルは、もはや持続可能なものではない。単なる経済の低迷期ではなく、これは長い時代の終わりかもしれない」と指摘。
国際通貨基金(IMF)が中国の国内総生産(GDP)成長率について今後数年間は4%を下回ると予想しており、 このままでは、2035年までにGDPを倍増させるという目標や、中国が長年抱いてきた「米国を抜いて世界最大の経済大国になる」という野望が実現しない可能性があると報じたことを紹介している。
またNYT(ニューヨークタイムズ)も同日、ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマン氏が「中国は、持続不可能な不動産投資をより高い消費者需要に置き換える必要があるにもかかわらず、中国当局は銀行に融資を増やすよう働きかけることで潜在的な危機に対応しようという、これまでと同じやり方を進めており、人々の不安を募らせている」と論じた文章を掲載したと伝えた。
さらに、中国市場に対して常に強気と見られてきた投資家のレイ・ダリオ氏でさえ、中国は現在の苦境から抜け出すために、早急に債務再編を行う必要があると述べており、ダリオ氏のファンドで中国企業に数十億ドルを投資してきたブリッジウォーターが昨年よりは中国企業への投資を減らし始めているとの報道も出ていることを紹介した。
記事はさらに、シンガポール紙・聯合早報に21日、「問題は経済にあり、根源は政治にある」と題した非常にストレートな評論が掲載されたと紹介。著者である香港の実業家、劉夢熊(ラウ・モンホン)氏が
「改革開放の最初の30年間は着実に上昇し、近年では負のスパイラルに陥っているという逆転現象の最も根本的な原因は政治にある。中国は今、世界で最も経済が政治に縛られている国だ」
と論じ、中国経済の成長を阻害している一番の主要因は「政治におけるイデオロギーの強化、国家の安全保障や反スパイという概念の乱用で投資家らに心理的な脅威を与えていること」と指摘したことを伝えた。
一方で、中国政府系メディア・環球時報の胡錫進(フー・シージン)元編集長がSNS上で欧米のメディアや専門家による指摘について「中国経済に対する悪口」と批判した上で、「われわれは言いはやされている衰退の声を撃滅し、中国社会に強い自信を植え付けなければならない。そして、この目標を達成するための根本的かつ唯一の方法は、中国の経済を実際に上向きにさせ、国内の信頼を鼓舞することだ」と主張したとしている>(以上)
14億市場に釣られて中共に寄り添ってきた多くの外資系企業は中国から徐々に撤収を始めているようである。中共による報復を恐れて公表は控えているようだが、いくら巨大市場ではあっても、ある日突然、輸出入が禁止されたり、ネチズンの小遣い稼ぎで不買運動が始まったり、不満のはけ口として暴徒の襲撃を受けたりするような、常軌を逸した中国から他国へ資本を移す企業は増えるばかりだろう。
しかし、だ、同志諸君、我らが習近平は1ミリたりとも動じないのである。毛沢東式の「清貧=食うだけで精いっぱいだが目が澄んでいる」という、いささかビョーキの「時代、経済、社会」に戻したいという、かなりビョーキの習近平に信心の濁りはない。
習近平とって、腐敗した銭ゲバのような外国企業が中国から逃げ出すことにはまったく痛痒を覚えないどころか、腐敗分子の消滅は歓迎すべきことである。それは宗教と言うか、完全な邪教で、狂気そのもの。信者918人が集団自殺した人民寺院(1978年)と似ていないか?
経済ボロボロ、その上に「一緒に死にましょう」と習近平に言われても、天国よりこの世での蓄財蓄妾美酒美食が大好きな人民は「いやなこった、お前がボロボロにしたのだから一人で死ね!」となるだろう。
中国は自力で習近平とその一派を駆除できるだろうか。「白紙革命」で人民は習のコロナ封鎖を突破した。今度は「白色革命」で赤色帝国を潰せるか? 西側諸国の多くは上述の劉夢熊の論稿を、毛沢東が「百家争鳴」と称して異分子をあぶり出し叩き潰したことを覚えているから「その手は桑名の焼き蛤」とばかりに警戒し、当面は様子見だろう。
拙速を戒めるのは大事だが、徐々に対中輸出入を減らし、中国産品の消費を抑えていく=他国産にシフトしていくことで、危険極まりない戦狼妄想の習近平独裁政権を孤立・弱体化させていく好機だと小生は思う。叩けよ、さらば開かれん。第3次世界大戦を避けるためにも悪の総本山“戦狼”習近平を打倒すべし!
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