日々、あんのん。

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藤家寛子さんの『減薬記』

2018-12-22 06:12:44 | 本の紹介
冬が終わる前のような暖かい朝です。
これから冬将軍が来るというのが、嘘みたいです。体調管理、しっかりしなくちゃ!

先週に引き続き、藤家寛子さんの新刊が電子書籍で発売されました。



薬によってもたらされる安定した眠りの確保、増える薬の種類、副作による苦しさ、お守りのように感じる依存性、そして、減薬に伴う身体に出てくる症状と闘い。本の中では、薬と藤家さんの長いお付き合いの歴史について、順を追って語られていました。

本を読む中で、かつて、関わった子が飲んでいた薬の名前が出てきました。その薬の名前を聞いたとき、私は呑気に「路傍に咲く花の名前に似ているなぁ」とそんなことを思い浮かべていました。あとでそれが睡眠薬のことと知り、体の細い、まだ幼い顔の残る中学生が睡眠薬を飲むのか!と思ったことを覚えています。学校ではハイテンションで、なんでも一生懸命。ときに攻撃的とも見えるほどの思いの一途すぎさがある子で、あんなに行動的なのに、家で薬がなくては眠れないのか!?という驚く気持ちも抱きました。

そして、時々、「昨夜、薬を飲んだ時間が遅くて…」という申し送りとともに親御さんが普段よりぐったりしたお子さんを学校に連れて来られることがありました。いつも朝は元気に挨拶をして回っている子の机に突っ伏しているその姿に、私はただ見守るしかありませんでした。そして、二、三時間目になるといつもの元気な様子になり、同時に、親御さんから持たされた薬を飲む姿を見ました。毎朝、薬を飲んで学校に来ていたのか…?普段、元気に振舞っていた子は、どうやら「薬の支え」があっての姿だったのか…と気付いた時でもありました。

そうです。十年前の私は、薬は生活を支えてくれているもの、という思いでいました。どうして薬を飲んでいたのか、飲まなければその子はどんな状態になっていたのか、翌日に影響があっても飲まざる得なかった睡眠薬、そして、机に突っ伏していたとき、一体その子はどんなことを思い、考えていたのか…などなどなど。そういうことは一切想像だにしませんでした。

もしかすると、お子さんの薬について、かつての私のように「薬は生活を支えてくれるもの」という側面でのみとらえている学校の先生や親御さんがいらっしゃるかもしれません。

そんな一面はもちろんあるのでしょうが、違う一面を知ることはとても大切なことだと思います。

藤家さんはこの本で、薬に助けられながらも、あるときから苦しめられ、そうしながらも再び、助けられしながらも、減薬へと舵を切っていく、貴重な体験を綴ってくださっています。

誰もが、藤家さんと同じ道を通るわけではないことは、百も千も承知の上で、薬を飲んでいる方にも、それを見守る側の方も読んでくださるといいな、と思いました。

そして、誰よりも、小さなお子さんに薬を出す側の方が読んでくださいますように、と思うことでした。

十年前は眠れないという相談をされても、親御さんと一緒に「それは困るよねぇ」と一緒に腕組みするしか私は方法を知りませんでした。でも今は家でできることが、花風社さんの本の中に書いてあります。それを試してみたらいいと思います。

眠れないときは、脳の機能をシャットダウンするのではなく、身体にはたらきかけてみる。まず、それを思いつけるだけでも、生活の質が変わると思います。


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