朝比奈隆の企画展に行ってきた。
写真やビデオを中心に、その生涯にわたる活動や実績がわかりやすく展示されていた。2001年12月までは、まさに朝比奈中心に音楽と接してきたが、それ以後すでに10年以上時間が流れたことになる。本当に時の経つのは早いものだ。こうして展示物を見ると、色々な思い出が甦るが、この中で圧巻なのは、朝比奈が使用していたオケの総譜である。得意にしていた、ベートーヴェンやブルックナーのものは、書き込みが多く、ぼろぼろで、どんなにか愛着をもってこの音楽に向かっていたのかが読み取れて熱くなってしまった。アントンKが、朝比奈の実演を聴いたラストは、亡くなる3カ月前(2001年9月)に大阪で聴いたブルックナーの9番であるが、いつものようにこの年の第9を振る予定がキャンセルとなり、自分も来阪をキャンセルした矢先に訃報が届いたのだった。人よりうんと長生きをして、1日でも多く舞台に立つと言っていた朝比奈隆は、生涯現役を有言実行した訳であり、今でもアントンKの師匠であることを再認識した。