アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

「ワルトシュタイン」再認識

2015-04-08 18:00:00 | 音楽/芸術

音楽は不思議だ。予期せぬ気持ちに自分が引っ張られて一瞬にして集中力が高まり、その音楽のトリコになってしまう。

先日もそうだった。音楽愛好会のような人たちの集まりがあり、それを聴く機会があった。音楽好きな仲間たちが、それぞれの音楽を持ち寄って、しばし披露するというようなもの。どこにでもあるような取りとめのない会だ。各自ご自慢の楽曲を順番に演奏していく訳だが、それぞれ個性があって聴いていて面白い。いわゆる音楽ジャンルというものの垣根がなくて、ピアノで古典を奏でる者、ギター弾き語りで歌う者、ピアノ連弾と、様々やりたいようにやっていたのが印象的。一見まとまりがないように感じるが、自分たちの披露したい音楽ということで、不思議と違和感はない。

その中でアントンKは、30代の大学院生の弾くピアノにえらく心奪われた。楽曲はベートーヴェンのソナタ「ワルトシュタイン」。どうしても普段はオーケストラ音楽を聴くことの多い自分だから、目の前でベートーヴェンのピアノを聴くことは久しぶりに感じてしまう。特に、第3楽章のロンドの主題が、スーッと入ってきて、後はその音楽に無我夢中にされてしまった。どういったらいいのだろうか、懐かしさとか、素朴さとか、心地よさとかを感じた以外に、そこには、人間の喜怒哀楽のすべてが詰まっているように感じていた。これも演奏終了後わかったことだが、演奏者である彼は、ピアノを習ったことなく、今まで全て自分自身独学で練習したとのことだった。そう、この事実を聞いた時、何かその体験の全てが理解できたような気になった。つまり、独自で好きな楽曲をどうすれば理想に近づくかを試行錯誤してやってきたものが、今日の演奏に表れていたということだろう。一流のプレーヤーよりアマチュアのプレーヤーの方が時にして、感動を呼ぶことがままあるが、今回は、まさにそのツボにハマったといってよい。技術の優れていたメンバーは他に何人もいたが、そういった表面的なところではなく、音の内面から出てくるものに共感し感動を覚えたのである。

久しぶりに譜面を読み返したくなってきた・・・

*****************************