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国鉄時代末期の1984年、それまでのEF58の活躍は大幅に縮小してしまうことになる。東海道本線の荷物列車が、山を下りたEF62に変わっていったのもこの頃からだった。東北スジでも同様で、急行列車は、すでにEF65PFけん引にとって代わっていた。ゴハチの衰退期を目のあたりにしたアントンKだったが、不思議とこの時代のゴハチは、輝きを失っているように思えてならなかった。もちろんそれは、自分の知っている全盛期との比較だが、老体に鞭打って走り去るゴハチを見ると、無性に悲しくなり、いつも目頭が熱くなったのである。遠い若き日の思い出なのだ。
まだ薄暗い蒲須坂付近に降り立ち、これからやってくるゴハチの荷物列車に備える。それにしてもこの日は寒かった。カメラを持つ手も強張るくらいだったことを思い出す。天気は快晴。那須連峰がはっきり見渡せるくらい空気が澄んでいる。朝日が山からゆっくり下りてきた頃、踏切が鳴り出した。そこに現れたのは、ゴハチの荷物列車。短い編成は晩年の象徴だ。雪まみれの客車に北国を想う。ゴハチの一灯の前照灯がやけに明るく、心強く感じる瞬間だった。
1984-12-30 荷44ㇾ EF58 東北本線:蒲須坂付近
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