杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

トゥー・フォー・ザ・マネー

2010年06月30日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2006年3月18日公開 アメリカ 122分

フットボールの花形選手になる夢に挫折したブランドン・ラング(マシュー・マコノヒー)は、ラスベガスでスポーツ試合の勝敗を予想する情報屋として暮らしていた。ある日ブランドンは大手のスポーツ情報会社の経営者ウォルター(アル・パチーノ)に才能を認められ、ニューヨークに渡ることを決意する。“ジョン・アンソニー”と名乗りますます才能を開花させるブランドンだったが、スランプに陥ってしまう。(シネマトゥデイより)

ウォルターの会社は、電話をかけてきた顧客に賭け情報をアドバイスし、客が賭けに勝ったら手数料を貰うシステム。ただし負けたら儲けはゼロです。彼が見出したブランドンは元選手という実体験に基づく抜群の推察力と天性の勘で、フットボールの勝敗を高い確率で当てていきます。

膝の故障というアクシデントで選手生活から遠ざかっているけれど、昔の夢を捨て切れなかったブランドンを、ウォルターは強引なまでの押しの強さでセールスの出来る予想屋に変えていきます。互いに親子のような固い絆を作り上げるのですが、実はウォルターには封印していたギャンブル癖があり・・というお話。

ギャンブル依存症であるウォルターは勝つことそのものより、負けて全てを失う瞬間の興奮をこそ何よりも求めています。彼の妻にも麻薬中毒の過去がありますが、彼女は娘と夫との普通の暮らしを守りたいと努力しています。夫が自分を賭けの対象にしていると知った時の悲しみの深さはいかばかりだったか・・・ 全てを失うと知りながら無謀な賭けを止められないウォルターの内心の苦しみも滲み出るアル・パチーノの演技は流石です。

ブランドンはジョン・アンソニーとして華やかなNYでの生活と的中率の高さに慢心していきますが、やがて予想を外す方が多くなり、スランプに陥ります。顧客の絶望や報復も受けます。弁の立つ優秀なジョンと本来の自分との間の溝が深まり悩むのです。ウォルターの企みに気付いたブランドンがとった選択は双方にとって良い結果をもたらしましたが、もし逆になっていても、やはり彼らの道は分かれていったのでしょうね。

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