杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

スーパー・チューズデー ~正義を売った日~

2013年03月03日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年3月31日公開 アメリカ 98分

アメリカ合衆国大統領の座をめざし、民主党予備選に出馬したマイク・モリス(ジョージ・クルーニー)は、選挙ツアー最大の正念場を迎えようとしていた。ペンシルベニア州知事として政治家の実績を積んだモリスは、ハンサムで弁舌に優れ、カリスマ性も十分。そのうえ清廉潔白な人柄と揺るぎない政治信条で多くの有権者を魅了し、ライバル候補のプルマン上院議員をじわじわと引き離しつつある。来る3月15日のオハイオ州予備選に勝利すれば、その勢いに乗って共和党候補をも打ち破り、ホワイトハウスの主になることはほぼ確実。いよいよ一週間後に迫ったスーパー・チューズデーの決戦に全米の注目が集まっていた。モリスを支えるのは、ベテランのキャンペーン・マネージャー、ポール・ザラ(フィリップ・シーモア・ホフマン)と、広報官スティーヴン・マイヤーズ(ライアン・ゴズリング)。ある日、スティーヴンのもとに、プルマン陣営の選挙参謀トム・ダフィ(ポール・ジアマッティ)が電話をかけてくる。極秘の面会を求められ、一度は拒んだスティーヴンだが、何らかの情報提供をちらつかせるダフィの言葉巧みな誘いに負けてしまう。ダフィの目的は、スティーヴンを自陣営に引き抜くことだった。だがモリスに心酔しているスティーヴンは、その申し出を即座に拒絶。その夜、スティーヴンは選挙スタッフのインターンである若く美しい女性モリー(エヴァン・レイチェル・ウッド)とホテルで親密な一夜を過ごす。翌日、スティーヴンはダフィとの密会の件をポールに打ち明け、謝罪するが、何より忠誠心を重んじるポールの怒りは想像以上だった。二人の間には亀裂が生じ、ダフィとの密会は新聞記者アイダ(マリサ・トメイ)にも嗅ぎつけられてしまう。圧倒的優勢を見込んでいたスーパー・チューズデーの雲行きも怪しくなり、スティーヴンを取り巻く状況はまたたく間に悪化していった。そんな中、ポールからクビを宣告されたスティーヴンは、プルマン陣営への寝返りを決意するが、態度を豹変させたダフィにすげなく門前払いされてしまう。怒濤の嵐が吹き荒れるスーパー・チューズデー前夜、正義を売る者たちの最後の壮絶な駆け引きが始まった……。(goo映画より)


政治の世界は善人ではのし上がれないと知っていても、実態の醜悪さに凹みそうになります

候補者の人柄と政治哲学に心酔し、広報官としても手腕を発揮していたスティーヴンは、敵陣営の汚い策略にはまり、自身のキャリアを断たれそうになります。清廉潔白と信じていたモリスの過ちの尻拭いをしている最中の彼にとっては二重の裏切りとも言えます。

手酷い仕打ちを、ではスティーヴンは黙って受け入れたのか?答えは否です。
彼はモリスの弱みを武器に、逆にポールを追い落とし、自らが表舞台に返り咲きます。
けれども、スティーヴンとモリスの間には互いへの信頼感も進む道への正義も既にありません。

スティーヴンのモリーへの思いは、初めは純粋なものだったかもしれませんが、彼女の不倫を知ってからは選挙の障害として扱い、彼女を傷つけ、彼女の死さえ利用します。
友人と思っていた記者のアイダ(マリサ・トメイ)も、利害関係で繋がるだけだったことに気付いたスティーヴンが、最後に見せる冷たい瞳が印象的でした。
そもそもダフィの誘いを無視できなかったのは、彼の中に野心が渦巻いていたからでしょう。映画の後半は信頼に重きを置くポールの方が善人に思えてしまいました。

まさに彼はこの選挙で自らの正義を売り渡し政治屋として一人前になったのでしょう。何とも皮肉的な結末。後味が良いとは言えませんね(^^;

原作は、ボー・ウィリモンの戯曲で、2004年の民主党大統領予備選挙に立候補したハワード・ディーンの選挙スタッフだったそうです。この経験が基になっているそうですが、実際はもっとえげつない策謀が渦巻いていたとか(映画はモリーの不倫相手など設定を少し変えています。)
予備選を3月15日としたのは「シーザー暗殺の運命の日」を掛けているというのも意味深です

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