杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して

2013年03月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年6月30日公開 アメリカ 100分

毎年、何百人もの人が日常生活を捨て、世にも不思議なレースに参加する。
旅の目的、それは一年のうちに最も多くの鳥の種類を目撃すること。たいていの人は、自分の住む地方か、せいぜい自分の州内の鳥ですませる。しかし、もっとも苛酷で、もっとも金がかかる最大のレースは、全北米大陸をまたがって行われる。これが「ザ・ビッグイヤー」と呼ばれるコンテストだ。「ザ・ビッグイヤー」にルールらしいルールはなく、審判もいない。参加者たちは希少種が現れたという噂を追って、好きなときに、好きなように飛行機、車、船などでアメリカとカナダの大陸部を移動する。獲物の写真撮影に成功することもあるが、多くはライバルが信用してくれることを前提に、観察地点と日時をノートにメモするだけである。
そんなコンテストを前にして、ステュ・プライスラー(スティーブ・マーティン)、ブラッド・ハリス(ジャック・ブラック)、ケニー・ボスティック(オーエン・ウィルソン)は、それぞれが人生の岐路に立っていた。裕福な実業家だが、人生も晩年を迎え、かねてからの夢を実現できていないことが心残りのステュ。やり手の建設業者にして最高記録保持者のケニーは、しかし記録を破られることを恐れるあまり、妻との時間を疎かにし、離婚を繰り返していた。もし、今年もビッグイヤーに参加すれば、現在の妻との関係も穏やかではなくなる。そして、原子力発電所でコンピューターのコードライターをしているブラッドは、趣味に高じるあまり、いまだに親に頼った生活を送り、愛する人も持てずに人生を迷走していた…。それぞれ晩年の危機、中年の危機、人生の危機をかかえた3人のライバルたち。そんな彼らがついに自分たちの夢を追う一年を過ごす決断をする。現実と夢の間で引き裂かれながらも、本当の幸せを求めて全国を旅する「ビッグ・ボーイズ」たち。果たして、今回の旅は、彼らの人生を変える冒険の旅となるのだろうか?(HPより)


マーク・オブマシックの小説『ザ・ビッグイヤー』(原題: The Big Year: A Tale of Man, Nature and Fowl Obsession)が原作。
そてにしても日本語のタイトルはセンスないねぇ

例えば「日本野鳥の会」と聞くと年末の「紅白歌合戦」の人数調べが頭に浮かんでしまう私には、そもそも野鳥観察のなんたるかもわかっていません(^^;
BDのタイトルの副題に「大人げないオトナたちが見つけた、小さな幸せ」とありますが、北米で繰り広げられる野鳥愛好家たちの涙ぐましいまでの努力は、時に笑いを、時に感動すら与えてくれました。この映画気に入りました

主人公は3人。ブラッドはバツ一のフリーターで老いつつある両親の心配の種ですが、母親の方は息子の趣味を理解し、金銭的な援助も含めて応援してくれます。ステューは大きな会社の社長ですが、長年の夢を叶えるべく、社長休業して大会に挑みます。こちらも妻が良き理解者で応援していますが、会社の重役たちは何かと彼を頼り力を借りようとします。大会のチャンピオンであるケニーは自己記録が破られるのが心配で、今回も参加することを決めました。何事においても大会を優先するので、子作りを望む妻との間には徐々に溝が出来ていきます。

ブラッドとステューが親しくなり、2人のライバルとして立ちはだかるのがボスティックという図です。前者が名前で呼び合うのに対し、ケリーに対しては苗字なのも彼らの関係を示していました。偽情報を与えて二人を騙すような姑息さもあるケリーですが、発見した数を偽ることだけはしません。自己申告制なのだからいくらでも誤魔化せそうなのに、彼らは絶対それをしないのです。そもそも、愛鳥家たちの誇りを信用し、評価しているからこそのルールなのでしょう。

船酔いに耐えながら双眼鏡を手にし、大きな嵐があると聞けば鳥たちが避難する場所に一目散に駆けつけ、一週間に一度しか飛行機が飛ばない辺境の島でネズミと共に大勢が雑魚寝して過ごし、野鳥を見るためだけにヘリをチャーターしと、涙ぐましいまでの愛鳥家の姿が見られます。彼らが野鳥を追いかけて北米を横断する姿を撮影するために、100箇所のロケ地で270を越えるシーンを55日という短期間の撮影日数でこなしたそう。

チラッと見ただけで「あれは○○だ」と鳥の名前が瞬時に出てくるし、ブラッドは鳴き声だけで種類が判る特技の持ち主で、鳥の名前の字幕を追うだけでも大変だった私には全く未知の世界ですが、島や国立公園の美しい景観と、たくさんの珍しい野鳥たちを眺めるだけでも楽しめました。

一年という長い時間を野鳥の観察だけに費やすには金銭的にもかなりの出費が求められます。
金持ちのステューやケリーと違い、ブラッドは貯金だけでは足らず母からも援助を受け、それでも貧乏旅行になりますが、会社や妻に煩わされない分、時間的には有利かな。
大会参加を隠すことでライバルに差をつけようとする彼らですが、行く先々で顔を合わせればどうしても隠しきれなくなるでしょ仲違いや和解といったエピソードを経て、彼らの間には同好の志としての友情が育っていきました。ブラッドには同じ愛好家の女性との出会いがあります

大会の勝者はその裏で大きな犠牲を払います。ただ、特典映像の方では、彼にも関係修復のチャンスが見られました

それにしても記録755種って・・・
エンドロールでは野鳥の数々が一コマずつ映し出されますが、その多さに目が疲れちゃった

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする