杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体-

2022年10月02日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2022年2月18日公開 イギリス 128分 G

あなたは、第二次世界大戦の行方を変えた奇想天外な欺瞞作戦を知っているだろうか?英国諜報部(MI5)は、ある奇策をチャーチル首相に提案する。高級将校に仕立てた“死体”にニセの機密文書を持たせ地中海に放出、ナチス、ヒトラーを騙そうというのだ。この極秘作戦は、各国間の駆け引き、策略、そして裏切り合戦へと発展していく——。
1943年、打倒ナチスに燃えるイギリス軍はドイツ軍の防備に固められたイタリア・シチリア島を攻略する計画を立てていた。そこで英国諜報部のユーエン・モンタギュー少佐(コリン・ファース)、チャールズ・チャムリー大尉(マシュー・マクファディン)、イアン・フレミング少佐(ジョニー・フリン)らが練り上げたのが、欺瞞作戦“オペレーション・ミンスミート”だ。“イギリス軍のギリシャ上陸計画”を示す偽造文書を持たせた死体を地中海に流し、ヒトラーを騙そうとする奇策だ。彼らは秘かに入手した死体を名付け、100%嘘のプロフィールをでっち上げていく。こうしてヨーロッパ各国の二重三重スパイたちを巻き込む、一大騙し合い作戦が始まるが——。
戦後長らく極秘扱いされていた驚愕の作戦の全容がいま明らかに——。(公式HPより)


第2次世界大戦下で実行された奇想天外な欺瞞作戦の行方を、実話に基づいて描いたスパイサスペンス作品です。

冒頭に登場するのは、まだ夜の闇が残る明け方に浮上した潜水艦から海に落とされた遺体。作戦本部では英国諜報部のモンタギュー少佐、チャムリー大尉、フレミング少佐たちが結果を待ちわびながらテレタイプ端末を見守っています。やがてテレタイプが動き出し文字を打ち出し始めました・・・。

半年前に遡って
弁護士のユーエン・モンタギューは、家に招いた仲間うちのパーティーで、噂になっていたMI5の諜報員疑惑や引退疑惑をジョークを交えて否定し、アメリカに疎開させる妻のアイリス(ハティ・モラハン )と子供たちへの愛情と感謝を述べます。でも実際は、秘書のヘスター(ペネロープ・ウィルトン )共々MI5の諜報部員として国の任務に就いていました。

モンタギューは共産主義まがいの発言をする変わり者の弟アイヴァー・モンタギュー(マーク・ゲイティス)と2人で暮らし始めます。

当時は第二次世界大戦の最中で、連合国軍はドイツに劣勢を強いられており、地中海のシチリアへの進攻を考えるイギリスは、ドイツ軍に気付かれずに「進軍先はギリシャだ」と思わせる秘策を模索していました。
ある作戦がもたらされますが、ウィンストン・チャーチル首相はそのばかげた作戦に首を傾げます。しかし他に妙案もなく、実行に向けて責任者に任命されたのは、提案したチャムリー大尉でフレミング少(この人はジェームズ・ボンドの生みの親なのね😲

チャムリーは老齢の母が、先ごろチッタゴンで戦死した兄ロバートの遺体を連れ帰って欲しいと思っていることにヒントを得て、偽の機密文書を持たせた偽の将校の遺体を流して敵方に見つけさせる作戦を考えました。
セント・ジェームズストリート58番地にある二十委員会(二重スパイを意味している)の作戦本部に集ったチャムリー、モンタギュー、フレミング、ヘスターの4人は『トロイの木馬作戦』と名付けます。作戦に適した兵役年齢で溺死体に見えそうな男の遺体はなかなか見つかりませんでしたが、ようやくグリンドゥール・マイケルという路上生活者の遺体が見つかります。近親者がおらず引き取り手のないうってつけのその遺体を将校に仕立て上げことにします。

チャムリー、モンタギュー、ヘスターはテディという気の良いバーテンダーのいるソーホー地区の酒場ガーゴイル・クラブで作戦を立てます。
遺体は英国海兵隊所属のビル・マーティン少佐。偽造文書の他に身分証や写真・・ヘスターが恋人からのラブレターの案を出します。人物にリアリティが加わる2人も賛成し、ビルの詳細設定をしていき、恋人の名前はパムにします。作戦名も『ミンスミート作戦』に変わり、チャムリーは同僚のジーンに写真をくれと頼みます。目的を知ったジーンも作戦に加わります。
マーティンの身分証の写真の撮影も一苦労で、結局彼に似ていたアメリカ人のロジャー・ディアボーン軍曹の写真が使われます。

ジーンが独身と知って彼女に密かに好意を抱いていたチャムリーは嬉しくなりますが、ジーンはモンタギューと2人で出かけるようになります。モンタギューはマーティンがパムに贈った指輪を用意し、それを見たジーンは喜びます。

上官のゴドフリー提督(ジェイソン・アイザック)に呼び出されたチャムリ―は、モンタギューの弟のアイヴァーがスパイ疑惑で諜報部の監視対象になったことを聞かされ疑いを抱きます。一方モンタギューは、提督がチャムリーだけを呼び出したのが気に入らず、ジーンのこともあり二人に溝ができます。

作戦決行の矢先、グリンドゥールの姉が現れ遺体を引き取りたいと申し出ます。説得に応じない彼女に「謝礼」を渡そうとしたのが逆効果になり、姉は金の受取を拒否して去ります。

遺体はドイツの諜報員のクラウスやキューレンタールが暗躍しているカディス港のウエルバに漂着させると決まります。彼らに情報を掴ませ信じさせてヒトラーの右腕のフォン・レンネ中佐に報告させることができれば成功です。

モンタギューとチャムリーは、偽造文書を作り始めます。モンタギューはマーティンがパムに送るつもりだったラブレターを偽造し、悩んだ末にごく普通の手紙を採用します。「戦時下でなければ結婚していた」という文面に打たれるジーン。彼女はモンタギューを愛するようになっていました。
手紙の中にジーンのまつ毛が入れられます。開封した痕跡が無くてもまつ毛がなくなっていたら敵方が読んだ証拠になるからです。ハスターが書いたパムからの手紙はマーティンが繰り返し読んだと思わせるようにすりきれた状態にしました。
チャムリ―はジーンに愛を告白しますが断られます。しかしモンタギューは二人の間には何もないと言ってジーンを傷つけてしまいます。

いよいよ作戦決行です。チャムリーとモンタギューは遺体を運ぶ任務に就きます。車中でチャムリーはモンタギューにアイヴァーのことを聞き、モンタギューは弟は変人だからだと答えます。

潜水艦基地に到着すると、遺体は潜水艦セラフ号に運び込まれ、チャムリーが任務遂行に当たります。先にロンドンに戻ったモンタギューは「何もない」と言ったことをジーンに謝罪します。

海中へ落とされた遺体はカディス湾に流れ地元の漁師が引き揚げます。スペインに送り込んだ工作員から、遺体発見の知らせが入ると、英国が必死に遺体を引き取りたがっているように工作します。戻ってきた遺体の所持品の封筒の蠟は開封されていないように見えましたが、まつ毛が消えていたことから「開封されただろう」と結論付けられます。

ジーンが帰宅すると、遺体に持たた筈のパムの写真が机にあり驚きます。そこに現れたのはバーテンダーのテディ彼はスパイだったのです。脅迫され、ジーンは諜報員として偽装工作を行なっていたとことを語ますが、ギリシャ侵攻は事実だと言いました。

ジーンの身を守るため、モンタギューはチャムリーの反対を押し切りジーンを自宅に匿うことにします。テディの裏にいるのが誰かで作戦の成否が変わってきますが、チャーチル首相はシチリア侵攻の延期はしないと決断します。

チャムリーの働きに感謝したゴドフリー提督の計らいで、兄・ロバートの遺体が帰ってくることになり母が喜びます。ジーンはモンタギューの引き止めを断り外国で働くことを選択します。ヘスターからアイリスが彼からの手紙を待っていることを聞いたモンタギューは妻に向けて筆をとります。(おいおい、ジーンとうまくいかなかったからってそれはないだろ!)

舞台は再び冒頭のシーンへ。
タイプの内容は、ミンスミート作戦の成功を伝えるものでした。チャーチル首相は「ミンスミートは消化された」と作を評価しました。

階段に座り、モンタギューとチャムリーは、作戦の成功と互いの健闘を称えました。チャムリーが兄の遺体が戻ってくることを話すと、モンタギューは葬儀に参列すると言いました。ジーンが去ったことで彼らの関係もまた戻ったということね。

実話に基づいた話のようですが、ジーンとの三角関係(実際は何もなかったけれど)は物語を盛るためのフィクションかな?😓 


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