日々是好舌

青柳新太郎のブログです。
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リニアとて 越すに越させぬ 大井川

2014年03月20日 16時22分00秒 | 日記
 延伸工事が完成したリニア実験線の周辺では既に水枯れという深刻な環境問題が各所で発生している。

 
 初めてこの問題が報告されたのは、1999年の大月市猿橋町朝日小沢地区で、住民が簡易水道の水源としていた沢が枯れた。

 
 2008年にリニア実験線の延伸工事が始まると、翌年、笛吹市御坂町の水源である一級河川の天川が、さらに2011年夏には上野原市秋山の棚の入沢が枯れた。この無生野地区の棚の入沢には、2011年まで尺(約30cm)サイズのイワナとヤマメが泳いでいたというが、今は乾いた川底の砂を晒している。

 これらの事実で分かるように地下深く巨大トンネルを掘ることによって地表の水は地下へ抜けてしまうのである。

 そこで話は大井川へ戻るが、越すに越されぬ大井川といわれたのは江戸時代のことであって、近年では常に水不足の状態が続いていた。

 その理由というのは、電力開発の結果である。ご承知のとおり水力発電は川を堰き止めてダムを作り、水の落差を利用して水車を回して発電するのである。だからダムに蓄えられた水は発電した後で川へ戻されればむしろ流水量は安定するのである。

 ところが大井川の場合はここに問題がある。1927年(昭和2年)、大井川本川源流部に田代ダムが完成し、田代第一発電所(認可出力:6800kW)・田代第二発電所(認可出力:21000kW)が稼動した。この田代ダムは富士川水系早川の保利沢ダムへ導水をしており、大井川と富士川を跨いだ水力発電が行われた。大井川の水はトンネルを通して山梨県側へ送られているのだ。

 田代ダムから取水される水量は完成当時の1924年には毎秒2.92トンであった。だが1955年(昭和30年)に東京電力は静岡県に対して毎秒4.99トンの取水量増量を申請、許認可を受けた。だが、この取水量増量は下流の自治体には知らされていなかった。そして取水量増加に伴い田代ダムより下流の大井川は、全くの無水区間となったのである。いわゆる「川枯れ」である。

 当時、大井川水系には田代ダムを始め電力会社管理ダムや取水堰堤が数多く建設され、水力発電に利用するため各所から取水していた。このため大井川の水量は急激に減少し1961年(昭和36年)の塩郷ダム完成によってダム下流約20km区間が完全に流水途絶したことにより、一層深刻な事態となった。

 近年の大井川の平均流水量は30.9 m³/s(神座観測所1991年~2003年(平均・平水))である。このうちの2.0m³/sが減少するとなると約6.5%にあたる大きな数字となる。

 今回のリニア新幹線のルート決定についても、誰が何時決めたのか知らされていない。先ごろ、掛川市の松井三郎市長は「掛川市は生活・農業・工業用水のすべてを大井川に頼っており、JRには減る2トン分を大井川に流すような工事をしてもらわなければ困る」と発言。
 
 牧之原市の西原茂樹市長も「下流はすべて大井川に頼っている。流量減について全く知らされないまま、2年前ずさんにルート決定された」と疑念を述べたそうであるが、自治体の首長をしてそうした発言をするのであるから、私のような市井の凡人にはそうした情報が届くはずがない。

 環境影響評価準備書については、静岡市が県に、県がJR東海に、意見書を提出する流れになっており、流域9市町が直接意見することはできない。と、すれば静岡市は流域市町の意見集約を行い適切な意見書を提出する責任がある。

 静岡県はさらにこれら市町の意見に加えて県として独自の意見を出す必要があるのではないか。大井川の水を二度と枯らすようなことがあってはならないのである。

リニアこそ 受益者負担 してほしい

2014年03月05日 14時52分49秒 | 日記
 受益者負担の原則(じゅえきしゃふたんのげんそく、beneficiary-pays principle、user-pays principle)というのがある。

、原則として市場経済において、市場の失敗が生じない限り、利益を受けるもの(受益者)が市場で決まる価格を支払い(負担し)、その経費及び生産者への利益へ回す仕組みが最適となることを述べたものである。

 基本的に受益者は、財・サービスの購入によって、その支払い額以上の便益(利益)を得る。一方で、公共財に対しては、その定義である非排除性あるいは非競合性により、通常は市場の失敗が生じ最適が実現不可とされ、従って受益者負担の適用前提条件外と考えられている。

 しかし、公共財の受益者に対しても受益者負担を適用する考え方も存在し、ある特定の公共財の建設や改良を行うことにより、特にその利益を受けるもの(受益者)が原則としてその利益に見合った経費を負担することをいう。

 解ったような解らないようなことをいって煙に巻こうというのではない。

 リニア中央新幹線こそ受益者負担の原則に従ってもらいたいと言っているのである。

 リニアの利用者個人は料金を支払って受益者負担をするから問題はないが問題なのはその個人の居住地域である。

 1979年、東京都・神奈川県・山梨県・長野県・岐阜県・愛知県・三重県・奈良県・大阪府の9都府県により「中央新幹線建設促進期成同盟会」が発足し、1988年に「リニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会」、2009年に現在の「リニア中央新幹線建設促進期成同盟会」に改称した。早期実現に向けて広報啓発・調査・要望活動などを積極的に行い、年に1回「リニア中央新幹線建設促進期成同盟会総会」を開催している。事務局は愛知県地域振興部交通対策課にあり、大村秀章愛知県知事が会長を務めている。

 JR東海が公表した「中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価準備書」によると、東京都港区と名古屋市にターミナル駅を置き、神奈川県相模原市、山梨県甲府市、長野県飯田市、岐阜県中津川市に中間駅を置くという計画になっている。つまり、静岡県は初めから蚊帳の外へ置かれていたのである。

 計画当初は木曽谷ルート・伊那谷ルート、南アルプスルートの3案があった。ルート図も最初のころは南アルプスの山梨県側を通るように表示されていたと記憶している。それがいつの間にか静岡県側を通るように変わって、東京ドーム3個分という膨大な量のトンネル発生土の処分地にされてしまっているのである。

 不思議でならないのは南アルプスルートは誰がいつ決めたのか、その権限や責任がいっこうに分からないことである。

 東海旅客鉄道(JR東海)は2014年度にリニア中央新幹線の建設工事を始めると言っている。今夏の早い時期に工事実施計画の認可を得た上で、具体的な工区の設定や測量を開始、自社所有地から周辺工事に着手する。沿線の用地取得には1年程度かかる見通しで、本格的な工事開始は15年半ば以降になる公算が大きい。

 リニア新幹線の環境影響評価(アセスメント)手続きは現在、詳細なルートや駅の位置を盛り込んだ準備書に対する各知事からの意見を待っている段階(締め切りは3月末)。各知事の意見を踏まえてJR東海が最終的な環境影響評価書をまとめ、国土交通省に工事実施計画を申請。1~2カ月で認可を得る考え。

 山田佳臣JR東海社長は取材に対して「(建設作業員の住居や機材搬入用の道路など)ベースとなるものをまず整備する」と述べ、14年は周辺の小規模な土木工事が始まるとの認識を示した。各都県に設定する複数の工区にそれぞれ現場事務所を設けるといった“着工”になりそう。

 もう遅いのかもしれないが、静岡県知事や静岡市長は後の世に禍根を残さないように対処していただきたい。

 南アルプスの豊かな自然と貴重な動植物、大井川の水資源、どれもこれも掛替えのないものばかりである。東京・名古屋間の所要時間をわずか6~7分間縮めるために静岡県民・静岡市民の失うものはあまりにも大きすぎるのではないでしょうか。

 リニア新幹線は山梨県側を通る元のルートに戻してもらおうではありませんか。