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◆氏素性糺せば怪し兜虫
(よみ)うじすじょうただせばあやしかぶとむし
氏素性とは生れや家柄、家系、経歴ということ。兜を被るのは一廉の武将ということだが、カブトムシは牛糞堆肥などに生ずるものだから氏素性は必ずしも誇れるものではない。季語は「兜虫」で夏。
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◆鶴嘴を提げて九字切る油照り
(よみ)つるはしをさげてくじきるあぶらでり
風がなく、薄日がじりじりと照りつけて、じっとしていても汗のにじみ出るような天気を油照りという。鶴嘴は土工具。九字を切るとは「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」の九字の呪文と九種類の印によって除災戦勝等を祈る作法である。季語は「油照り」で夏。
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◆兜虫愚直の糸を張り通す
(よみ)かぶとむしぐちょくのいとをはりとおす
カブト虫に糸を付けて放っておくと逃げたい一心で糸は真っすぐに伸びます。季語は「兜虫」で夏。
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◆ぬばたまの夜風がよどむ稲の花
(よみ)ぬばたまのよかぜがよどむいねのはな
射干玉(ぬばたま)はヒオウギの種子。球形で黒く光沢があることから黒・夜・髪・夢・夕・宵などに掛る枕詞になっている。季語は「稲の花」で夏。
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◆炎天の短き影が杭を打つ
(よみ)えんてんのみじかきかげがくいをうつ
炎天下では太陽は真上にあるので影は短くなる。その短い人影が杭を打っているという状景。掛矢を振るっているのは私です。俳句は一人称の文芸です。季語は「炎天」で夏。