日々是好舌

青柳新太郎のブログです。
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筆で書く古稀の手習い捗らず

2017年04月26日 17時34分50秒 | 日記
天城山深く分け入り甘茶を探す
16歳、高校一年生の時、伊豆の天城山を縦走した。この時、ヤマアジサイの変種アマギアマチャを採集した。山中で2泊して3泊目は松崎の大沢温泉の河原に野営したが生まれて初めて混浴の露天風呂に入った。
今から54年前のことであるが鮮明な記憶が残っている。

たんぽぽの茎の草笛ほろ苦し

ワンカップ大関空けて薊一輪を挿す

蕨煮て漸く春を堪能す

2017年04月14日 20時02分24秒 | 日記
「蕨・わらび」

 これは何かの折りに聞いた話である。太古、地球上に恐竜などの爬虫類が跋扈していた頃には、植物界でも羊歯類が全盛で、大型の羊歯植物が繁茂していたらしい。当然、草食の恐竜もいて、豊富な羊歯類を鱈腹喰らって繁栄していたようである。

 その羊歯植物だが、この仲間には所謂、毒草と呼ばれるものが存在しないそうである。

 有毒植物は羊歯植物から顕花植物への進化の過程で出現したようだ。しかし、毒が無いからと言って羊歯類全体が食用に適しているわけではない。

 羊歯類の中で一般的に食用されているのは、「蕨・わらび」「薇・ぜんまい」「清滝羊歯・きよたきしだ」「こごみ」などである。

 「こごみ」は山菜としての呼び名で植物学的にはオシダ科クサソテツという。これら食用の羊歯類に共通することは、冬になると地上部が枯れ、翌春に若芽を出して更新する夏緑性植物であるということだ。だから、春先にその柔らかな若葉を採って食用にするという次第である。

 最初に有毒の羊歯植物は無いと申し上げたが、これら羊歯類の山菜も大半は、生の状態ではアクが強く、エグ味があるので生食には適さない。

 私は蕨を食うときにいつも思う。木灰を利用して蕨のアクを抜く方法を最初に発見した人は、河豚を最初に食った人と同じくらいに人類に貢献したのではなかろうかと。

 さて、蕨の話である。蕨はウラボシ科の羊歯類だから花の咲かない隠花植物である。地上部は冬に枯れるが、地中には延々と地下茎を張り巡らせている。

 蕨の地下茎には良質の澱粉を多量に含んでいる。この地下茎を掘り採って擂り潰し、水に晒して精製したものが蕨粉である。蕨粉から作る蕨糊は接着力が強く、傘や提灯を貼るのに用いられる。蕨餅は蕨粉から作った餅で黄粉や黒蜜をかけて食べる。

 枯れた蕨は明るい茶色である。他の枯れ草と色彩が少し違うから注意して見るとすぐに判る。蕨を採るということは、即ちこの枯れた蕨を探すことである。

 前年の冬に枯れた蕨の下には翌春必ず早蕨が萌え出すのである。

 蕨採りには小さな鎌を使うと具合が良い。なるべく根元から刈り取って家に持ち帰る。蕨を食うためには最初にアクを抜かなければならない。

 アクの抜き方には幾通りかある。先ず、蕨を手に持って軽くポキッと折れるところで折り、根元の硬い部分は捨てる。残った柔らかな部分を器に並べ、木灰を振りかけてから熱湯を注ぐ。一晩放置してから真水で木灰を洗い流す。これでアクは完全に抜けている。

 木灰が入手できないときは、稲藁を一把燃やして藁灰を作る方法がある。また、硬い部分を取り除いた蕨を茹でて木灰を塗す方法もある。

 生のままの蕨をたっぷりの塩に漬け込んで保存する方法もある。

 一番簡単なアク抜きの方法を伝授しよう。

 薬局から胃酸過多の人が服用する重曹を買ってくる。硬い部分を取り除いた蕨に、重曹を薄く霜が降りた程度に振り掛ける。

 蕨全体が浸かるまで熱湯を注ぎ一晩放置する。翌朝、重曹の液を奇麗に濯ぎ流してアク抜きは完了する。

 灰にせよ重曹にせよ使用量が多すぎると蕨は溶けてしまうので、量を加減することが肝要である。

 蕨の料理方法について申し上げよう。私は毎年、最初に収穫した蕨を必ず味噌汁にして味わう。

 収穫量が多くなると、今度は油揚げなどと一緒に煮て食べる。アクを抜いた蕨に花鰹と醤油をかける、所謂、「蕨のおひたし」なる食い方を私は好まない。

 美食家として夙に著名なかの北大路魯山人は、山の蕨は海の河豚に匹敵すると言っていたそうである。

 河豚と同様に、味は淡白だが、それだけに料理人が腕を揮うのに格好の材料となるようだ。

 なにやら取り留めの無い話に終始したが、今回からは山菜の話にお付き合いいただくことにする。



◆誰にも教えないわたしひとりのわらび山  白兎