中池見湿地 15年で20万人
http://www.yomiuri.co.jp/local/fukui/news/20150514-OYTNT50088.html
◇敦賀市 維持財源 有料化も検討
敦賀市樫曲の中池見湿地の入園者数が14日、環境保全エリア「人と自然のふれあいの里」の開園した2000年5月以降、20万人に達した。12年のラムサール条約登録で知名度が高まり、来訪者は大幅に増えているが、将来的な維持管理費の財源確保などの課題にも直面している。
20万人目の来訪者は市内の藤ヶ丘保育園の園児約30人。記念の花束を受け取った宮松桃花ちゃん(5)は「大好きな場所で、何度も来ている」と喜んだ。
中池見湿地は、山や断層が谷川をせき止めた「天然ダム」に、枯れた植物が泥炭層となって堆積した珍しい地形だ。広さ約25ヘクタールに約3000種類の動植物が生息する。かつて液化天然ガス(LNG)備蓄基地の建設が計画されたが、事業者の大阪ガスが断念して土地などを市に寄付した。
年間の来園者数は1万~1万5000人で頭打ちしていたが、同条約に登録された12年度は約2万1000人。13、14年度はさらに増えて約2万8000人だった。
一方で、湿地の保全・活用で悩みの種も多い。北陸新幹線の県内延伸ルートが、周辺の山を含む条約登録エリア(約87ヘクタール)を通る。湿地への影響を抑えようと、今月に入りやや東側のルートに変更されたが、登録エリアを横切ることに変わりはない。地元のNPO法人「ウエットランド中池見」事務局の笹木進(72)さんは「湿地の地下水に影響しないかが心配」としている。
年間2000万円程度の維持管理費は、市の基金を取り崩して捻出している。基金残高は14年度末で約1億7000万円で、10年以内に枯渇する計算だ。市は入園の有料化の可能性も検討する方針だが、残された期間はさほど長くない。