敦賀の切り絵作家・増田妙子さんが亡くなられた。
今日は、葬儀に参列した。
妙子さんは、お会いするたび、
わたしを体中で抱きしめてくれる人だった。
わたしたち2人をつなげているのは、
妙子さんの息子だった悟君である。
過去形でしか語ることができない悟君は、
数少ない敦賀の反原発の担い手だった。
もんじゅの裁判の時、金沢高裁のまえで「勝訴」の
垂れ幕をもってテレビに映っていた悟君の顔を忘れることができない。
そして市民劇団「いっかいこっきり」の舞台美術家としても
なくてはならない人だった。
劇団の大道具も小道具もぜんぶ悟君の手作りだった。
妙子さんは
「あんたを見ると悟を思い出す」と泣きながら
わたしを抱きしめるのだ。
悟君にそっくりな妙子さんの顔をみながら
「天国で悟君に会えるね」と最後の言葉をかけた。
抱きしめてくれる人をなくしたわたしは、
さみしくてまだ、涙が止まらない。