春を感じながら

また冬に戻った春

大事にしていたプランターのミニ薔薇は枯れ
駐車場は草まるけ
睡蓮鉢には水はなく、代りに落ち葉がたまり
めだかの水槽は水が干からびそうになっている

大きくなっていく黄藤は、葉をたれ
柚子はいつのまにか、白い蕾をつけている
さくらんぼは、ほんのりと色づきはじめて
鉢のブルーベリーは白い可憐な小さな花をつけだした

ほったままの紫の花は、いつのまにかプランターからはみ出るほどに咲き乱れ
大事にしていたアボカドは、７本も枯らしてしまった
枯れるはずのないブーゲンビリアはその花言葉「情熱」をわすれてしまった


冬の間に荒れ果ててしまった庭
自分の中に重ね合わせる

枯れた鉢やプランターをかたづけて
花芽を出し始めたアマリリスの鉢を並べ替える
垣根にのしかかるように伸びるアイビーの蔓を切り
咲きはじめたジャスミンの白い花の匂いを嗅ぐ

シートの上に広げた土は、春の匂いと吸いはじめる
次の鉢への出番を待つ

眠れない、眠らない夜は
夜明けの早まってきた暁に
いつのまにかその姿をかえはじめる

あなたの声を聴きながら
短い夜は終わってしまい
その終わりかける夜を呼び戻すかのように
あなたの名前を呼ぶ



そぎ落とすかのように
使わなくなったバックをいくつも処分して
着ることのなくなった服をも処分する

何を捨てて
何を抱えるのか
その選択肢を思索する

理解していることを
消化できずに
やり過ごす日々に
流れない時の中で止まらない時間を数える

独り、真夜中に声を上げて泣き叫び
踏み出すことの出来ない一歩と
許すことをしない頑なな想いと
平常を保ちながら、張りつめあうやりとり
ありえない日常を作り上げ
その足枷を引きずりながら
はがすことのできない柵を纏ったまま

それが正しくもなく、間違いでもなく
だすことのできない答えは
自分の中にだけある
誰の意見も思いもそこにははいりこむことはできない

時間だけが解決することなのか
それとも縋ることで逃げようとするのか




成り下がった自分にだけはなるのをやめよう

信じるものは
自分の目で見て、自分の心で感じたことだけ
それ以上もそれ以下でもない

ただ今は、張りつめた糸をほんの少しだけ緩めることをしよう


意固地に拒み続ける、無意識のなかでの心に
戸惑いと怖さをかさねあわせながら
一番怖いのは自分自身の気持ち






終わりかけたクリスマスローズ
あせた花の色
今年は綺麗に株をわけてみよう