朝焼けを見るために

神様からの贈り物。一瞬の時。

止まらない時間

2006-12-25 12:53:40 | 徒然に
木の上に棲む猫は、時間の割れ目を探す。
入り込むことができるのは、迷う込むことを恐れないものだけ。

小さな石ころに、つまずくことばかり。
石ころをけりながら、道を歩くことを忘れた。

砂利道の中では、どれが自分の石ころなのかを、
判別するころすら不可能で、
見失った石ころを、日が暮れるまで探す。

真っ暗な夜道に、ふと顔を上げれば、
小さな台所の灯が、ぽつりぽつりと灯りだす。

軒下に入り込む野良猫に、帰りそびれた時間だけを探す。



静かな日差しを思い出し、
上着の襟を立てながら、
灯るネオンの合い間を、
足早に通りすぎようと思うのは、
一人で膝を抱えなくてはならない小さな部屋を思いだすから。




弾き飛ばされた石ころは、
更に小さく砕けてしまったのかも知れない。
コンクリの側溝の間に、
その姿を消したのかもしれない。


他の躓いた石ころを、
蹴りだせばいいものを・・・
躓き続ける石ころは、
拾い上げて、手の中に転がす。
ひとつ、二つと手の中で転がす。

小さな石ころは、その冷たさを体温に変え、
含む手のぬくもりよりも、その小さな礫のほうが、
熱を蓄え始める。



手の中の石ころと、
蹴り飛ばす石ころと、
何を違いに、時間の割れ目を探すのか。


木の上に棲む猫は、姿を現すことはない。

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