
一見版画にも見えるこれらの作品、実はスクラッチという画法を使ったクレヨン画です。
大人の方もきっとこどもの頃、一度は描いた事があるのではないでしょうか?
スクラッチとは、「ひっかく」とか「傷を付ける」という意味ですが、その名の通り、クレヨンを塗り重ね画用紙の表面をひっかいて削っていくと、その下から最初に塗った色が出てくるという画法です。

カラフルな細い線の色は、最初に塗った下地の色。
黒い部分は、下地の色を覆い重ね塗りした表面の色。
絵を描き始めるまでに下準備にちょっと手間がかかりますが、先の尖った割り箸ペンで絵を描くと、削る場所によって出てくる色が変わるのであちこちから歓声が!!
この画法は、絵本「くれよんのくろくん」で紹介されていることもあり、こどもたちには馴染みがありますが(12人全員知ってました)、実際に描いたことのある子はいませんでした。
画用紙を塗りづぶすのにかなり根気が必要かなと思っていましたが、私が思っていた以上にみんな早くできて、線描きに時間をかけて制作できました。
動物や風景を描く子が多かったのですが、動物の輪郭線を描くだけではなく、その中に細かく模様を描いたり、細い線で描けるという利点を生かして、普段のクレヨン画では表現できないような絵に仕上がっています。
もうひとつ、細い線だからできたこと。
さりげなく、画面のどこかに自分のサインと年号が描いてあるので探してみてください。(写真では、分かりませんね。残念!)
伊藤