左から 千佳 『再生』中2 / 月咲 『ドバイ』中1 / 雪奈 『道』中2
寒すぎて冬用の服を引っ張り出しています、ナツメです!昨日に引き続き市美術展に出品した学生たちの作品を紹介します!!
まずは千佳の作品。奥まで延々と続いている階段や街灯など、浮遊感が不思議な空間ですね!背景や仮面も相まってファンタジー小説のワンシーンのような光景です。全体的な色味や後ろの光は暖かいですが、仮面から2人の表情が読み取れないからでしょうか、どこか切ないような気持ちにもなってきます。頭蓋骨を被った人が語りかけるように座っている狐面の人の肩を叩いているところを見ると、顔が見えずとも彼らなりのコミュニケーションの取り方があるのでしょうか。待っていた人を迎えに来たようにも去り際にも見えますが、真相はいかに…!?
続いては月咲の作品。ドバイといえば高層ビルや高級リゾートが立ち並び活気に溢れている…というイメージが強いですが、この絵では人が1人もおらずビルだけが立ち並ぶ閑散とした光景が描かれています。右上の色遣いが変えられている部分では画面が切り替わっているようにも見え、SFのような不思議な印象も受けますね。描かれているビルですが、もしすべてが直線でかっちりと描かれていたら整頓されすぎて近寄りがたい雰囲気のある絵になっていたと思います。しかしこの絵ではぴしっとした線を使わないことで、人を近づけさせるような魅力を出しています!
雪奈の作品はショッキングピンクが印象的ですね!ピンクと黒の組み合わせは画面が強烈になり安っぽくもなりがちなのですが、この作品では黒を3箇所に抑えてガツンと入れることでかっこいい画面にしています。写真だとわかりませんが絵の具の上からジェルメジュームという画材を使っているため、表面はツルツルしています!彩度の高いピンクと黒を使っている分、踏み出している足のくすみのある肌の色も映えていますね。足元だけを映す構図も大胆!タイトルは「道」ですが、果たしてどんな道なんでしょうか?進んだ先に何があるのか、どこへ一歩踏み出そうとしているのか…見る人の想像も掻き立てられますね。
描いているモチーフや構図、色使いから塗り方まで全く違う3枚ですが、どれも自分が絵で表現したいことを明確に持っていることが感じられる作品です。絵を描くこと、特に自分の世界観を描くことは自分自身を曝け出す行為になります。取り繕ってもいい絵は描けませんし、それでも自分は絵に現れてしまいます。大人になっていくにつれて段々必要な勇気も増えてきますが、そんな抵抗も今回のように若いパワーでぶち破って今後もたくさんの表現をしてほしいですね!!