優 高2 岩絵具・銀箔/パネルに和紙
大竹です。今回ご紹介させて頂くのは学生クラスの優の作品です。彼は昨年の市美術展の学生部門で大賞を受賞した実力者ですね。(作品はコチラ)今回は日本画に挑戦でしたが、慣れない画材でも作者の元々の力量の高さを伺えます。
青い蜂(ルリモンハナバチでしょうか)と青の花で主役の色を合わせた、背景の赤とのコントラストが印象的な作品です。蜂の細かな描写や、薄い花びらの質感は流石の観察力ですね。羽は透け感を出すために薄い水干絵の具で塗り重ね、本体の方は岩絵具をのせる事で蜂の体毛のフカフカ感を表現しています。花びらは線を残す様な描き方がされており、蜂との描写の違いがまた面白いですね。
当初は背景全面を箔で埋める予定でしたが、それだとギラギラしすぎて主張が強くなってしまい、折角の繊細な描写が負けてしまう可能性があったため変更に。蜂に銀箔をまぶす程度に留め、背景は暁の空へとシフトチェンジしました。雲も最初は描かれておらず、赤い絵の具の塗りムラをそのまま生かすかどうか悩み、検討の末に赤い雲に。主役の蜂と花が十分に仕上がっている分、そのまま完成させても良い位でしたが、本人の希望でここまで詰めていきました。雲の下に朱色を薄く入れる事で、太陽そのものを描写せずとも画面外にその存在を感じさせてくれます。最後まで妥協せずに追いかけたお陰で、完成度も1段階上に行きましたね。お見事!