スタッフの三屋です。
オーディオ再生において、部屋の音はとても重要な要素の一つになります。
上の画像は、当店の試聴室ですが、色々とチューニングしてあります。これも他のアクセサリーと同じように、ただ闇雲ルームチューニング材を増やせば良いと言う訳ではありません。ルームチューニングにも順番があり、適材適所に施してやることにより、部屋の音を良くすることは可能です。
大まかに分類するとルームチューニング材は3種類あります、まず一つは吸音材です。その名の通り音を吸うものです。材質によって吸音する帯域が違います。スピーカーのエンクロージャーの中にも何かしらの吸音材が入っているものが多いです。
もう一つは、拡散材です。入って来た音を吸うのではなく散らしてやるものです。
もう一つは、吸音と拡散を組み合わせたタイプがあります。
部屋のコーナーの画像です。部屋の形は通常は四角い形をしています。しかし、コンサートホールは四角ではなく円形をしていることも多いです。これには理由があるのです。角があれば、そこで音が吹き溜まりになり抜けにくくなります。試しに音楽を再生している時に部屋のコーナー(特に天井側)で音を聴くと音が曇って聴こえるのが分かると思います。それだけ部屋の影響がある状態で聴いている事になります。角が無ければ、単純にスムーズに音が広がり易くなります。しかし、なかなか丸い部屋というものは現実的には作りにくいと思います。
オーディオにおいては、部屋がコンサートホールの役割を果たし、スピーカーが色々な楽器を演奏する演奏者の役割を果たすことになります。例えば、普通の部屋に沢山の演奏者を招いたとしても、良い音が出る気がしないと思います。楽器とオーディオでは、扱うエネルギー量も違うので、部屋の大きさも設計も違うからです。
また、カラオケボックスや、楽器屋さんの練習室、レコーディングスタジオとも、オーディオルームの役割は変わってくるはずです。そういったところは、まずは楽器などの大きい音圧を外に漏らさないというのが優先されるからです。ですから吸音と防音の設計になっていることが多いです。そういった部屋に、ホームオーディオを持ち込んで鳴らすと、音のエネルギーが吸われてしまいショボい音になります。
メーカーさんの測定に使用する、無響室という響きが全く無い部屋というものものもありますが、オーディオには向きません。オーディオは録音して再生するという過程があります。もしも完璧なマイクや、レコーディングシステムがあれば無響室が良いかもしれまんが、人間の耳や脳程に優れた感度を持った録音というのは不可能です。
ですから、部屋の響きも加味したチューニングが必要になってくるのです。どちらかというと、オーディオルームはコンサートホールに近い設計の方が向いているはずです。
上の画像は、部屋のコーナーにルームチューニング材を施した状態です。
丸い部屋が無理であれば、ルームチューニング材を使い、角が無い状態に近づけてやることは可能です。
部屋の問題は定在波の問題もあります。定在波というのはスピーカーから出た直進する波と、部屋の中で反射した波とが、複雑にぶつかり合い周波数特性上、大きなピークやディップが生じてしまう現象です。これが起こると、部屋のある位置で聴くと低域がブーミーになったり、全く低域が無くなったりします。音は波なので、スピーカーのセッティングする位置をずらすことにより、ある程度は回避可能です。実は、スピーカーを部屋の中のどこにセッティングするかというのも奥は深いです。しかし部屋は箱なので、それだけでは定在波は無くせません。ルームチューニング材の力が必要になります。
箱という点では、スピーカーのエンクロージャーも箱なので、各社工夫を凝らして、定在波対策を施している訳です。
適材適所にルームチューニングを施した状態というのは、適度に響きが残り、気持ち良く部屋全体に音が行き渡り、これまた格別です。
ケーブルやインシュレーターのチューニングとは、また違う音の世界があります。
オーディオルームの設計や、ルームチューニングに関して、ご興味のある方はお気軽にご相談下さい。