2月6日付琉球新報に掲載された〈佐藤優のウチナー評論〉で、佐藤氏が次のように書いている。民主党の小沢一郎幹事長不起訴を受けてのものだ。
〈沖縄としては小沢不起訴の結果を最大限に活用すべきだ。小沢氏と同じく辺野古移設に反対の立場を取る鈴木宗男衆議院外務委員長に外交委員会として正式に沖縄訪問することを働き掛け、普天間問題について沖縄の民意をより強く反映させる環境をつくるべきだ〉
同評論の中で佐藤氏は、小沢幹事長が〈米海兵隊普天間飛行場の辺野古への移設に反対する意向を持っている〉ことを強調している。一方で、小沢氏が「移設」先として下地島や伊江島に言及したとされることについて、つまり「県内移設」を考えている可能性があることについては一切触れていない。
それは鈴木宗男議員についても言える。佐藤氏は〈小沢氏と同じく辺野古移設に反対の立場を取る鈴木宗男衆議院外務委員長〉と書く。しかし、鈴木氏が同時に次のような考えを持っていることには触れないのだ。
〈私は、岡田外務大臣のいう嘉手納統合案も、普天間の危険性から考えれば一つの手だと思います。ただそれも、根回しなしで唐突に言うだけでは動きません。嘉手納は以前から騒音等の問題がありますが、騒音は減るどころか増えていて、沖縄はアメリカに不信感を強めています。私が国務大臣の時も、嘉手納統合案を言いましたが、アメリカ側の事情で受け入れられなかった。……しかし、その一二年前と、現在の国際情勢は変わってきている。だからいま新たに考えていく価値は大いにあると思います〉(『世界』2月号・170ページ)。
〈鈴木宗男衆院外務委員長は14日、大阪市内で開かれた共同通信社の「きさらぎ会」で講演し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先として「訓練できる滑走路があり騒音も関係ない」と述べ、沖縄県宮古島市の下地島空港が適当との考えを示した。
鈴木氏は移設先について「沖縄県や海外など色々検討したらいい」としつつ、「(県営の)下地島空港は民間しか使えないが、知事から自衛隊が使える許可をもらえば、米軍も使える」と指摘。「固定化ではなく、期限付きでもいい。本土でも訓練を受け入れローテーションを作るのが一番の解決」と強調した〉(産経新聞電子版1月14日付記事)。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100114/stt1001141744008-n1.htm
これらの主張を見るなら、鈴木議員は〈辺野古移設〉に反対しているといっても、一方で嘉手納統合案や下地島空港案など「県内移設」を主張しているのだ。注目すべきは鈴木氏が、両案を同時に主張していることであり、下地島空港については、知事から自衛隊の使用許可を得て米軍に使わせる、と具体的な方法まで述べている点である。
本ブログの1月15日に「沖縄における自衛隊強化の問題」という文章を載せた。その時はまだ、産経新聞電子版の1月14日付の記事を知らなかったのだが、後で読んで、やはりそういう手で来るのだろうな、と思った。鈴木議員と国民新党の下地幹郎議員の近しい関係を考えれば、『世界』2月号や共同通信社「きさらぎ会」講演での鈴木議員の発言が、私には下地議員の《本音》を代弁しているように見える。つまり、嘉手納統合案を基軸としつつ、普天間基地の機能、訓練の分散を名目に、下地島空港の自衛隊と米軍の共同使用を図るという狙いである。
引用した二つの鈴木議員の主張を佐藤氏は知っているはずだ。しかし、佐藤氏は鈴木議員の「県内移設」の主張については触れずに〈辺野古移設反対の立場〉を強調し、〈鈴木宗男衆議院外務委員長に外務委員会として正式に沖縄を訪問することを働き掛け〉るよう提案する。だが、その提案は佐藤氏が言うように〈沖縄の民意をより強く反映させる環境をつくる〉ことにつながるだろうか。
沖縄では自民党や公明党ですら「県外移設」を主張するようになっており、「県内移設」にしがみついているのは仲井真知事と下地議員くらいのものだ。沖縄県民の多数は、辺野古新基地建設反対と同時に「県内移設」にも反対しており、同時に普天間基地の固定化も許さない、という考えだろう。そういう〈沖縄の民意〉は鈴木議員の主張する嘉手納統合案や下地島「移設」案とは相容れないものだ。
それくらいのことは佐藤氏も分かっているはずだから、あえて計算尽くで鈴木議員への〈働き掛け〉を提案しているのだろう。鈴木議員の主張と〈沖縄の民意〉のズレを隠した上で〈働き掛け〉を呼びかける裏には、鈴木議員と沖縄の関係強化を図り、沖縄での影響力を拡大させていこうという思惑が透けて見える。それはまた佐藤氏の影響力の拡大にもつながるはずだ。
琉球新報の〈佐藤優のウチナー評論〉を読んだだけで、『世界』2月号や産経新聞電子版での鈴木議員の主張を読んでいない読者は、佐藤氏の主張を真に受けてしまうかもしれない。しかし、「県内移設」を主張する鈴木議員にいくら〈働き掛け〉たところで、〈普天間問題について沖縄の民意をより強く反映させる環境をつくる〉ことにはならない。むしろ、逆の結果を生むだけだ。
表向きは〈辺野古移設反対〉を口にしている政治家の虚々実々のかけひきを見抜かなければならない。
〈沖縄としては小沢不起訴の結果を最大限に活用すべきだ。小沢氏と同じく辺野古移設に反対の立場を取る鈴木宗男衆議院外務委員長に外交委員会として正式に沖縄訪問することを働き掛け、普天間問題について沖縄の民意をより強く反映させる環境をつくるべきだ〉
同評論の中で佐藤氏は、小沢幹事長が〈米海兵隊普天間飛行場の辺野古への移設に反対する意向を持っている〉ことを強調している。一方で、小沢氏が「移設」先として下地島や伊江島に言及したとされることについて、つまり「県内移設」を考えている可能性があることについては一切触れていない。
それは鈴木宗男議員についても言える。佐藤氏は〈小沢氏と同じく辺野古移設に反対の立場を取る鈴木宗男衆議院外務委員長〉と書く。しかし、鈴木氏が同時に次のような考えを持っていることには触れないのだ。
〈私は、岡田外務大臣のいう嘉手納統合案も、普天間の危険性から考えれば一つの手だと思います。ただそれも、根回しなしで唐突に言うだけでは動きません。嘉手納は以前から騒音等の問題がありますが、騒音は減るどころか増えていて、沖縄はアメリカに不信感を強めています。私が国務大臣の時も、嘉手納統合案を言いましたが、アメリカ側の事情で受け入れられなかった。……しかし、その一二年前と、現在の国際情勢は変わってきている。だからいま新たに考えていく価値は大いにあると思います〉(『世界』2月号・170ページ)。
〈鈴木宗男衆院外務委員長は14日、大阪市内で開かれた共同通信社の「きさらぎ会」で講演し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先として「訓練できる滑走路があり騒音も関係ない」と述べ、沖縄県宮古島市の下地島空港が適当との考えを示した。
鈴木氏は移設先について「沖縄県や海外など色々検討したらいい」としつつ、「(県営の)下地島空港は民間しか使えないが、知事から自衛隊が使える許可をもらえば、米軍も使える」と指摘。「固定化ではなく、期限付きでもいい。本土でも訓練を受け入れローテーションを作るのが一番の解決」と強調した〉(産経新聞電子版1月14日付記事)。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100114/stt1001141744008-n1.htm
これらの主張を見るなら、鈴木議員は〈辺野古移設〉に反対しているといっても、一方で嘉手納統合案や下地島空港案など「県内移設」を主張しているのだ。注目すべきは鈴木氏が、両案を同時に主張していることであり、下地島空港については、知事から自衛隊の使用許可を得て米軍に使わせる、と具体的な方法まで述べている点である。
本ブログの1月15日に「沖縄における自衛隊強化の問題」という文章を載せた。その時はまだ、産経新聞電子版の1月14日付の記事を知らなかったのだが、後で読んで、やはりそういう手で来るのだろうな、と思った。鈴木議員と国民新党の下地幹郎議員の近しい関係を考えれば、『世界』2月号や共同通信社「きさらぎ会」講演での鈴木議員の発言が、私には下地議員の《本音》を代弁しているように見える。つまり、嘉手納統合案を基軸としつつ、普天間基地の機能、訓練の分散を名目に、下地島空港の自衛隊と米軍の共同使用を図るという狙いである。
引用した二つの鈴木議員の主張を佐藤氏は知っているはずだ。しかし、佐藤氏は鈴木議員の「県内移設」の主張については触れずに〈辺野古移設反対の立場〉を強調し、〈鈴木宗男衆議院外務委員長に外務委員会として正式に沖縄を訪問することを働き掛け〉るよう提案する。だが、その提案は佐藤氏が言うように〈沖縄の民意をより強く反映させる環境をつくる〉ことにつながるだろうか。
沖縄では自民党や公明党ですら「県外移設」を主張するようになっており、「県内移設」にしがみついているのは仲井真知事と下地議員くらいのものだ。沖縄県民の多数は、辺野古新基地建設反対と同時に「県内移設」にも反対しており、同時に普天間基地の固定化も許さない、という考えだろう。そういう〈沖縄の民意〉は鈴木議員の主張する嘉手納統合案や下地島「移設」案とは相容れないものだ。
それくらいのことは佐藤氏も分かっているはずだから、あえて計算尽くで鈴木議員への〈働き掛け〉を提案しているのだろう。鈴木議員の主張と〈沖縄の民意〉のズレを隠した上で〈働き掛け〉を呼びかける裏には、鈴木議員と沖縄の関係強化を図り、沖縄での影響力を拡大させていこうという思惑が透けて見える。それはまた佐藤氏の影響力の拡大にもつながるはずだ。
琉球新報の〈佐藤優のウチナー評論〉を読んだだけで、『世界』2月号や産経新聞電子版での鈴木議員の主張を読んでいない読者は、佐藤氏の主張を真に受けてしまうかもしれない。しかし、「県内移設」を主張する鈴木議員にいくら〈働き掛け〉たところで、〈普天間問題について沖縄の民意をより強く反映させる環境をつくる〉ことにはならない。むしろ、逆の結果を生むだけだ。
表向きは〈辺野古移設反対〉を口にしている政治家の虚々実々のかけひきを見抜かなければならない。
<沖縄からの報告>
講 師:知念ウシさん(ライター・沖縄在住)
と き:2月15日(月) 開演:午後7時00分~
ところ:関西沖縄文庫(大阪大正区小林東)
参加費:1000円
月暦の正月ですが、関西沖縄文庫で沖縄集会が持たれます。近郊の方はぜひご参加下さい。
所属政党が替わったとしても、下地議員の親は米一という事実は変わりません。基地誘致で一番甘い汁を吸える立場にいるのです。
今回の視察でどんな茶番を演じるつもりなのでしょう。何度でも何度でも、NOという覚悟はできています。
地元からの要望という形で「屋良覚書」を破棄させようという動きが出てくるかもしれません。
基地利権を許さないために、宮古で頑張ってください。
「既に在る米軍基地」への県内移転が、唯一可能性ある方式と思わざるを得ません。新しく場所を提供する「下地空港」は私も反対ですが、「嘉手納基地」はやむ得ないと、嘉手納出身の私は思います。この点については下地議員を支持します。
それとは別に、
普天間から基地をなくすことと移設がセットでなければ、本当にいけないのでしょうか?
丸腰がいいとは言えませんが、世界一の経済成長をしようとしてる中国が国内問題も抱えて本当にイデオロギーのみで周囲の国に脅威なのでしょうか、市場原理の視点にたてば、脅威を与えることは不利益にしかならないとも考えられます。そんな中で嘉手納が負担増になることが本当に意味があるのでしょうか・・・
嘉手納統合案のメリットや軍事的合理性を説く主張は、下地幹郎氏に限らずいろいろ読んでいますが、三連協の首長がそれに説得されて受け入れることは考えられません。
嘉手納基地の歴史や現状が作り出している住民感情を、選挙で選ばれる首長が無視することはできません。
振興策をばらまいて受け入れさせるという手法もこの13年余で限界が露呈しています。
私はコザ高校で3年間勤めていたとき、沖縄市のパークアベニューの近くに住んでいました。
基地に依存して生活している住民がいるのも事実ですが、そういう人たちにしても、これ以上の負担はごめんだという人が多いでしょう。
ただ、行き詰まった鳩山政権が地元の意向を無視して、嘉手納基地やキャンプ・シュワブ陸上部など、既存の米軍基地内を「移設」先として打ち出す可能性はあると思います。
その場合、自民党・公明党を含めて沖縄の全政党が反対を表明するでしょう。
それを無視して受け入れを表明する度量は仲井真知事にはないと思います。
沖縄の自民党県連には鳩山政権に対する不満、反発がかなり溜まっています。
民主党にしても中央と県連のねじれもありますし、鳩山政権が「県内移設」を強行するなら、それこそ自公政権に対するとき以上の反基地運動が起こるのではないでしょうか。
それでも鳩山政権が強行するというなら、徹底してたたかうしかないでしょう。
鳩山首相が退陣して、別の首相が選ばれてもことは同じです。
すでに日本・米国にとって中国は欠かすことのできない経済的パートナーです。
これだけ経済的相互依存が深まっている国家間で、戦争が起こる可能性は極めて低いとおもいます。
米中間の軍事的交流も進んでいます。
資源争奪戦や領土問題、東アジアにおける覇権の問題はあっても、それが日・米・中の戦争にまで発展することは、それによってもたらされる経済的、政治的混乱、デメリットを考えると想像しにくく、軍事的手段以外での抑制力が働くと思います。
アメリカが沖縄の基地にこだわるのは、既得権益の保持や、思いやり予算による生活の快適さなどがあるからで、実際には海兵隊の全部隊が沖縄から出ていっても、米軍としては支障がないと思います。
仮に多少の支障があっても、政治が決定すればそれに対応するのが軍隊です。
本当は沖縄側からどこどこに「移設」しろと言う必要もないのであって、「戦後」65年も米軍が植民地同様に占拠していること自体が異常なのだからさっさ撤去せよ、と主張して、米軍が居られなくなるような運動と行動をやればいいだけのことです。
逆に地元の自公民が揃って県内移設を許さない。中国の経済状態が豊かになる。そういう意味では沖縄は大きな転換点に来ているとも言えるのですね。
「本当は沖縄側からどこどこに「移設」しろと言う必要もないのであって、「戦後」65年も米軍が植民地同様に占拠していること自体が異常なのだからさっさ撤去せよ、と主張して、米軍が居られなくなるような運動と行動をやればいいだけのことです。」
このお言葉は、米軍基地が返還されようがされまいが、抵抗運動をやる事自体が重要だという事なのでしょうか?
異常な状態は60年余も続いてきました。その間我々は「さっさ撤去せよ」主張し続けて来たに拘らず、日米の権力の前で、無力感を味わわされたのがこの年月ではなかったですか。
今、この数ヶ月で移設を決定できなければ、後60年は無理だと思います。
私が書いている文章を読んで「米軍基地が返還されようがされまいが、抵抗運動をやる事自体が重要だという事なのでしょうか?」という疑問を持ったのなら、もう一度よく読んでくださいとしか言いようがないですね。
私に限らず、沖縄で実際に運動を行っている人たちは、日々の貴重な時間を割いて運動しています。
「抵抗運動をやること自体が重要」などというお遊びをやっている暇はありません。
現在沖縄県議会では自民党、公明党を含めて普天間基地の「県内移設反対」もしくは「県外移設を求める」決議をあげようとして文言調整が行われています。
辺野古現行計画やキャンプ・シュワブ陸上部、嘉手納統合、下地島空港、伊江島補助飛行場など「県内移設」に反対する決議が県政与党も含めて県議会で上げられるのは大きな意義があります。
そういう状況を無視して、国民新党は嘉手納統合案を与党連絡会で提案するようですが、沖縄県内では猛反発が起こるでしょう。
しょせん下地幹郎議員が大米建設をはじめとした県内ゼネコンに工事を回すための提案ではないか、という批判が出るはずです。
三連協の首長が嘉手納統合案を受け入れることもまずないでしょう。
嘉手納統合案を主張するのはあなたの自由ですが、沖縄で多数世論を形成できるかどうか、まずは運動をやってみてください。
応援はしませんが、注目はします。
あなたがこれまで「さっさと撤去せよ」という運動をどれだけやってきたかわかりませんが、「後60年は無理だと思います」というような傍観者的な言い方はやめて、あとの世代のためにも汗を流しましょうや。
私は郷土の退廃ぶりを見て「統合」を考えたのであって、下地議員に共感したからではありません。与党内に居る彼が頑張ってくれれば良いと思ってだけです。
そんな形でも、「普天間解放」が実現されれば、更なる基地撤去運動に弾みが着くと予想してます。