鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

御田ケ原、七五三掛、千蛇谷 2

2020年11月03日 | 鳥海山

 七五三掛を経由して千蛇谷に行くためには御田ケ原を通ります。この御田ケ原、読みとしてオダガハラと書いてあるものがありますが、オダガハラではありません。オタガハラです。御田ケ原の先、御苗代で七五三掛で千蛇谷コースと外輪コースに分かれます。

 神様が御田植えされたことから御田ケ原。神様がオダウエされたのではなくオタウエされたところです。なので「オタガハラ」といいます。前にも書きましたが「御」が語頭にある場合、「オ」あるいは「オン」と読めば次の言葉は濁りません。昔の絵葉書ではローマ字で「godengahara」とふってあるのもありましたがそう読めるように書いてあるものは今のところほかには見受けられません。

 それから矢島口の御田、これも「オダ」とは読みません。「オタ」あるいは「オンタ」です。祓川ヒュッテの管理人だった佐藤康さんも「一人ぼっちの鳥海山」の中で「オタ」と読み仮名を振っていたしし、「ブナ林を守る―鳥海山と白神山地からの報告」の中でも御田はわざわざ「オンタ」と仮名が振ってあります。康新道も「ヤスシシンドウ」と仮名を振ってあるものもありますが発音してみて下さい。必然的に「ヤスシンドウ」となります。百宅口の「大清水」が「オシズ」なのも地元の呼称が正解だからです。人名に関しては音で読んでも間違いではありませんが地名は正しく読みたいものです。虫穴が土地により風石と呼ばれたように昔から複数の名称で呼ばれていたというところはその土地土地の呼称でいいのですけれど土地に何の関係もない人が勝手に呼称を変えるのはいけません。

 

 読みといえば蛇石流、下の地図、鍋森の右手方向をを見てください。

 この沢は「蛇石流」と呼び、「蛇石流沢」とはいいません。読み方は「ジャイシナガレ」です。通常「ジャイシ」と呼びならわしています。

 かつての「山と高原地図・鳥海山」の解説でかの池田昭二さんが「蛇石流沢」と書いていますが、池昭さんが「蛇石流沢」と書くはずがありませんのでこれは校閲で出版社が勝手に「蛇石流沢」と直したのでしょう。沢は必ず〇〇沢と呼ばなければならないという編集者の思い込みでしょうか。

 沢を「ソ」と呼ぶ場所も未だ鳥海山には何か所かあります。本当は「サワ」と呼ぶのが中央の人にとっては正しいのでしょうが地元の人にとっては「ソ」だったのです。檜ノ沢、荒木沢、ビヤ沢、白沢は今でもそれぞれヒノソ、アラキソ、ビヤソ、シラソと呼びます。他の地方で「ソ」と呼称するところがあるかどうかは寡聞にしてわかりません。

 

 千蛇谷へ行く前にまたしても紙面が長くなりましたので以降続きます。

 あっ、御田ヶ原の写真載せるの忘れました、まあいいか。

 


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