明日におあずけ!

バカ舌なのでノーマルの黒霧島と黒霧島EXの違いが判りませぬ…
( *´ー`)

キーチVS 最終巻  完結

2013年09月05日 | 日記
先日
ひとつの漫画が完結を迎えました



『キーチVS』


この作品に関しては過去に書いていますのでソチラにて


(以下はネタバレしますので了承された方のみお読みください)






深夜



読み終えた瞬間
何とも言えない喪失感にみまわれた僕






生い立ちから少年期までの主人公キーチは
強烈すぎる程『まっすぐ』で

その『まっとうな生き様』に


『彼なら腐れ切った世の中を変える事ができるかもしれない』と希望を託す作品でした


子供の彼でも世の中の矛盾に対して真っ向勝負する事で
彼はまさに『この国』をも根こそぎ変えてしまうカリスマ性を得たのですが



続編でもある『キーチVS』では



作者・新井英樹さんの訴える『この国のアイデンテティ(主体)』の
一番の『VS 敵』が

実はアメリカであったり


本当の根源は
本気で物事を変えようともしない事を良しとする
卑怯な
日本人ひとりひとりの移り気な
腐りかけた精神にあったのだと思います




この漫画は後半



どうしても抗う事のできない日米の関係にまでその矛先を向けます


しかも内容は
実にリアルに・・・です



長年
読み続けてきた僕としては




『この作品の結末というのは果たして



リアルにアメリカをも打倒して終わるのか?』



『世の中がまっとうになる姿まで書く事はできるのか?』
『そもそもその時点でリアルじゃなく絵空事、マンガで終わってしまうのではないのか?』




どんな結末なのか全く想像がつかなかったのですが




できれば


ハッピーエンドになっていてくれてほしいな‥






『キーチ!!』『キーチVS』



もはやイチ・漫画のキャラクターではなく
キーチ少年が成長し続け
青年になるところまで
一緒に歩み続けてきた読者であると自負する僕としては


エンド(終わらせる)ではなく



キーチも僕と同じく歳をとり
共に中年になってる近未来のこの国でも


相も変わらない世の中の不条理に向けて
不器用にも戦い続ける彼を見続けていきたいな、いや
そうあるべきだと願っておりました














キーチはその若さで
アメリカの特殊部隊に銃殺(しかも蜂の巣に)されて物語を終えてしまったのです




(ただ
人間、彼個人にとっての救いは
死の前に恋人との愛を初めて知る事ですかね



そこが無ければ
キーチは戦うだけしか知らずに死んでいった事になります


作者・新井さんが
キーチという人間に
最後の最期に
今まで彼が知らなかった『守るべき大事な宝物』を授け与えたのかもしれません)




結局物語は




彼の死後も



世の中が変わる事はありませんでした
今と全く同じです






一時期あれだけ崇拝していた民衆も
一部を除いて彼のとった行動は無謀で愚行だったと非難したり




全然



まっとうになるどころか・・・





犬死にだという事になります


救われません



切なくなります






こんな終わらせ方
誰が望んだ?






喪失感に苛まれながら
明くる日もこの作品のエンディングについて呆然としていたのですが




僕なりにたどり着いた解釈は


作者の新井さんなら
キーチが世直しを成功させるようなエンディングなんて書くわけ無いという事なんでしょうね


それが現実です



漫画なのだから
読み手がスッキリできれば『良かったね!』で終わる方を大概の作者は選ぶはずです
でもそれでは
やっぱり漫画が『マンガ』の領域を超える事は無いと思われます

新井さんはそういった読み手の希望も思惑もぶっこわしました


バッドエンドですね



『結局日本人は
アメリカには抗えない』



カリスマとまで崇められた人間をもってしても
無残に銃殺され
亡き後の民衆の気持ちも移ろいゆく・・・



そう



つまりこれが




新井氏の説く
皆が目を背けたくなる『現実』なのかも知れません




でも



非情なまでに現実だからこそ

逆に『マンガ』という枠で片付けられず
伝えたい事への信憑性や説得力が増すのではないのでしょうか


社会風刺を気取る
まがい物の漫画とは
書き手の覚悟からして違うと思います



だから強い
強いメッセージが遺るのだと思います


(こうしてブログに書いてしまってる僕がいるみたいに)





なにも僕はこの作品を通して革命心を持った気分に酔いしれてる訳ではありません


世の中をまっとうに変える力も

メッセージも持ち合わせていません



でも出来ることは



マイナーではあるかもしれませんが



こういった漫画があるのだという事だけでも
世に書き記すべきだと思い書かせていただきました







この新井氏の作品の魂の叫びは
何十年後には必ず評価される事と思います




だって




こんな作品
誰も書かないというか書けないでしょうから






長々と戯言にお付き合いいただき有難うございました


大多数の興味の無い方すみませんでした<(_ _)>







はー






スッキリした