今年、池波正太郎先生の生誕90年。残り3ヶ月となったところで、満を持して最新作の池波時代劇が制作された。
去る4日(金)午後8時00分、主演の雲霧仁左衛門に中井貴一さんを配し、京都太秦の松竹撮影所とNHKがタイアップして制作し放送が開始された。上下巻の分厚い小説「雲霧仁左衛門」を原作として、第1回から第6回に分けて放送される。
その第1回が放送され、思わず出来栄えのよさに感銘しながら、日曜日の再放送をも見入ってしまった。
「殺さず、犯さず、貧しきから盗らず」の本格的な盗賊の三ヶ条の掟を守り通す稀代の盗賊一味。その盗賊団の頭・雲霧仁左衛門とその一味、これらを厳しく取り締まる安部式部火付盗賊改方長官を筆頭とする組織、この二つの組織の戦いが描かれる。
池波小説の中で、盗みの三ヶ条を厳しく守る“本格・本筋の盗人”とは、「盗まれて難儀をする者へは手を出さぬこと、人を殺めぬこと、女を 手込めにせぬこと」であると、詳細に描かれている。
悪と善の二つの組織のリーダー(雲霧仁左衛門と安倍式部)、小説の中でお互い立場は違うが、それぞれに組織の戒律を守り、一糸乱れぬ行動をするためにリーダーとしての役割を十分遂行している。それぞれにカリスマ性が伺える。リーダーとは、何であるのか。
真のリーダーとは・・・筋書きが、次々と展開する中で、読者としてもどちらも素晴らしいリーダーと認めざるを得なくなる。
この雲霧仁左衛門と安部式部の時代から、50年後の火付盗賊改方長官長谷川平蔵を主人公にした鬼平犯科帳の中では、著者池波正太郎先生が人間の心理をものの見事に描いている。もちろん、雲霧仁左衛門の原作のなかにも、似たような言い回しが描かれている。
「人間というやつ、遊びながらはたらく生きものさ。善事をおこないつつ、知らぬうちに悪事をやってのける。悪事をはたらきつつ、知らず識らず善事をたのしむ。これが人間だわさ」(鬼平犯科帳 “谷中いろは茶屋”)
4日(金)の放送分において、お頭である雲霧仁左衛門(中井貴一)が、子供たちを相手に“シャボン玉”に興じているシーンが何度か映しだされていた。これも、まさに「悪事をはたらきつつ、知らず識らず善事をたのしむ」・・・の一つである。
配役陣は、雲霧一味に「雲霧仁左衛門(中井貴一)、七化けのお千代(内山理名)、木鼠の吉五郎(伊武雅刀)、因果小僧六之助(柄本佑)、州走りの熊五郎(手塚とおる)、おもん(遠藤久美子)、治平(山本亘)、お松(紅萬子)、富の市(渡辺哲)」のベテランの渋い役者さんから若手まで起用。
一方、火付盗賊改方に「安部式部(國村準)、山田藤兵衛(村田雄浩)、高瀬俵太郎(松田悟志)岡田甚之助(甲本雅裕)、お京(京野ことみ)、鹿伏の留次郎(南条弘二)、浅草の政蔵(中西良太)」と、こちらも実力派の俳優陣が火花を散らしている。
原作のなかの山田藤兵衛の風貌が、「骨張った山田藤兵衛の長身が、身じろぎもしなくなった。今年で四十歳になる藤兵衛だが、十は老けて見える。
大きく張り出した額の下にある両眼は細く長く、開いているのだか閉じているのだか、わからぬほどであったが、まれに笑顔を見せるとき、藤兵衛の左頬へ、浅い笑くぼが生まれるのである」と、描かれている。
その役を演じる村田雄浩さん、まさにハマリ役に思える・・・から、村田さんの演技にも注目すべきであろう。
七化けのお千代の内山理名さん、妖艶さを醸し出す場面もあるかと思うが、七変化、八変化のできる女優さんなので、今後のお千代さんの化け具合が楽しめそう・・・。
また、お頭の仁左衛門を支える小頭・木鼠の吉五郎の伊武雅刀さん、第1回放送分からベテランの味がタップリ出ており楽しみである。
一方、火付盗賊改方長官の安部式部の國村準さん、雲霧のお頭に負けないようにと・・・ちょっと、肩に力が入っているが、徐々に安部式部の持ち味がでると思われる。もっとも、池波小説で人気の高い火付盗賊改方長官長谷川平蔵を演じる中村吉右衛門さんとの比較も念頭におきながら、最後まで見ていきたい。
何と言っても、主役の中井貴一さんのお頭としての厳しい顔と鋭い目、子供を相手にシャボン玉に興じるやさしい目とその風貌の対比などを・・・最後まで堪能し、このドラマの成功を願っている。特に中井貴一さんのPR用のコメントにもあったけど、「時代劇を作り続けていく勇気や演じ続けていく勇気をもたなければならない」・・と。
これからも、本格的な時代劇が撮りつづけられることをファンの一人として願っており、このドラマが大きな引き金となるよう応援したいものである。(夫)
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去る4日(金)午後8時00分、主演の雲霧仁左衛門に中井貴一さんを配し、京都太秦の松竹撮影所とNHKがタイアップして制作し放送が開始された。上下巻の分厚い小説「雲霧仁左衛門」を原作として、第1回から第6回に分けて放送される。
その第1回が放送され、思わず出来栄えのよさに感銘しながら、日曜日の再放送をも見入ってしまった。
「殺さず、犯さず、貧しきから盗らず」の本格的な盗賊の三ヶ条の掟を守り通す稀代の盗賊一味。その盗賊団の頭・雲霧仁左衛門とその一味、これらを厳しく取り締まる安部式部火付盗賊改方長官を筆頭とする組織、この二つの組織の戦いが描かれる。
池波小説の中で、盗みの三ヶ条を厳しく守る“本格・本筋の盗人”とは、「盗まれて難儀をする者へは手を出さぬこと、人を殺めぬこと、女を 手込めにせぬこと」であると、詳細に描かれている。
悪と善の二つの組織のリーダー(雲霧仁左衛門と安倍式部)、小説の中でお互い立場は違うが、それぞれに組織の戒律を守り、一糸乱れぬ行動をするためにリーダーとしての役割を十分遂行している。それぞれにカリスマ性が伺える。リーダーとは、何であるのか。
真のリーダーとは・・・筋書きが、次々と展開する中で、読者としてもどちらも素晴らしいリーダーと認めざるを得なくなる。
この雲霧仁左衛門と安部式部の時代から、50年後の火付盗賊改方長官長谷川平蔵を主人公にした鬼平犯科帳の中では、著者池波正太郎先生が人間の心理をものの見事に描いている。もちろん、雲霧仁左衛門の原作のなかにも、似たような言い回しが描かれている。
「人間というやつ、遊びながらはたらく生きものさ。善事をおこないつつ、知らぬうちに悪事をやってのける。悪事をはたらきつつ、知らず識らず善事をたのしむ。これが人間だわさ」(鬼平犯科帳 “谷中いろは茶屋”)
4日(金)の放送分において、お頭である雲霧仁左衛門(中井貴一)が、子供たちを相手に“シャボン玉”に興じているシーンが何度か映しだされていた。これも、まさに「悪事をはたらきつつ、知らず識らず善事をたのしむ」・・・の一つである。
配役陣は、雲霧一味に「雲霧仁左衛門(中井貴一)、七化けのお千代(内山理名)、木鼠の吉五郎(伊武雅刀)、因果小僧六之助(柄本佑)、州走りの熊五郎(手塚とおる)、おもん(遠藤久美子)、治平(山本亘)、お松(紅萬子)、富の市(渡辺哲)」のベテランの渋い役者さんから若手まで起用。
一方、火付盗賊改方に「安部式部(國村準)、山田藤兵衛(村田雄浩)、高瀬俵太郎(松田悟志)岡田甚之助(甲本雅裕)、お京(京野ことみ)、鹿伏の留次郎(南条弘二)、浅草の政蔵(中西良太)」と、こちらも実力派の俳優陣が火花を散らしている。
原作のなかの山田藤兵衛の風貌が、「骨張った山田藤兵衛の長身が、身じろぎもしなくなった。今年で四十歳になる藤兵衛だが、十は老けて見える。
大きく張り出した額の下にある両眼は細く長く、開いているのだか閉じているのだか、わからぬほどであったが、まれに笑顔を見せるとき、藤兵衛の左頬へ、浅い笑くぼが生まれるのである」と、描かれている。
その役を演じる村田雄浩さん、まさにハマリ役に思える・・・から、村田さんの演技にも注目すべきであろう。
七化けのお千代の内山理名さん、妖艶さを醸し出す場面もあるかと思うが、七変化、八変化のできる女優さんなので、今後のお千代さんの化け具合が楽しめそう・・・。
また、お頭の仁左衛門を支える小頭・木鼠の吉五郎の伊武雅刀さん、第1回放送分からベテランの味がタップリ出ており楽しみである。
一方、火付盗賊改方長官の安部式部の國村準さん、雲霧のお頭に負けないようにと・・・ちょっと、肩に力が入っているが、徐々に安部式部の持ち味がでると思われる。もっとも、池波小説で人気の高い火付盗賊改方長官長谷川平蔵を演じる中村吉右衛門さんとの比較も念頭におきながら、最後まで見ていきたい。
何と言っても、主役の中井貴一さんのお頭としての厳しい顔と鋭い目、子供を相手にシャボン玉に興じるやさしい目とその風貌の対比などを・・・最後まで堪能し、このドラマの成功を願っている。特に中井貴一さんのPR用のコメントにもあったけど、「時代劇を作り続けていく勇気や演じ続けていく勇気をもたなければならない」・・と。
これからも、本格的な時代劇が撮りつづけられることをファンの一人として願っており、このドラマが大きな引き金となるよう応援したいものである。(夫)
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