令和の時になって、冷たい風が吹き始めた。
東アジアの地に、ふたたび戦人の声が聞こえなければよいが。
明治・大正・昭和と、この国を牛耳ってきた人々が、
過去の罪を恐れて臭いものに蓋をする。
権力を身にまとう人々は、いつまでもその鎧を脱ごうとはしない。
しかし、すでにうすら汚れて内から腐臭がし始めている。
びわ湖の北にある小さな川に、多くのアユが集まっている。
いくつかの背中は寄生虫に襲われ、泳ぐのもやっとだ。
白い腹を出して漂うアユの死体のそばでは、
暑さにあえぐツバメが溺れていた。
皆が自分だけのことを考えて、他の人のことを思いやらない。
私たちは思いやりという言葉をどこに忘れてきてしまったのだろうか?
主張することは悪いことではない。
しかし溺れているツバメに石を投げつけるようなことは止めよう。
令和の時になって、嫌な風が吹き始めた。
この地に、得意げに人を罵倒する声はいらない。