DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

生きる(76)

2015-07-29 13:02:53 | ButsuButsu


琵琶湖汽船の中村さんが、子供たちに水の実験を見せている。

琵琶湖の全循環を説明する実験だ。

青色の水や、お湯、氷を巧みに使って説明する中村さんの世界に、子供たちが引き込まれる。

不思議なもので、全く素人だった中村さんの話も、だんだん上手になってきている。

習うより慣れよ。

Custom makes all things easy.

こうして、琵琶湖の不思議が、子供たちの心に届いていく。

研究者がしかめっ面で話す言葉よりも、ずっと優しいコミュニケーションだ。

隣で見ている私は、彼女の上達ぶりに嬉しくなる。

少しずつ、少しずつ、輪が広がり、育っていけば良い。

子供たちにとって、中村さんの実験は、手品のような不思議さを感じさせるのだろう。

「琵琶湖は年に一度、こうして深呼吸するんです」

と言って中村さんは締めくくる。

そして、子供たちが少しだけ成長する。

私たちの世界は、こうした、ゆっくりとした歩みで確実に広がっていく。
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生きる(75)

2015-07-28 01:47:15 | ButsuButsu


沖島名物「よそもんコロッケ」に、子供たちが殺到した。

できあがるまでに20分かかる。

どういうわけか、今日も琵琶湖の湖上学習会。

毎度のコースで、親子約20組が沖島に上陸した。

約300人の人々が暮らすこの島は、我が国にある湖の中で、唯一の住民が住む島でもある。

そこで売られている「よそもんコロッケ」とは、なんとあの不敵な外来種、ブラックバスのコロッケだ。

よそもんで、嫌われもんのブラックバスが、コロッケとなった。

子供たちはコロッケが大好きだ。

結構いけると、口々に叫んでいる。

早速、大学生のお兄さんも購入した。

居直ったかのような「よそもん」という名前が受けているのかもしれない。

よそから来たブラックバスが、ここでは人気者だ。

こういう発想は大切なのかもしれない。

狭い地域社会である沖島で、大きな船でやってくる人間はみんなよそもんだ。

よそもんが「よそもんコロッケ」を食べるのが何となく滑稽だが、売る方も買う方も極めてまじめだ。

こうして外来種が少なくなれば、在来の魚種にとってもよいことなのだろう。

そう思って、会う人毎に喧伝している。

沖島へ行って「よそもんコロッケ」を食べよう!
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生きる(74)

2015-07-26 05:57:12 | ButsuButsu


夏の日、琵琶湖の湖上学習会を開いた。

子供たちはみんな元気だ。

年々、参加者が増えて楽しい催しとなってきた。

この取り組みをできる限り続けたいと思っている。

この子供たちは、明日の日本を支える梵天の民だから。

1860年、万延元年の訪米使節が乗った咸臨丸がアメリカに着いた。

サンフランシスコから、パナマ鉄道で東海岸へ着いた一行が、ニューヨークでパレードに参加した。

そのときの様子を見ていた一人の詩人がいた。

ウォルト・ホイットマン(1819年~1892年)だ。

彼は、"The Errand-Bearers (使命を帯びた者たち)"という詩を、同年6月27日付の 「ニューヨーク・タイムズ」新聞に投稿した。

その詩はのちに構成を変えられ、"A Broadway Pageant"と改題された。

「西の洋をわたって、ニフォン国より此方へとやってきた、礼儀ただしい、頬の浅黒い、二刀差の使節たち(W・ホイットマン詩集『草の葉』より)」

で始まる詩の中に、

「The race of Brahma comes」

とある。

小説家、香川宣子は、これを梵天(ぼんてん)の民と訳した。

君臣が互いに親しみ合うことを意味する咸臨丸には、勝海舟、木村摂津守、福澤諭吉、通訳の中浜万次郎(ジョン万次郎)などが乗船していた。

彼らの堂々とした行進が、ホイットマンの心に響いたのだろう。

「この何世紀ものあいだは、そんなふうに着実に歩んでこられたのか?

知らざれるままずっと?

それは君のためにか、理由のゆえにか?

かれらは正義にのっとった人らである。

かれらは業績をほこる。

かれらはいまより他方に向かって君たちの方へ旅立つだろう」

梵天の民の子孫である今の子供たちが、傷つくことなく、平和に、そして信念と誇りをもって育ってほしいと思う。
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生きる(73)

2015-07-23 12:56:17 | ButsuButsu


先日、東京大学の本郷キャンパスにある三四郎池を見た。

正式名称は、育徳園心字池という。

夏目漱石が著書「三四郎」の舞台としたところから、三四郎池と呼ばれるようになった。

そう思って眺めると、何やら学生時代が懐かしい。

さて、漱石といえば、「草枕」という著作物の中に

***

山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。
知に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安いところへ引き越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画ができる。

人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。
やはり向こう三軒両隣にちらちらするただの人である。
ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。
あれば人でなしの国へ行くばかりだ。
人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。

(続く)

***

という出だしがある。

いつ読んでも名文だと思う。

何のことはない、そこかしこにいる人間が作った世の中だが、ルールやしきたりで雁字搦めとなってとても窮屈だ、と言っている。

そう、だから、「とかくこの世は住みにくい」。

この「とかく」は、「兎角」と書く。

なんと、ウサギの角(つの)だ。

ウサギに角はないのだから、ありえないと言う意味をもつ。

つまり、「ありえない」くらい住みにくいのだ。

こう思って調べると、

「亀毛兎角(きもうとかく)」という4文字熟語に行き着く。

亀に毛は生えていないしウサギに角はないことから、この世にあり得ないもの、実在するはずがない物事のたとえだということだ。

もとは戦争の起こる兆しをいった。

空海も引用しているらしいので、古い仏教の教えかもしれない。

安倍さんの話を聞いていると、なんだかこの「亀毛(グエマオ)」を思い出してしまう。

もっとして欲しいことがたくさんあるのだが、どうも彼は亀毛が大好きらしい。

そのために強引な憲法解釈までしてしまうのは、いかがなものか。

NHK大河ドラマの「花燃ゆ」が大不評で、なんと毛利家の大奥編に変更になったらしい。

これはマスコミの事情通からの情報だが、安倍さんの意向を受けて、NHK会長の籾井勝人さんが「花燃ゆ」の製作をごり押ししたらしい。

問題は、吉田松陰の妹の記録がほとんどなく、かなり無茶な創作をしているようだ。

私の知人にまで、杉文(松蔭の妹)についての問い合わせがあったという。

結果として、史実を曲げる亀毛的な描写が多く、視聴率も10%をきるまでとなった。

そこで籾井勝人さんが怒り出して、大奥編の新企画がスタートしたと言うのが裏話だ。

さて、大奥で起死回生となればよいのだが、日本国民は不思議にこの手の亀毛的な話を嫌う。

史実に根ざした創作が好きなのだ。

嘘はいけないよな。
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生きる(72)

2015-07-20 13:59:38 | ButsuButsu


台風が過ぎてから、暑い日が続いている。

最近どうも、国の施策の不都合が目に付くようになってきた。

事実をきちんと公表しないで、ごまかしをしようとするからこのようなことになるのだと思う。

そのたびに、多大な税金を請求されるのは勘弁してほしい。

これではまるで、江戸時代の悪代官ではないか。

内閣支持率も急激に低下してきた。

7月20日付の福島民報と言う新聞に、以下のような記事が出ていた。

***
https://www.minpo.jp/news/detail/2015070523873

凍土遮水壁 年度内完了困難に
 東京電力福島第一原発の汚染水対策の柱となる凍土(陸側)遮水壁は、目標とする今年度末の本格凍結の完了が困難な状況となった。
4月末に始めた試験凍結で、地中の温度を十分に低下できない技術的な問題が生じ、工程に遅れが生じている。
さらに、原子力規制委員会が遮水壁運用の条件とする建屋周辺の井戸「サブドレン」からの取水などのめどが立っていない。
本格凍結の遅れは今後の汚染水対策全体に影響を与える可能性がある。

■想定外
 東電は4月末から凍土遮水壁(全体で凍結管1551本)のうち約4%に当たる部分(58本)で試験凍結を実施している。
地中の温度を調べる計測器を凍結管近くの18カ所に設置して観測している。
今月1日までの2カ月間の平均地中温度は、12カ所で氷点下にならなかった。
地点によって10・1度からマイナス20・9度まで約30度の温度差もあった。
さらに1号機建屋周辺では、凍結後に地下水の水位が想定外の変動を見せた。
東電の担当者は「どの程度地中が凍結しているかは目視できない。現在はまだデータを集めている状況」と説明。
今後、原因究明や対策などを進めるとしている。
試験凍結は数週間で完了する計画だったが、「終了時期の見通しは立たない」という。

***

嘘だろう。

想定外ってことはない。

日本陸水学会では、内閣府に対して、2013年10月25日に意見書を提出している。

http://www.jslim.jp/?p=199

その中で、以下の6点を指摘している。

(1) 凍土遮水壁ではパイプを地下に敷設 してマイナス40~50度 の冷媒を循環させて土壌を凍結して凍土の壁を作りますが、水と泥の膨張率が異なることから凍土遮水壁が同時に凍結することはなく、また凍結後も不均質な応力が加わることによって遮水壁にクラック(裂け目)が入る可能性があります。

(2) 凍土遮水壁から離れた場所では、炉心の温度や気温の変動や地下水の流れの変化によって凍土の一部が凍結と溶解を繰り返します。北極圏の事例によれば、このような土地に道路・家屋などを建築しても、地面が傾き用をなさなくなります。これは,凍結融解が 不均一に起こり解凍した地盤が弱体化するからです。また土壌水が凍結するとそれによる地盤の体積膨張に加え、未凍結領域から凍結面に 向かう水の動きが生じてアイスレンズが成長を続け、凍上(とうじょう)の現象が起こります。凍上によって貯蔵タンクや建造物が傾き破損することもあります。

(3) 日本のように温暖で降水量が多い地域では、凍土を長期間にわたり安定した状態で維持することは困難です。加えて、炉心からの伝導による熱流を上回る莫大な熱量で冷却する必要があります。

(4) 近年の海水温上昇に伴う陸域での雨量増加は地下水や地表水の流れを増加させています。地下水の流れがある場合 には,流れによる凍結面からの熱の散逸を上回る大量の冷却熱を排出する必要があります。また豪雨時など地下水流が急激に増加する場合には 凍土遮水壁が急速に浸食される可能性もあります。

(5) 何らかの事故で冷却がストップしたり設備が破損した場合、冷媒が周辺に漏れ出たり、凍土が溶解し大量の放射性 汚染物質が海中に放出されるなどの危険性が常に付きまといます。実際、北極圏では近年の地球温暖化の影響で永久凍土が溶解し、多量の溶存有機物が海洋や湖沼へ流入しているという研究報告もあります。

(6) 凍結の過程で放射性物質が不凍水中に取り残され高濃度の汚染溶液が生成される可能性も国内外から指摘されてい ます。泥粒子表面の吸着水やこのような高濃度の溶液は極低温でも凍らないと言われています。実際、このような高濃度の溶液が極低温でも凍 らないという事例が南極で報告されています。

多くの専門家が凍土遮水壁の手法では、うまくいかないことを幾度となく指摘していたのにもかかわらず、内閣府は強行したのだ。

これまでに費やした数億円の経費は、誰が弁済するのだろうか。

新国立競技場での違約金は100億円にも上るらしい。

ドブにお金を投げ捨てて何も成果が残らないことに、この国の未来を見る気がする。

これは戦後の日本の政治体制の末期的な現象と思われる。

SNSの発達に伴って、国民の情報量は確実に増えている。

もはやわけのわからない密室政治は無理なのだ。

様々な国民の意見に謙虚に耳を傾け、知恵を吸い上げ、具体化することによって、民意に沿った行政をしていただきたいものだ。
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生きる(71)

2015-07-16 16:49:27 | ButsuButsu


別に深い意味はない。

吉祥寺で食べた金目鯛のカマである。

でかい。

おかげで、腹いっぱいとなった。

さて、国会だ。

***

今国会最大の焦点である安全保障関連法案が16日午後の衆院本会議で採決され、与党などの賛成多数で可決、参院に送付された。

***

こんなに今の若い人が怒っているのは、珍しいことだ。

今の政治家は、覚悟したほうが良い。

今回の法案で、一番気にかかることは、余りにも議論が浅いことだ。

恐らく、安倍晋三さんも公明党さんも、事態の重要性が分かっていないのではないのか。

どう見ても、これは米国国防省の陰謀だ。

鍵は「シームレス」という言葉にある。

もともとこれはアメリカ側から言い出した話だ。

「切れ目のない対応」を安倍さんは求められている。

これは、聞こえは良いが、裏を返すと、アメリカと足し算して対応する、という意味を持っている。

世界的な趨勢は、今後、アメリカが沈み中国が浮上する。

アメリカが沈めば、日本が矢面に立つようになる。

必然、日本国民のリスクが高くなる。

アメリカには、善意と悪意が同時に存在する。

彼らの悪意はどうやって、日本を盾に使うかだ。

そして、日本は平和から遠ざかる道を転げ落ちていく。

東西対決という、微妙なバランスにぶら下がってきた日本だが、今や右に大きく傾いた。

この揺れ戻しがどうやって修正されるのかがわからない。

政治家は、どうするのかな?
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生きる(70)

2015-07-12 05:19:14 | ButsuButsu


テレビのワイドショーなどで、隣国である中国や韓国に対して罵詈雑言を吐く人がいる。
このような番組を見ていると、嫌悪感を催す。
主張は個人の自由だと言うかもしれないが、いわゆるタレントと言われる人々が、日夜画面に登場して根拠のない私見を述べ続けるのもいかがなものか。
わが国の知的レベルや倫理観が問われる気がする。

昔、朱舜水という人がいた。
江戸初期のころである。
中国では明が倒れ、清が覇権を握った頃の話である。

朱舜水(1600―82)は中国の浙江省余姚に生れた明の儒学者
朱は姓 舜水は郷里の河川からとった号 名は之瑜 字は楚嶼・魯璵。
明代末期の官界の腐敗を批判し、12回におよぶ明朝からの仕官のすすめにも応じなかった。
南明復興運動に身を捧げ、中国の舟山を中心に安南や長崎の間の三角貿易に従事して資金調達を図り、あるときは安南に抑留されて死を決意した。
鄭成功の南京攻略に従軍したが、抗清復明の夢破れついに日本に永住の地を求めた。
徳川光圀の知遇をうけて、水戸学の形成に深い影響を与え、江戸で永眠した。

高徳の人とも言えるのだろう。
彼の学風は、実利・実益を説く経世在民だった。
経世済民とも言われる。
後の経済の語源ともなったようだが、原義はもっと広い意味を持ったいた。

ある日、徳川光國(光圀と名乗る前の名)が彼に問うた。

「先生、治道の要諦とはいかなるものでしょうか」

「四つほどあります」

治道とは、政治のしかたや、国を治める道を指す。

朱舜水は、以下のように述べたという。

「政教の分別、税の公平、大学の充実、海」

400年も前の話である。

今の世に、一体、どれほどの進歩があったというのだろうか。

宗教団体に支援された政党が、政権与党となり、国の平和を破壊しようとしている。
政権という権利欲得にまみれ、国の危うきに手を貸している。
今の状況は、幕末の混沌としたセクト主義の再来にも等しいのではないのか。
木を見て森を見ていない。

税にしても、複雑怪奇である。
庶民は、公平感を持っているのだろうか。
2700億円かけて国立競技場を作る大義は、どこにあるのだろうか。
今支払っている東北復興税も、いつまで続くのだろうか。
政治家は猛省すべきである。

大学制度も崩壊寸前である。
競争原理を導入するのはよいが、目先の成果を追うあまり、教育という根本的な道を誤っているのではないのか。

今、私は海の仕事に参画している。
やっとここまで辿り着いた関係者の努力に敬意を表している。
しかし、考えなければならないことが多くある。
国や企業は、あまりにも海を軽視している。

基本的にわかっていない。
海は魅力のある資源であると同時に、恐ろしい存在でもある。
もし、我が国が経世済民を本義とし、世界の大同を目指すのならば、もっと海に目を向けるべきだろう。
そのためには、一部セクト主義や教条主義を排し、海を統合的に扱う省庁を作るべきだろう。

今から2500年前に中国で作られた儒教という教えは、長い年月を経て近隣国家の礎となってきた。
中国でも、韓国でも、日本でも、儒教が国を支えた時代があった。
この辺を軸に、近隣諸国との友好を再構築したらどうだろうか。
過去から学ぶことはたくさんある気がする。
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生きる(69)

2015-07-09 09:40:56 | ButsuButsu


過去3年間のわが国における電力販売実績は、震災以降、確実に減少している。

頑張れば、これくらいは減らせるのだという証左かもしれない。

一方、台風9号、10号、11号が急速に発達して近づいている。

台風と日本総電力の比較をして見る。

台風には、10の18乗から20乗ジュールという、途方もないエネルギーがある。

今回は、大型の台風だから、10の20乗ジュールはあるのだろう。

これは、28,000,000百万kWhに相当する。

2014年の国内における総電力販売が859,809百万kWhというのだから、34倍強の大きさだ。

台風は地震よりも大きなエネルギーだというが、まさにその凄さが分かる。

今回は、こんな台風が次々と発達している。



原因は海水温が高いということと、上空に冷たい空気が入り込んでいるということだ。

この温度差が急激な上昇気流を生み出す。

蒸発した水分が上空で凝結するときに熱を発生する。

これによって、どんどん台風は発達する。

もし台風を制御できるのなら、巨大な兵器にもなりうる。

何しろ、原子爆弾数千発分のエネルギーだから。。。

太陽がもたらす巨大な自然エネルギーに驚嘆するとともに、なんとか平和利用できないものかね、と思ったりする。
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生きる(68)

2015-07-07 21:01:17 | 物語


堀江正治は面白い事を言っている。

***

琵琶湖中の生物中に、海産起源の種が含まれ、しかもそれが日本海と関連を有するらしい事実がある(中略)。

近江盆地、伊賀盆地一帯を踏査した限りでは、古琵琶湖と海洋との連絡は地形的に見て現在の琵琶湖北部以外には考えられない。

***

もしこのことが正しいとすると、琵琶湖は日本海から来たことになり、琵琶湖が伊賀上野にあった古琵琶湖から移動してきたという定説は否定されるのかもしれない。

いずれにしても、琵琶湖が地球規模の地殻変動によって形成されたことは確かである。

そういう意味で、琵琶湖の湖底には地球の古い時代のメッセージが眠っている。

古陸水学は、その歴史を紐解く学問である。

もうひとつ興味深いのは、琵琶湖に形成される地衡流渦である。

琵琶湖では「環流」と呼んでいるのだが、これには地球の自転が深く関わっている。

つまり、地球の自転が止まったら、環流は形成されないのである。

このように、地球の自転の影響が無視できない水の流れを研究する学問を、地球流体力学と呼んでいる。

水の流れは環境の変化に伴って時々刻々と変化するので、地球流体力学は現代気象学や海洋学、陸水学の中枢を占めている。

かくして、琵琶湖と地球は切っても切れない関係にある。

したがって、「琵琶湖は地球の鏡である」と言える。
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生きる(67)

2015-07-07 05:52:35 | ButsuButsu


前列左より根来健一郎助教授、森主一教授、山本孝吉助教授、

後列左より鈴木紀雄助手、堀江正治助手(大津臨湖五十年その歴史と現状)


世界最長の湖底ボーリング

湖底の泥は地球の履歴書でもある。

雨の多い時代には大きな砂礫や樹木などが河川から流れ出て堆積する。

乾燥した時代には、ほとんど堆積しないか、堆積しても細かな砂粒のみである。

したがって、地球の長い歴史を辿ろうと思えば、可能な限り深い場所から堆積物のコアを採取すればよい。

このことに挑戦した日本の研究者がいる。

京都大学琵琶湖古環境実験施設を立ち上げた堀江正治(1926年~2008年)である。

堀江は、1981年に、1422.5メートルという、長大なコアを琵琶湖から採取することに成功した。

コアの下部にあたる約500メートルは無化石泥炭層で、中生代(約2億5100万年前から約6600万年前)もしくは古生代(約5億4200万年前から約2億5100万年前)の基盤岩層であり、その上に910メートルの堆積物が積もっていた。

湖沼におけるこのコアの長さは、未だに破られていない世界記録である。

因みに世界で最も古い湖であるバイカル湖(約3000万年前に海から孤立した)でさえ、湖底から採取された最長のコア長は600メートルに過ぎない。

なぜ、堀江は琵琶湖で世界最長のコアを掘ることができたのだろうか。

京都大学理学部付属大津臨湖実験所(1922年~2001年)の助手をしていた堀江は、早くから琵琶湖において古陸水学の立ち上げを目指していた。

1971年には、200メートルのコアを採取し、琵琶湖における過去50万年間の堆積構造を解析した(堀江 1973)。

これによって(1)地球磁場の逆転層、(2)降水量の変化、(3)炭素・窒素・リンなどの変化、(4)花粉解析による寒暖の変化、(5)古水温の変化、などといった貴重な発見を行った。

これらの研究成果によって、三年ごとに開催される国際陸水学会(SIL)において、1980年に日本人として初めてBaldi講演賞を獲得した。

こうした努力が実を結び巨額の研究費を手にした堀江は、1981年に世界最長のコアを採取することができたのである。

何事も諦めないということが、研究の世界では大切であることを物語っている。

ロマンチストであった堀江は、生涯独身でもあった。

私が京都大学の大学院生であった頃に、研究室にあった電話をかけにやってきた堀江が、私が聞いていた音楽にじっと耳を傾けていたことを思い出す。

それがモーツアルトだったと記憶している。

堀江のおかげで、琵琶湖は世界のひのき舞台に引きずり出された。

そして、これらの研究成果によって、堀江は1986年に学士院賞を受賞したのである。
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