台風が過ぎてから、暑い日が続いている。
最近どうも、国の施策の不都合が目に付くようになってきた。
事実をきちんと公表しないで、ごまかしをしようとするからこのようなことになるのだと思う。
そのたびに、多大な税金を請求されるのは勘弁してほしい。
これではまるで、江戸時代の悪代官ではないか。
内閣支持率も急激に低下してきた。
7月20日付の福島民報と言う新聞に、以下のような記事が出ていた。
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https://www.minpo.jp/news/detail/2015070523873
凍土遮水壁 年度内完了困難に
東京電力福島第一原発の汚染水対策の柱となる凍土(陸側)遮水壁は、目標とする今年度末の本格凍結の完了が困難な状況となった。
4月末に始めた試験凍結で、地中の温度を十分に低下できない技術的な問題が生じ、工程に遅れが生じている。
さらに、原子力規制委員会が遮水壁運用の条件とする建屋周辺の井戸「サブドレン」からの取水などのめどが立っていない。
本格凍結の遅れは今後の汚染水対策全体に影響を与える可能性がある。
■想定外
東電は4月末から凍土遮水壁(全体で凍結管1551本)のうち約4%に当たる部分(58本)で試験凍結を実施している。
地中の温度を調べる計測器を凍結管近くの18カ所に設置して観測している。
今月1日までの2カ月間の平均地中温度は、12カ所で氷点下にならなかった。
地点によって10・1度からマイナス20・9度まで約30度の温度差もあった。
さらに1号機建屋周辺では、凍結後に地下水の水位が想定外の変動を見せた。
東電の担当者は「どの程度地中が凍結しているかは目視できない。現在はまだデータを集めている状況」と説明。
今後、原因究明や対策などを進めるとしている。
試験凍結は数週間で完了する計画だったが、「終了時期の見通しは立たない」という。
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嘘だろう。
想定外ってことはない。
日本陸水学会では、内閣府に対して、2013年10月25日に意見書を提出している。
http://www.jslim.jp/?p=199
その中で、以下の6点を指摘している。
(1) 凍土遮水壁ではパイプを地下に敷設 してマイナス40~50度 の冷媒を循環させて土壌を凍結して凍土の壁を作りますが、水と泥の膨張率が異なることから凍土遮水壁が同時に凍結することはなく、また凍結後も不均質な応力が加わることによって遮水壁にクラック(裂け目)が入る可能性があります。
(2) 凍土遮水壁から離れた場所では、炉心の温度や気温の変動や地下水の流れの変化によって凍土の一部が凍結と溶解を繰り返します。北極圏の事例によれば、このような土地に道路・家屋などを建築しても、地面が傾き用をなさなくなります。これは,凍結融解が 不均一に起こり解凍した地盤が弱体化するからです。また土壌水が凍結するとそれによる地盤の体積膨張に加え、未凍結領域から凍結面に 向かう水の動きが生じてアイスレンズが成長を続け、凍上(とうじょう)の現象が起こります。凍上によって貯蔵タンクや建造物が傾き破損することもあります。
(3) 日本のように温暖で降水量が多い地域では、凍土を長期間にわたり安定した状態で維持することは困難です。加えて、炉心からの伝導による熱流を上回る莫大な熱量で冷却する必要があります。
(4) 近年の海水温上昇に伴う陸域での雨量増加は地下水や地表水の流れを増加させています。地下水の流れがある場合 には,流れによる凍結面からの熱の散逸を上回る大量の冷却熱を排出する必要があります。また豪雨時など地下水流が急激に増加する場合には 凍土遮水壁が急速に浸食される可能性もあります。
(5) 何らかの事故で冷却がストップしたり設備が破損した場合、冷媒が周辺に漏れ出たり、凍土が溶解し大量の放射性 汚染物質が海中に放出されるなどの危険性が常に付きまといます。実際、北極圏では近年の地球温暖化の影響で永久凍土が溶解し、多量の溶存有機物が海洋や湖沼へ流入しているという研究報告もあります。
(6) 凍結の過程で放射性物質が不凍水中に取り残され高濃度の汚染溶液が生成される可能性も国内外から指摘されてい ます。泥粒子表面の吸着水やこのような高濃度の溶液は極低温でも凍らないと言われています。実際、このような高濃度の溶液が極低温でも凍 らないという事例が南極で報告されています。
多くの専門家が凍土遮水壁の手法では、うまくいかないことを幾度となく指摘していたのにもかかわらず、内閣府は強行したのだ。
これまでに費やした数億円の経費は、誰が弁済するのだろうか。
新国立競技場での違約金は100億円にも上るらしい。
ドブにお金を投げ捨てて何も成果が残らないことに、この国の未来を見る気がする。
これは戦後の日本の政治体制の末期的な現象と思われる。
SNSの発達に伴って、国民の情報量は確実に増えている。
もはやわけのわからない密室政治は無理なのだ。
様々な国民の意見に謙虚に耳を傾け、知恵を吸い上げ、具体化することによって、民意に沿った行政をしていただきたいものだ。