JR東京駅の地下に「はせがわ酒店」がある。
ここは日本各地の地酒を売っており、レジには長蛇の列ができる。
酒好きの人気のスポットだ。
さてこの酒店の片隅に、グラス酒を売るスタンドが併設されている。
電車待ちや会社帰りの人々でにぎわう。
私も時間があるとき、よくここへ立ち寄る。
どういうわけか、いつも「七本槍」と「松の司」をおいているからだ。
ともに滋賀県が全国に誇る銘酒だ。
数多い全国の地酒の中で、この二種類が目立つ。
滋賀県に住む私は、嬉しくなってしまう。
先日も時間があったので、一杯やることにした。
ちょうど「ひやおろし」が終わり、新酒が出始めていた。
「ひやおろし」とは
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春にできた新酒を夏の間貯蔵し、秋から冬にかけて瓶詰めして出荷したもの。
日本酒は通常、貯蔵前と瓶詰め前の2回の火入れ(加熱殺菌)を行うが、ひやおろしの場合は貯蔵前に1度だけ火入れを行い、出荷時は火入れを行わない。
生(ひや)で瓶詰めをすること、また秋から冬の冷える季節に出荷されることから「ひやおろし」と呼ばれる。
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だそうだ。
気持ちよくなって3杯目に「松の司」を頼んだ。
「高いですよ」
そう言われて聞き直すと、「一杯2480円です」と言う。
マジ?
出された瓶をよく見ると、松の司純米大吟醸古酒「Black AZOLLA」限定品だった。
小売価格で1升が6800円だそうだ。
「半分にしますか?」
思わずうなずく。
AZOLLAというのは「アカウキクサ」という水草だ。
これを田んぼ一面に生やすことによって光を遮断し、雑草を断つ。
究極の無農薬栽培だ。
こうして作られた酒米を用いて醸造された大吟醸が「Black AZOLLA」だ。
ネット上では、すでに品切れになっている。
運よく半杯飲めたことに感謝して、電車に乗った。
滋賀県竜王町の松瀬酒造株式会社が作った幻の酒を飲んでみて欲しい。
その味は、次のように記載されている。
確かに、このとおりだ。
年末によい経験をした。
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立香は熟したデリシャスリンゴの香りを主体にメロンや桃を連想する香りが華を添えます。
グラスに注いでしばらくすると香りに複雑さが増し、リンゴの焼き菓子、最上級のカステラやハチミツの様な落着いた甘い香りが顔を覗かせます。
その質の高い濃密さは大切に熟成された酒のみが持つものです。含み香はリンゴ系の香りが綺麗に香ります。
驚くべきはその味わい!
口当たりは、驚くべき凝縮感!柔らかでありながらも非常にリッチなアタック。
時の流れをギュ~っと詰め込まれたかのようです。
味わいは芳醇な旨口。ジワリと舌に染みこむ旨味は松の司独特のものですが、その個性を更に進化させたかのような立体感、奥行き感があります。
熟成によって角が取れた究極のまろやかさ、水晶玉のような透明な旨味が素晴らしい!
良い旨味だけが酒の中心に集まったかのような味わいが凄いです!
後口は熟してまろやかになった酸味がジワ~ッと舌に染みこみます。
この酸味も開栓後、時間と共に変化していきます。
酒が切れた後の余韻も長く、心地よい吟醸香がフワ~ッと広がっていきます。
まさに夢見心地です。
この酒のテーマは「松の司の考える熟成」、そして「より自然なかたちで栽培された質の高い原料」です。
単なる「古酒」というカテゴリーだけでは語り尽くせない魅力がこの酒にはあります。
飲み頃の温度はズバリ18度。
ダイナミックかつ繊細に広がる味わいが楽しめます。
濃いとか薄いとか、淡麗とか濃醇とかと言った薄っぺらい形容がどこかへブッ飛んでいってしまう程の奥深さをこの酒は持っています。
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