何かを達成するということは、案外何気なくできてしまうことなのかもしれない。
過去4回も失敗した、クルーレス・ソーラーボートによる琵琶湖縦断を、立命館大学の学生たちがついに成し遂げた。
このこと自体が快挙だと、私は思っている。
走行距離約60キロメートルを、完全自律で航行するのだ。
道具立てはいたってシンプルだ。
位置を特定するためのGPS
方向を定めるためのジャイロコンパス
動力源としてのソーラーパネル
そして推進を与える電動モーター
すべてを搭載する船体
これらを使って無人のボートが琵琶湖を駆け抜ける。
簡単なように思われるが、決してそうではない。
(1)装置の完璧さ (2)天候などの自然条件 (3)参加するメンバーのチームワークと用意周到さ
これらで総合的に合格点を取らないと、この挑戦は失敗する。
そのことが、過去4回の失敗に現れていた。
何一つ欠けてもダメなのだ。
琵琶湖の最北、景勝地の知内にあるサニービーチを出発したのは、8時8分だった。
穏やかな水面と、降り注ぐ太陽光を受けて、順調に進む。
10時30分 高島沖通過
https://www.youtube.com/watch?v=GshEeG7TBTM
出発して3時間、11時8分に沖島沖通過
雲が出てきてスピードが落ちたり、波にあおられて転覆しそうになりながら、ボートは一路、琵琶湖大橋を目指す。
狭い橋脚の間をどうやって通過するのか。
それが最大の難関だ。
やった、12時30分、無事に琵琶湖大橋を通過。
橋の下は日陰となるので、ボートがスピードを緩めるのがお愛嬌だ。
ここからは釣り船やヨット、観光船などが多くなるので特に神経を使う。
また、流れ藻がスクリューに絡まるので、時々取り除いてやらなければならない。
その分、余分に時間がかかる。
プリンスホテルが見えたあたりで、外輪船ミシガンと遭遇する。
ぶつかりはしないかとひやひやしながらも、乗客の声援にこたえる。
14時18分、知内浜を出てから実に6時間10分で、大津なぎさ公園にあるサンシャシンビーチに到着した。
休日を楽しんでいた子供たちが驚いて見つめる中、ゴールした。
平均時速約10キロメートルの速さだ。
これは5ノットを超える。
自然の中で無人ロボットを制御することは、簡単ではない。
しかし、先輩たちから受け継いだ技術と経験を生かして、自分たちの夢を実現した学生たちを、私は誇りに思う。
琵琶湖で19年間も続けてきたクルーレス・ソーラーボートの歩みが、やっと結実し、そして次への出発点に立てたことを実感した。
まだまだ、日本の若者は捨てたものではない。
おめでとう!