アメリカのアリゾナ州立大学では、「Save the P(ee)」というプロジェクトを進めている。
Pは、pee(おしっこ)とphosphorus(リン)をかけている。
現在、地球上でリンが枯渇し始めている。
なぜなら地球上でリンは有限な資源であるにもかかわらず、我々は肥料などでほぼ無秩序に消費しているからである。
アリゾナ州立大学の「持続可能なリンイニシアティブ(SPI)」では、
(1)リンの持続可能な取り組みに向けた信頼できる科学的共通認識を構築すること
(2)リンの持続可能性に的を絞った学際的な広域ネットワークを喚起すること
(3)リンの持続可能性を確立するための保全と再利用に関する学術的、企業的、消費的活動を企画し促進すること
を実施している。
「人類が直面している最も重要な問題」を呼ばれるこの取り組みに対して、アリゾナ州立大学ではタイムリーで解決型のSPIを提案している。それは、リンの循環を完結させることによって、国や都市および家庭がより安全で豊かになることを求めている。また、広域的に広がった栄養塩による汚染という悪い影響から開放され、より健康的な環境における生活を取り戻すことを意味している。
こうして、Jim Elser教授を中心としたアリゾナ州立大学のメンバーは積極的な活動を行っている。
日本でも、京都大学生態学研究センターの奥田准教授らのグループがリンに関する研究グループを立ち上げた。
確かに世界中で大きなうねりが起こりつつある。
この種の問題を解決するためには、peeではないが下からの発想が大切である。
下流から出発することによって、初めて上流が見えてくるのである。
行政を当てにしないで、自分たちの力で解決することが、社会全体を動かしうると思う。
そのためには、リンの循環が、社会に経済的な益をもたらすような企画を行うことが必要である。