DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

道(45)

2016-02-29 15:08:31 | ButsuButsu


滋賀県民が世界に唯一自慢できるのが、環境学習船「湖(うみ)の子」だ。

県下にある小学校の5年生が1泊2日の湖上体験を行う。

1983年に就航して以来、これまでに50万人以上の子供たちが乗船している。

きっと良い思い出ができたことだろう。

海外から私のところへ来る湖の研究者は、「湖の子」の存在をとてもうらやましがる。

実は、カナダの海洋調査船が学生たちを乗せて南極や北極へ行っている。

1999年に発案され、2000年から実施されている。

https://en.wikipedia.org/wiki/Students_on_Ice

聞くところによると「湖の子」の真似をしたのだと言う話だ。

「湖の子」は30年以上航行してきたので、現在、新しい船の建造が計画されている。

そこで注文したいことがある。

ぜひ子供たちに琵琶湖の環流を見せて欲しい。

今なら様々な方法で可視化できる。



世界一美しい琵琶湖の渦を子供たちに学んで欲しい。

この湖の渦が、地球の自転と深い関係があることを。

そして琵琶湖に誇りを持って欲しい。

子供達には、私たちが持っている一番良いものを伝えることが大切だと思う。
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道(44)

2016-02-22 13:00:23 | 物語


子供のころガリバー旅行記を読んだことがある。

正式には、以下の長いタイトルがついている。

Travels into Several Remote Nations of the World, in Four Parts. By Lemuel Gulliver, First a Surgeon, and then a Captain of several Ships

船医から始まり後に複数の船の船長となったレミュエル・ガリヴァーによる世界の諸僻地への旅行記四篇

ウィキペディアによると

「原版の内容が大衆の怒りを買うことを恐れた出版社により、大きな改変を加えられた初版が1726年に出版され、1735年に完全な版が出版された」

とある。

この本の中に、ガリバーがラグナグという国に立ち寄る話がある。

***

ストラルドブラッグを見たことがあるか、と聞かれた。

その人の話によると、極めてまれではあるが、時として額にそれも左の眉毛のすぐ上に、赤くて丸い斑紋を持った子供が生まれることがある。

その斑紋をもつ子どもこそストラルドブラッグであり、絶対に死なないという正真正銘の印である。

赤い斑紋は12歳では緑色になり、そのまま25歳まで続き、そして青色に変わり、さらに45歳になると黒い色になり、その後は変化しない。

ガリバーは感激して、死に怯えずに暮らせれば、長寿によって得られた豊かな経験で人間はもっと幸福になれる、と思った。

しかし、不死ではあっても不老ではない。

ラグナグ国では、ストラルドブラッグが生まれると大いに悲しんだという。

なぜなら、莫大な国費を使って彼らを養わなければならなかったからだ。

ストラルドブラッグは経済活動や政治活動をする権利を取り上げられていた。

年を重ねれば思慮深くなり、叡智が増すというのは嘘だ。

人間は老いれば老いるほど独善的で貪欲になっていく。

そして既得権益を手放さなくなる。

世代交代はなく社会は停滞する。

だから不死人間ストラルドブラッグには決して国を掌握させてはならない、という決まりがあった。

こうしてストラルドブラッグは、死ぬことも働くこともできず、孤独にさいなまれながら、果てしなく長い時間を生きねばならない。

(朱野帰子の「超聴覚者 七川小春」の一節から)



***

なるほどな、と思う。

スウィフトによって、18世紀初頭にこのような本が書かれた。

英国の社会を皮肉った本だ。

いかにして「足るを知る」か、ということが大切な気がする。

ただ、今の世の中は、じっとしていたら落ちていく世界になっている。

浮かび上がろうと足をばたつかせないと、沈んでしまう。

一方で、永遠に泳ぎ続けることはできない。

あえて立ち止まって、ゆっくり考える時間が必要な気がする。
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道(43)

2016-02-14 10:59:51 | ButsuButsu


在モンゴル国日本大使館のホームページに、日本国政府がアジア開発銀行(ADB)に拠出する貧困削減日本基金(JFPR)による3案件の贈与契約署名式が行われたニュースが出ている。

http://www.mn.emb-japan.go.jp/jp/kankei/keikyou/160126_JFPR3shomeisiki.html

この中で私たちが注目しているのフブスグル湖国立公園における生活環境の改善と持続可能な観光振興に関する統合プロジェクトである。

というのは、私たちが世界一美しいといわれるフブスグル湖の観光開発に懸念を持っていること、そして恐らく何らかの形でこのプロジェクトに関わるであろうことが要因である。

総額300万ドル(約3億4000万円)という金額の無償援助が行われる。

Integrated Livelihoods Improvement and Sustainable Tourism in Khuvsgul Lake National Park Project

 (1) 実施機関:自然環境・グリーン開発・観光省

 (2) 供与金額:300万米ドル

 (3) 案件概要:地域住民密着型の観光振興による地域住民の所得向上・生活改善等の事業

この種の開発途上国に対する日本国政府の経済援助は、その多くが対象国の有力者によって着服されている実態があり、ほとんど実効を持たない場合が多い。

湖の保全と経済開発という一見矛盾したプロジェクトをどうやって進めるかがカギとなる。



それほどにフブスグル湖という湖の価値は高い。

一度汚染したら修復できない可能性が高い。

何とかしてこの湖を守りたいのだが、まだ計画の全体像が見えてこない。

モンゴル政府が責任をもって実施するのだが、アジア開発銀行、日本政府の責任も大きい。

日本の税金で行われる経済援助なので、その進捗には日本国民も責任の一端を担っている。

後世の国際的な批判を受けないように進めたいものだ。

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道(42)

2016-02-11 21:53:04 | ButsuButsu


今日は快晴だった。

湖西線に乗って、安曇川へ向かう。

だいぶん前に約束した講演の約束を果たすのが目的だった。

和邇から北小松への琵琶湖は絶景だ。

見ていて心が躍る。

来てよかった。

私が好きな場所だ。

この美しい琵琶湖にも、生々しい話がある。

2007年に琵琶湖にも地方交付税が交付されることになった。

総額2億8300万円が面積によって各市町村に分配される。

最も大きな面積を占める高島市には、年間8000万円強の交付税が入る。

一方、275億トンの琵琶湖水は、日本の淡水の34%を占める。

容積から換算すると、日本の淡水の大きな部分が高島市に属している。

でも、誰も、増えた交付税がどこでどう使われているかを知らない。

私の感覚からすると、琵琶湖のために使ってほしいと思う。

それだけ大きな責任を背負っているのだから。


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道(41)

2016-02-08 22:07:33 | ButsuButsu


今日は青空がきれいな日だった。

所有権の移管後、はじめて「はっけん号」の掃除を行った。

見違えるようにきれいになった調査船。

この船には、私たちの心と夢が宿っている。

野外調査を行うとき、計測機器や調査用品を正しく使うこと、清潔に保つこと、これらはとても大切なことだ。

可能な限り人為的なミスを減らす。

特に、水中ロボットの場合は、最大限のケアが必要だ。

髪の毛一本が致命的な事故を引き起こす。

単純に物を作るだけでなく、それを支えるチームワークが成功の可否を支える。

そう言えば、北朝鮮が人工衛星の打ち上げに成功した。

独力でここまでやり遂げている北朝鮮の技術力と精神力には驚く。

まるで太平洋戦争前の日本のようだ。

このままでは、国際的な経済制裁も効果を持たないだろう。

アメリカが急激に右傾化し、中国経済が巨大化する中で、私たちはどう生きればよいのか。

大きなストレスが、日本や韓国、北朝鮮を覆う。

どうすれば東アジアに平和を実現できるのだろうか。

大国のエゴに振り回されるのではなく、武力に頼るのではなく、日本らしい解決の道を見つけたいものだ。



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道(40)

2016-02-05 12:27:06 | ButsuButsu


カナダの友人から便りが届いた

Neige

淡雪かな

自宅の窓から撮影したらしい

まるでおとぎ話の風景のようだ

ふと手元の文庫に目をやる

木がらしの風にも散らで人知れず憂き言の葉のつもる頃かな

さあ

嫌なことは忘れよう

この世はなるようになる

彼からの便りはよいニュースだった

この夏

北極圏へ行けることが決まった

私も参加する

温暖化で湖や海の氷が溶け出している

大きな変化が起こっている北極圏

シロクマと遭遇するのだろうか

救急法の講習を受けることが条件だそうだ

ささやかな冒険

しかし

大きな一歩でもある

初めての北極の情景に

降り積もる雪景色が重なる

小野小町の歌(新古今和歌集)

木がらしの風に吹かれて散り去っていくこともなく

心の中でつぶやいてきた愚痴が

落ち葉が積もるようにたまっていく年になった

愚痴を言うのはやめよう

心はいつも青年
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道(39)

2016-02-04 12:59:50 | ButsuButsu


決して男前とは言えない。

しかし、老子というのは不思議な人物である。

人間の真理を説いてくれる。

彼の言動には、今でも納得するところがある。

こんな人が紀元前6世紀にいたんだ。

ふしぎ発見。

*****

老子 第七十一章 

知不知上 不知知病 
夫唯病病 是以不病 
聖人不病 以其病病 是以不病

知りて知らずとするは上、知らずして知るとするは病(へい)なり。
それ唯(た)だ病を病とす、ここを以(も)って病(へい)あらず。
聖人は病あらず、その病を病とするを以って、これを以って病あらず。

It is the best to consider that you still don’t know though you know enough.
It is human’s fault that they consider that they know enough though they still don’t know.
If you notice your fault, you can correct it.
So the saint who knows “the way” admits his faults and corrects them.
Then he has no fault.

自分がよく理解していてもまだよく解っていないと考えるのが最善であり、よく解っていないことを解ったつもりになってしまうのが人間の欠点である。
そもそも自分の欠点を欠点として自覚するから、それを改善することもできる。
このように「道」を知った聖人は、自分の欠点を欠点と素直に認めて改善しているからこそ、欠点の無い聖人でいられるのだ。
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道(38)

2016-02-03 14:59:59 | ButsuButsu


何気なく使う

「ウム」

という言葉には深い意味がある。

漢字では「有無」とかく。

ネットで調べると、仏教用語とある。

インドでは「存在」と「非存在」という対立概念として議論されている。

しかし、釈迦と同一時代に生まれたと言われる老子には少し違う概念がある。

「有無相生ず」

というものだ。

「有」があるからこそ「無」があり

「無」があるからこそ「有」がある

そこで

「ウム」

という時には、あるかもしれないし、ないかもしれない

つまり「いかようなものにも絶対はない」

だから「じっくりと有り無しを考える大切さを自問するときにウムという」

のだそうだ。

紀元前6世紀ころの話である。

人類は2500年以上もこのような「有無」という宇宙観を考えながら、日常的に使ってきたのだ。

ただ、残念ながら、まだ解答はない。

昔、「知恵」という言葉がいつから歴史上に現れたかについて調べたことがあった。

どうも、プラトン、釈迦、老子が三大元締めらしい。

みな同じような紀元前の話である。

そして意味が微妙に違う。

このことが何を意味するのかはよくわからない。

ただ我々の世界は、「偏り」と「均質」を繰り返す傾向があるようだ。

宇宙がこれだけ偏っているのも、閉じていない証拠なのかもしれない。

いまアメリカ大統領選で偏った意見を持つ候補者が多いのも、画一化の裏返しなのかもしれない。

グローバル化が進めば進むほど、社会に対する内向きの力が働くのではないのか。

首を傾けて「有無有無」といいながらもっと事象をよく考えてみたい。
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