滋賀県長浜市で、トチノキの巨木26本が伐採されることに対して、保護を求める人々から悲鳴に似たお願いが届いている。
最近は、トチノキが銘木として高値で取引されているらしい。
しかし、100年から300年の長きにわたって地域住民から大切に保護されてきた老木を、簡単に伐採してもよいのだろうか。
長浜市は、もっとゆっくり関係者と議論してもよいのではないのか。
市長も、もっと真摯にこの問題をとらえてほしい。
こう森林生態学者たちは訴えている。
こういった伐採の危機に瀕したトチノキの巨木を保護する運動を支援する輪を、日本中に広げたいと思う。
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皆様、大変お疲れ様です。
ご報告です。以下、長文になりますが、お付き合いください。
ご多忙のところ、申し訳ございません。
日本生態学会近畿地区会自然保護専門委員会から、長浜市及び県宛てに要望書を提出することになりました。
(抜粋)
本年4月、長浜市は、杉野川源流域にあるトチノキとケヤキの巨木26本を伐採するという業者の計画を許可されました。
伐採予定地にあるトチノキ林とその周辺の自然環境は、以下の2点において保全の重要性がきわめて高いものであり、それが失われることは、長浜市にとっても、全国的に見ても非常に大きな損失となるものと当委員会は考えております。
(1) 本計画について、伐採による絶滅危惧種への影響を含め、植物学、動物学等の専門家による環境影響評価のための科学的調査を行っていただきたい。
また、その調査及び評価の結果に基づき、許可の取り消しを含めた伐採許可の再検討を行っていただきたい。
さらに、その調査及び評価と許可の再検討を行うため、業者に対して、伐採及びそれに付随する行為( 作業道整備や支障木伐り捨て等) の開始を、平成26年9月1日以降上記再検討の結果が出るまでの間、延期するよう働きかけていただきたい。
(2) トチノキ巨木群を保全しつつ、この地域の振興に有効活用する方策を地域の方々や保全団体と共に模索し、可能な範囲で支援していただきたい。
(3) 貴重な巨木林や森林生態系を網羅的に保全するための制度を早急に確立すると共に、森林資源の供給と生物多様性の保全を共に担保するための仕組みを早急に検討していただきたい。
まず長浜市森林整備課と日程の調整をした結果、市長宛の要望書は、7月18日(金)午後1時に、日本生態学会近畿地区会自然保護専門委員会委員長の岩崎敬二先生(奈良大学教
授)と野間さんのお二人が長浜市役所に出かけて、提出・説明をしに行く予定です。
ただ、当日、市長・副市長は他に政務があって対応できないとのことで、森林整備課の課長さん(例の強硬伐採推進派の人)らが対応していただくことになっています。
しかし、先方の担当者によれば、森林整備課の課長さんも、当日は出席予定だがどうなるかはまだわからない、ということで面会にも出てこない可能性があります。
岩崎先生は非常に熱意と責任感のある方で、数多くのこのような問題に精力的に取り組んでおられる先生ですが、「ただ、一方的に説明するだけで、議論さえもできない、ということもありえます。」と懸念されています。
滋賀県知事宛の要望書の方は、新知事の登庁は19日とのことですので、その後に提出するべく、日程調整を行う予定です。
そこで、皆様にお願いですが、7月18日に長浜市宛てに、日本生態学会近畿地区会自然保護専門委員会から伐採に関する要望書が提出されることをできるだけ多くのマスコミ関係者等に宣伝して、世間や陰で圧力を与えられる方々の注目を集めてほしいのです。
担当者レベルでの扱いしかしようとしていないという批判もあり得ます。
課長が直接対応せざるを得ない状況にできれば、岩崎先生も説明や説得のやりがいがある、と言っておられます。
マスコミ関係者やお知り合い、有力者に宣伝していただくに当たっては、要望書の内容について、上記の3点を提示しているということを強調していただきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
補足ですが、要望項目の3番目は、ここでも議論していただいているような先手のための組織や体制(特に伐採に係る制度の見直し等)を意識したものです。
また、なぜ林業行為の許可違反や伐採の影響による環境保全機能の低下について触れなかったかと言いますと、これまでの経緯から、その面の主張は既にしているということと、ご存知の通り、それを受けても全く伐採強行の意向を変えていないためです。