@068【妄想日記02】
昼食は無性にかき揚げうどんが食べたくなった。駅前の「うどん屋讃岐」のかき揚げは絶品である。値段も450円と割安である。他のメニューも割安で、給料日前は客で一杯のことが多い。
財布の中を確かめると800円。昨年から流通の始まった新500円硬貨と100円硬貨3枚しかない。「今日は給料日だから、会社帰りに出さなければな」
店に入ると、多くの客がいて、店長は忙しくうどんを作っていた。
券売機は旧式で、新500円硬貨は対応しておらず、店長に旧500円硬貨に交換して券売機を利用していた。しかし、今日は交換をためらうほど店長は忙しそうだった。
私は意を決して店長に交換して欲しい旨を告げた。すると店長は券売機を指差し、「隣の両替機で交換して」
券売機の横に見ると、「新500円硬貨両替機」とあった。投入口から新500円硬貨を入れると、下から500円硬貨が出てきた。「店長、戻ってきたよ」
すると店長は「出てきた500円硬貨を券売機に入れて」
言われ通り出てきた500円硬貨を券売機に入れると、反応して無事食券を買うことができた。新500円硬貨を入れると、旧500円硬貨が出てくる両替機だったのだ。
席に着いた私は「どうしてあの両替機を入れたの?」と尋ねた。
「新500円硬貨対応の券売機は350万円するから、今の経営状況では出せないんだ。それに今変えても2024年には紙幣も変わるから、新紙幣対応のも考えないといけないし。新紙幣が落ち着いた頃に券売機を変えようかと思っている。そんなときに、『この両替機をリースしませんか』とハートリンクと言う会社の営業が来たんだ。2024年に新札対応の券売機が買えるように、この両替機にお世話になるよ。」
そんなことがあった日から、注意して見ると、券売機でやっている多くの飲食店の券売機の隣にはあの両替機が置かれていた。
(2022/2/12)