私が19歳のころ、
梅田のファッションビルの片隅にある小さなカフェでバイトしていた。
もちろんウェイトレス。ぶひっ!
フク姉は「ああいうところって可愛い子しかバイトできひんのとちゃう?」
と疑っていた。
でも、それは大きな間違い。
容姿は二の次で、真面目そうな子が面接で通るのだ。
私は可愛くないが、真面目そうに見える。
おそらく金髪に染めて厚化粧して露出の高い服を着ても、
真面目そうに見えるだろう。
それは持って生まれたものだから変えようがない。
ま、良く言えば『品』か?
それはおいといて。(突っ込まれる前に話題を変える)
最初はカフェでなく、お好み焼き屋に面接に行った。
そのお好み焼き屋は制服が可愛いし、店もおしゃれだったからだ。
でも感触はあまり良くなくて、店を出てその足で隣の隣のカフェに行ったのだ。
カフェの店長はろくに私の顔も見ずに採用してくれた。
そしてカフェで働きだしてすぐにお好み焼き屋から
「明日から来てくれる?」と連絡があったが断った。
その後、お好み焼き屋の店長が自身の休憩時間にそのカフェに来た。
どうやら常連らしいが、なんとまあバツの悪いこと・・・。
時々、「気ぃ変わらんか?」と私に声をかけてくれた。
少し心が揺らいだが、バイト仲間が、
「あそこは女同士のトラブルが多いからやめとき」と言ったので、
お好み焼き屋に「行きません」ときっぱり断ったのだ。
今思えば、単に私をからかっていただけだと思う。
(新参者ってよくからかわれるんだよねー)
余談だが、その時のバイトメンバー(私を含め4人)とはいまだに交流がある。
気心が知れた仲間は大事にせにゃいかんね。
それから私は6歳年上のカフェの店長に恋をしてしまった。
(お好み焼き屋の方ではない)
大人なのにダメダメなところや、メンタルが弱いところが、
私のハートに突き刺さったようだ。
また、大人の男性と長時間一緒に居ることが初めてだったのもある。
そんなカフェのバイトのとき、店内でよく聴いた曲が
稲垣潤一のドラマティックレイン。
せつない恋心にめっちゃ沁みた。
でも店長は既婚者。
バイトが終わっての帰り道、雨が降っていた。
泣きながら濡れて帰ったことを覚えている。
まだ二十歳になる前の苦い恋心。
店長がよその店に移り、そのまま告白せずに終わった。
私はそのカフェの古参になったが、就活が始まり、辞めた。
今でもドラマティックレインは好きな曲だ。
ボサノバっぽい曲調が琴線を揺さぶる。
筒美京平が作曲した。
筒美京平はスゴイ!!天才だ!
私の好きな曲ばかり作曲してくれた。
NOKKOの「人魚」も大好き。
他にもいっぱいある。数えきれない。
そんな筒美京平先生の冥福を祈るばかりだ。