去年の年末に子どもから貸して貰っていたものの、ずっと読めなかった万城目学さんの『八月の御所グラウンド』をようやく読み終えました。
(いや、読め始めれば一時間もかからず読めるのに、なんだってこんなに手にとるまで時間がかかるようになったのか、いまだによくわからないです。震災以来なのでそれのせいなんでしょうけれども、人生の半分以上を読書好きとして生きてきたのに、まったく読めなくなったのは我がことながら未解決事件のようなもやもやがあります。)
「十二月の都大路を上下(カケ)ル」「八月の御所グラウンド」の二作品の短編が収められています。駅伝と野球という、どちらも大好きなスポーツが題材でたまらんかったです。
私は『ホルモー六景』などの、万城目さんの描かれる女性の心情やまなざしが好きなんですが、今作もとても良かった。
なによりも「生きて、野球がしたかった」彼らの想いが、ちゃんと伝わっていくさまに泣けてしょうがなかったです(五十半ばのおばさんがグズグズ鼻をかみながら読みました)
京都の暑さと青年期の熱情と人の切ない願いの熱。万城目さんの軽やかなのに一文字一文字かみしめるような意味が込められた文章がいいです。
今作の直木賞受賞が発表されてから、読書感想が多数ネットにアップされていて読んだんですが、なかに映画「フィールド・オブ・ドリームス」を思わせると書かれていた方がいて、嬉しかったです。公開当時映画館で観た時からずっと大好きな作品で、あの夢のような?ラストの顛末が、私も重なりました。
読み終わって、とても幸せな気持ちになりました。万城目さん、良いお話をありがとうございました。
ところで、もう万城目さんの新作『六月のぶりぶりぎっちょう』が今週発売になりました。紹介文に’シリーズ第二作’と書かれているんで、これ12ヵ月を全部あてはめたお話が書かれるのかもしれませんね、すっごい楽しみです。