郭公の盤
○牧野 修+田中 啓文 『郭公の盤』 (早川書房)
「あの」とつけたくなる(笑)牧野さんのぐちゃゲロ世界と、すこし不思議ホラーな田中さんの世界の、見事なセッションです。巻末で田中さんが、
>正直言って、この作品を書いているとき、牧野さんと個人的な打ち合わせを何度も何度もおこなった。これほど作家同士が真剣に綿密に打ち合わせをしながら書き進める小説というのも珍しいと思う。
と書かれておいでなのが、本当に良く判る文章です。
私的に、恐ろしいという感覚を超える日本の幽玄の美というのは、この本のP144からの「耳なし芳一」のお話が極みだと思ってます。夜の墓場で平家琵琶と芳一が朗々と語る壇ノ浦の最期の様子、それを聴いて泣き震える亡者たち。この幽玄の世界に共感できると、いっきにこのお話が味わい深くなりますよ。
○三浦 しをん・あさの あつこ・近藤 史恵 『シティ・マラソンズ』 (文藝春秋)
めっちゃ読後感が好いです!運動オンチな私でも、うっかりジョギング始めようかな?と思ってしまうぐらい、「走る喜び」を謳いあげた短編集です。そもそも、スポーツメーカーのアシックスが、キャンペーン用にwebサイトに掲載したお話なので当然なのですが、それにしても、当代の人気女流作家三人さんの、それぞれの作風がぞんぶんに発揮された心地よいお話に感動しました。これはねぇ、気持ちが落ち込んだ時や体調が悪い時に、ぜひ読んで頂きたい一冊です(変な薦め方だ)
○東北をこよなく愛する会 『本人ですら知らなかった! 東北人の説明書』 (PHP)
P18 「宮城県人度チェック」より特に強調されている部分を引用
・それほど親しくない異性とも抵抗なく食事ができる
・目標を決めても、ちょっとしたトラブルであきらめてしまう
・お人好しなので、貧乏くじを引いてしまう
・実は宮城を東北だと思っていない
・歴史に「もし」があれば、伊達政宗が天下を獲っていたと思う
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ええと・・・うう~ん(汗)「宮城は東北」だと思ってますが、「宮城って言うより、仙台の方が他県人には通じる」とは思ってます。それと「新幹線に乗ったら朝9時でも宴会(というか、まず一杯)」は、確かに否定できないです。