にゃーにゃーの人(笑、悪気はないよ)が混合診療の問題点について指摘&説明しているわけだが、ハズレというわけではない。大体は同意できるものであるし、怪しげな代替医療の問題みたいなのがあるというのはその通り。
近頃大都会であるらしいのが「点滴バー」とかいう、「どう見ても~です、ありがとうございました」的医療機関があるそうな。まあ、東京モンは常日頃疲れているのだろうから、点滴バーだの酸素バーだのというような、アレげな場所に行かねばなんね、ということかもしれませぬ。
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これはこれでいいのだが、個人的には「混合診療の(部分)容認派」である。それは何故か?
簡単に言えば、「請求できない壁」みたいなものの存在でしょうか。
そんなに詳しく研究したりしたことはないし、知ってる範囲も狭いのだが、一応書いてみるよ。
よく取り上げられた話として、リハビリの期間制限という問題があった。6ヶ月間という縛りができた為に、患者サイドが大変困っている、という話である。これを例にして、少し書いてみる。
テレビなんかではセンセーショナルに取り上げられるのだけれども、リハビリの期間制限の為に「もう診てもらえない」とか言う話になってしまっているのだが、これは本当なのだろうか?6ヶ月を超えて「リハビリをしてはいけない」、などという医療上のルールなどあるのだろうか?
はっきり言えば、それはウソだ。
できないのは、「保険請求上の算定」だけであって、リハビリを行うことは医療保険制度上では「何らの禁止事項」もない。できないというのは、医療機関側が患者サイドに「もう算定できないので、やりたくありません」と言っているに過ぎないのである。本当は、診療の求めがあるなら、これに応じなければならず、医療機関側は原則拒否できない。保険診療のルールとは、「やるな」という制限とか、行為についての禁止というものは殆どないが、基本的に算定ルール(保険請求ルール)というものなのだ。
従って、患者がリハビリをどうしてもやってくれ、という求めをした場合、医療機関側にはこれを拒否できる合理的理由というものがなければ、実施せざるを得ないのである。たとえ実施したとしても、それを保険請求することは認められていないので、単に請求できない、というだけである。つまり、タダ働き、ということ。もし厚生労働省に解釈を尋ねたとすると、「6ヶ月を超えて~を実施した場合には、算定できない」ということになり、強いて解釈するなら「再診料に含まれ、算定できない」とか、「6ヶ月以内の~の所定点数に含まれるので、6ヶ月以降には算定できない」とか、強引に疑義解釈を作られてしまうだろう。
医療機関が「リハビリをやってはいけない」というように言ってるのは、実は不正確だ、ということ。やっていいんですよ、別に。けど、保険請求ができない、というだけ。良心的な医療機関であるほど、そういった請求できない費用を医療機関側がかぶって、患者さんにその分の医療サービスを提供してきたんですよ。だから全然儲からない上に、仕事ばかりが増えるわけだ。
これに類する、期間制限や回数制限などのある算定ルールは多く存在し、「○○検査は月に2回まで」しか算定できない、ということになっているなら、「3回以上やってはいけない」ではなくて「やってもいいけど、請求できない」ということである。医療なのだから、必要に応じてやらねばならないものはやるし、保険で算定できないからといって「やらない」ということにはならない。これが基本。なので、リハビリがまだ必要だ、と医師が判断するなら、6ヶ月を超えても「やるべき」だし、普通はやる。けど、タダ働きになってしまうね、ということだね。
こういうのを回避することは、基本的に医療機関側にはできない。
保険の算定ルールというのは、かなり複雑であるし、硬直的でもある。検査回数は~回まで、とか、絶対的基準があってそうなっているわけではなく、大体の場合(あくまで確率的問題)にはカバーされるでしょう、でも例外も必ず存在していますよ、ということです。また、検査法、薬剤や治療法について、算定条件として「○○をやった場合に、~~について算定できる」みたいなこともあり、そういう前提に合致しない場合には、やはり算定できないということになってしまうわけである。薬についても、適用外使用(例えばサリドマイド、低容量アスピリン、とか)の場合には、認可が出るまでは原則「保険適用外」ということになってしまい、どうしても使う場合には、自費ということになってしまって、これもまた患者負担が重い、ということになるわけである。
なので、必ずしも硬直的な保険上のルールが望ましいとは到底思っていない。
患者の希望という点についても、「もっと詳しく説明してくれ」とか「もっと血液検査回数を増やせ」とか「どうしても頭部のMRI とCTを撮ってくれないと納得できない」とか、そういった無理難題を要求する方も中にはおられるわけです。そういう方々は、負担額が問題なのではなく、「この内容では満足できない」という方々が多いわけですよ。能力の高い医師になればなるほど、無駄な検査とかはやらないし、必要最小限でもかなり診断をつけられるし、薬もやたらと使ったりはしないと思うんですよ。でも、「あなたはゆっくり寝ていれば大丈夫ですよ」とか言っても、「どうしてもカゼ薬を出してくれ」とか「検査してくれ」とか要求されることはあるんだろうと思います。そういう場合にこそ、必要最低限のセットメニュー(=保険診療)と、その範疇にはルール上入らない請求については「別途保険外料金を頂戴いたします」と請求できる方がいいと思うのです。
保険の縛りというのは、割と理不尽なものとか、使いづらいとか、何で請求できないんだろとか、そういうのがかなり含まれているのです。どうしてかといえば、儲けさせない為、です(笑)。保険の点数や請求金額が「過少評価」であるかどうかなんて、誰にも判らないわけなんですよ。言ってみれば、医療業界だけは「社会主義」原理っぽくて、従事者たちには「これくらい」という大雑把な水準の給与があるだけです。おまけに今の保険制度というのは、上手ければ上手いほど、全然儲けられないという制度になっているわけです。下手な医師ほど儲かる制度なんですから。だったら、上手いか下手かに関係なく保険診療はあってもいいので、それなりに請求させてくれ、という部分については「別途いただきます」ということでいいと思います。
例えば保険診療にある点数を準用して、仮に500点の算定の認められるものであれば、これを保険外で実施するなら5000円徴収すれば済みますよ。「保険点数にあるもの」を自費でもらうならそれで問題ないし、適用外使用にしても「現に存在している薬剤」ということで既に薬価があるのだから、その分を貰えば済むことです。別に、儲け主義だから混合診療はダメだ、とかいう話ではないでしょう。リハビリの制限にしたって、最大公約数的な話が6ヶ月ということであって、それを超えて実施したいという人には、その別途追加料金を貰えば実施できるのではないでしょうかね。それは、あくまで「保険診療の延長上」にあるものであり、特別な「紛い品」みたいなものではないでしょう。詳しい説明にしても、希望する人にはタイムチャージで30分まで初診か再診料と同等水準で貰ってもいいと思えます。
食堂に行った時に、セットメニューで「○○定食」しかない、というのが保険診療の基本です。サイドメニューとかは原則選べない、ということであり、もし万が一「定食にない冷奴を追加したい」とか「みそ汁のおかわりをしたい」とか言っても、保険では認めません、という制度になっちゃってるんですよ。「みそ汁は1杯までしか算定できない」という最大公約数的ルールになっちゃってるんです。これを、「もう一杯注文したい」という人には、「注文できるようにする、その金額を請求できるようにする」というのが混合診療ということの意味合いです。
保険診療の硬直的ルールである「○○定食」は絶対であって、「患者サイドでは選択の余地がない」ということになってしまっていて、これではサービス水準が低いと言わざるを得ないと思います。若干なりとも、患者サイドにだって選択の余地を認めることがそんなに悪いとは思いません。そういう要求をしたい人だけが、自己負担で行えばいいことです。いくら「みそ汁お替り自由がいいよね」と言っても、保険財源がそこまでは許容できないのですから、みんなに2杯目をタダで出すというわけにはいかないのです。ならば「みそ汁は1杯しかダメ」という硬直的制度から、「2杯目以降は自己負担で追加料金を頂きます」という制度になっている方がいいでしょう、ということです。
なので、混合診療がそんなに悪いとは思わない。
使い方次第なのではないかな、と。
近頃大都会であるらしいのが「点滴バー」とかいう、「どう見ても~です、ありがとうございました」的医療機関があるそうな。まあ、東京モンは常日頃疲れているのだろうから、点滴バーだの酸素バーだのというような、アレげな場所に行かねばなんね、ということかもしれませぬ。
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これはこれでいいのだが、個人的には「混合診療の(部分)容認派」である。それは何故か?
簡単に言えば、「請求できない壁」みたいなものの存在でしょうか。
そんなに詳しく研究したりしたことはないし、知ってる範囲も狭いのだが、一応書いてみるよ。
よく取り上げられた話として、リハビリの期間制限という問題があった。6ヶ月間という縛りができた為に、患者サイドが大変困っている、という話である。これを例にして、少し書いてみる。
テレビなんかではセンセーショナルに取り上げられるのだけれども、リハビリの期間制限の為に「もう診てもらえない」とか言う話になってしまっているのだが、これは本当なのだろうか?6ヶ月を超えて「リハビリをしてはいけない」、などという医療上のルールなどあるのだろうか?
はっきり言えば、それはウソだ。
できないのは、「保険請求上の算定」だけであって、リハビリを行うことは医療保険制度上では「何らの禁止事項」もない。できないというのは、医療機関側が患者サイドに「もう算定できないので、やりたくありません」と言っているに過ぎないのである。本当は、診療の求めがあるなら、これに応じなければならず、医療機関側は原則拒否できない。保険診療のルールとは、「やるな」という制限とか、行為についての禁止というものは殆どないが、基本的に算定ルール(保険請求ルール)というものなのだ。
従って、患者がリハビリをどうしてもやってくれ、という求めをした場合、医療機関側にはこれを拒否できる合理的理由というものがなければ、実施せざるを得ないのである。たとえ実施したとしても、それを保険請求することは認められていないので、単に請求できない、というだけである。つまり、タダ働き、ということ。もし厚生労働省に解釈を尋ねたとすると、「6ヶ月を超えて~を実施した場合には、算定できない」ということになり、強いて解釈するなら「再診料に含まれ、算定できない」とか、「6ヶ月以内の~の所定点数に含まれるので、6ヶ月以降には算定できない」とか、強引に疑義解釈を作られてしまうだろう。
医療機関が「リハビリをやってはいけない」というように言ってるのは、実は不正確だ、ということ。やっていいんですよ、別に。けど、保険請求ができない、というだけ。良心的な医療機関であるほど、そういった請求できない費用を医療機関側がかぶって、患者さんにその分の医療サービスを提供してきたんですよ。だから全然儲からない上に、仕事ばかりが増えるわけだ。
これに類する、期間制限や回数制限などのある算定ルールは多く存在し、「○○検査は月に2回まで」しか算定できない、ということになっているなら、「3回以上やってはいけない」ではなくて「やってもいいけど、請求できない」ということである。医療なのだから、必要に応じてやらねばならないものはやるし、保険で算定できないからといって「やらない」ということにはならない。これが基本。なので、リハビリがまだ必要だ、と医師が判断するなら、6ヶ月を超えても「やるべき」だし、普通はやる。けど、タダ働きになってしまうね、ということだね。
こういうのを回避することは、基本的に医療機関側にはできない。
保険の算定ルールというのは、かなり複雑であるし、硬直的でもある。検査回数は~回まで、とか、絶対的基準があってそうなっているわけではなく、大体の場合(あくまで確率的問題)にはカバーされるでしょう、でも例外も必ず存在していますよ、ということです。また、検査法、薬剤や治療法について、算定条件として「○○をやった場合に、~~について算定できる」みたいなこともあり、そういう前提に合致しない場合には、やはり算定できないということになってしまうわけである。薬についても、適用外使用(例えばサリドマイド、低容量アスピリン、とか)の場合には、認可が出るまでは原則「保険適用外」ということになってしまい、どうしても使う場合には、自費ということになってしまって、これもまた患者負担が重い、ということになるわけである。
なので、必ずしも硬直的な保険上のルールが望ましいとは到底思っていない。
患者の希望という点についても、「もっと詳しく説明してくれ」とか「もっと血液検査回数を増やせ」とか「どうしても頭部のMRI とCTを撮ってくれないと納得できない」とか、そういった無理難題を要求する方も中にはおられるわけです。そういう方々は、負担額が問題なのではなく、「この内容では満足できない」という方々が多いわけですよ。能力の高い医師になればなるほど、無駄な検査とかはやらないし、必要最小限でもかなり診断をつけられるし、薬もやたらと使ったりはしないと思うんですよ。でも、「あなたはゆっくり寝ていれば大丈夫ですよ」とか言っても、「どうしてもカゼ薬を出してくれ」とか「検査してくれ」とか要求されることはあるんだろうと思います。そういう場合にこそ、必要最低限のセットメニュー(=保険診療)と、その範疇にはルール上入らない請求については「別途保険外料金を頂戴いたします」と請求できる方がいいと思うのです。
保険の縛りというのは、割と理不尽なものとか、使いづらいとか、何で請求できないんだろとか、そういうのがかなり含まれているのです。どうしてかといえば、儲けさせない為、です(笑)。保険の点数や請求金額が「過少評価」であるかどうかなんて、誰にも判らないわけなんですよ。言ってみれば、医療業界だけは「社会主義」原理っぽくて、従事者たちには「これくらい」という大雑把な水準の給与があるだけです。おまけに今の保険制度というのは、上手ければ上手いほど、全然儲けられないという制度になっているわけです。下手な医師ほど儲かる制度なんですから。だったら、上手いか下手かに関係なく保険診療はあってもいいので、それなりに請求させてくれ、という部分については「別途いただきます」ということでいいと思います。
例えば保険診療にある点数を準用して、仮に500点の算定の認められるものであれば、これを保険外で実施するなら5000円徴収すれば済みますよ。「保険点数にあるもの」を自費でもらうならそれで問題ないし、適用外使用にしても「現に存在している薬剤」ということで既に薬価があるのだから、その分を貰えば済むことです。別に、儲け主義だから混合診療はダメだ、とかいう話ではないでしょう。リハビリの制限にしたって、最大公約数的な話が6ヶ月ということであって、それを超えて実施したいという人には、その別途追加料金を貰えば実施できるのではないでしょうかね。それは、あくまで「保険診療の延長上」にあるものであり、特別な「紛い品」みたいなものではないでしょう。詳しい説明にしても、希望する人にはタイムチャージで30分まで初診か再診料と同等水準で貰ってもいいと思えます。
食堂に行った時に、セットメニューで「○○定食」しかない、というのが保険診療の基本です。サイドメニューとかは原則選べない、ということであり、もし万が一「定食にない冷奴を追加したい」とか「みそ汁のおかわりをしたい」とか言っても、保険では認めません、という制度になっちゃってるんですよ。「みそ汁は1杯までしか算定できない」という最大公約数的ルールになっちゃってるんです。これを、「もう一杯注文したい」という人には、「注文できるようにする、その金額を請求できるようにする」というのが混合診療ということの意味合いです。
保険診療の硬直的ルールである「○○定食」は絶対であって、「患者サイドでは選択の余地がない」ということになってしまっていて、これではサービス水準が低いと言わざるを得ないと思います。若干なりとも、患者サイドにだって選択の余地を認めることがそんなに悪いとは思いません。そういう要求をしたい人だけが、自己負担で行えばいいことです。いくら「みそ汁お替り自由がいいよね」と言っても、保険財源がそこまでは許容できないのですから、みんなに2杯目をタダで出すというわけにはいかないのです。ならば「みそ汁は1杯しかダメ」という硬直的制度から、「2杯目以降は自己負担で追加料金を頂きます」という制度になっている方がいいでしょう、ということです。
なので、混合診療がそんなに悪いとは思わない。
使い方次第なのではないかな、と。