“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

『東京 子育て 働く母 ~子育て小国 女たちの選択~』(BSフジ)

2018年08月11日 17時33分18秒 | 育児
東京 子育て 働く母 ~子育て小国 女たちの選択~
2015.7.2:BSフジ

録画してあった番組を視聴しました(たぶん2回目)。
東京で仕事を続けながら育児をする困難さを取材した内容です。
制作者は独身女性31歳、自分の未来を重ねてしまい、すっかり自信喪失したことをカミングアウトしていましたね。

心に残ったキーワードは以下の4つ;
1.園活離婚
2.アリバイ会社
3.マッチングサイト
4.マタハラ


1の「園活離婚」とは、認可保育園に入るための究極の裏技だそうです。
シングルマザーの方が保育園には入れる確率が高いため、夫婦で話し合った結果、実質を伴わない離婚手続きを取った女性を取材。
「そこまでやるのか・・・」と私は声を失いましたが、本人達は至って真面目で本気です。
しかしその女性の子どもは、そこまでしても入園できませんでした。
近くに両親が住んでいることがマイナス要因になったのではないか、と勘ぐっていました。

2の「アリバイ会社」とは、入園申告書類に勤務先を書きにくい水性外形のシングルマザー達が利用するようです。
架空の会社名で書類を作ってくれるサービス。
もちろん、詐欺的犯罪行為であり、バレればおじゃん。
でも、母親達はそこまで追い詰められています。

3の「マッチングサイト」とは、ベビーシッターを探すネット上のサイトのこと。
正式に申し込むととても高くつくので、組織的ではない個人契約で安く済ませようとする人が利用します。
当然、リスクもあり、実際に子どもが亡くなった事件がありましたね。

4の「マタハラ」はすでに市民権を得た言葉ですが、母親につらく当たるのは上司の男性だけではなく、同僚の女性もいるということに驚かされました。

1〜4の問題点の根っこは、日本の過酷な労働環境にあると私は確信しています。
女性が専業主婦で家事・子育てを担当し、男性が外で働いて収入を確保する、という固定観念。
何とか打ち破ろうともがいているのが現代社会ですが、その歴史は古く、人類が誕生した500万年前から、つい最近の100年前までこのようなシステムでした。

もともと生物は雌雄はなくすべて雌でした。
ヒト以外の霊長類でも雄は子育てしません。
ヒトの家族を作り雄も子育てに一部参加するようになった理由は、ヒトの成長が遅く時間がかかるからです。
母親はエサをとりに行く余裕がなく、発情期を消して父親を常に近くにいるよう手なづけ、自分と子どもが生きていけるようなシステムを作り出したのです。

時は流れ、力と体力がものをいう狩猟採集・農耕がなりわいの中心ではなくなった近代、女性も社会活動・仕事に参加しやすくなりました。
すると、「男女平等」というスローガンの元に、女性は男性と同じ仕事をしたいと考えるようになりました。

単純に考えると、自分を保護し食料を調達してもらうために働く雄を確保していたのに、その雄の仕事をしたいと言い出したのですね。

500万年続いた生活習慣を100年で変えるのは大変でしょう。
多大なエネルギーと時間が必要だと思います。
今はその始まりに過ぎず、うまくいかないのは仕方ありません。

さて、外での仕事は昔よりは肉体労働的要素は減りましたが、やはり体力勝負。
とくに第二次世界大戦後に焼け野原から復活した日本では、男性がボロぞうきんになるまで働かされてきました。
「会社人間」「エコノミックアニマル」「ジャパニーズビジネスマン」
・・・これらの言葉の裏には「家族を犠牲にして会社のために働く日本人男性」が見え隠れしています。

欧米の円熟期を迎えた国々では、男性でも9時〜5時勤務なので育児参加しやすい社会を作っています。
しかし日本では残業が当たり前で、午前様がふつうという仕事も珍しくありません。
この労働環境をそのままに、女性が職場に出て行ったらどうなるか、明らかですね。

家族・家庭が崩壊します。

しかし人口減少社会の日本では、女性の社会参加が常識になっていくことは間違いありません。
女性が働くことがオプションではなく、必須の時代になりつつあります。

対策として、まずは現在の過酷な労働環境を緩めて男性が夕方6時に家に帰れるようにすべきです。
そこから始めないと、悪循環は断ち切れません。
その結果、給料が減り、日本の経済成長も少し鈍るという副作用も受け入れる覚悟が必要です。

原発より経済成長を優先する日本という国で、可能でしょうか?


<番組内容>
 東京の“出生率”は全国最低の「1.13」(2013年)。一方で“婚姻率”は全国1位…つまり東京は、「結婚はしても子供は産まない街」。出生率「1.13」…この数字の向こう側にあったのは信じがたい実態。6人の定員に、応募180人という保育園、出産をきっかけに「育児を優先して」と退職を迫る上司、保育園に入れるために“離婚”を選ぶ夫婦…それは「産まない」のではなく「産めない」街、東京の現実だった。

 「すべての女性が活躍できる社会をつくる」これは、安倍内閣が掲げる重要課題である。生産年齢人口の減少によって低下している労働力を女性の労働力で補う…。だが、女性の活用を経済成長戦略の中核に位置付ける一方で、日本の「少子化」は危機的状況だ。
 「働くこと」も「子供を産むこと」も期待されている現代の女性たち。しかし、いま首都・東京では、「待機児童数・全国ワースト」「マタハラ」「保育園建設反対」「子供の声は騒音?」、出産も子育ても迷惑である、そんな声があふれてはいないだろうか?
 そんな東京で、子供を産み、育て、働く、ということはどういうことなのか?その先に待っているものは、一体なんなのか?そんな疑問をきっかけに、取材は始まった…。

子供を保育園に入れるため引っ越しを余儀なくされた幸恵さん(仮名・30)
 2015年1月、自宅のある杉並区で第一子である男の子を出産した幸恵さん。退院後すぐに取り掛かったのは保育園探し。通称「保活」。秋からの職場復帰を目指し、30以上の保育園に問い合わせをするも、現実は「6人の募集に対し入園希望者は180人」という想像を超える厳しさだった。
 幸恵さんは杉並区での保育園探しを断念し、新宿区で保育園探しを始める。だが、やっと入園できることになった保育園は、自宅から40分も離れた新大久保、繁華街の裏手にある保育園だった。
 結局、新宿区への引っ越しを余儀なくされ、意に反して生後4カ月で息子を保育園に通わせることになった幸恵さん。そこには、東京の“保活戦争”の奇妙な実態があった…。

子供を保育園に入れるために離婚したアヤコさん(仮名)
 子供が1歳の時から認可保育園(施設の広さなど国が定めた設置基準を満たした保育園)に5回入園を申し込み、すべて断られたアヤコさん。そこで、夫婦が選んだのは、子供を保育園に入れるための“保活離婚”。保育園に入るには母子家庭のほうが有利というシステムが生んだ悲劇…。しかし、そうまでして申し込んでも、アヤコさんの子供は、認可保育園に入ることはできなかった。彼女が口にした“保活の狂気”とは…

12人の部下を抱える管理職として働くシングルマザー・由佳さん(37)
 都内の職場で12人の部下を抱える管理職として働く由佳さんは、午後6時の終業のチャイムが鳴ると誰よりも早く帰宅する。一人で子育てをする由佳さんに、会社は理解を示してくれているが、それでも彼女が抱え続ける、うしろめたさ…。
 保育園で3歳の娘を引き取ると、由佳さんは母親の顔になる。「子育ても仕事もうまくこなしたい…」
 仕事が繁忙期に入った春、大阪の実家から由佳さんのお母さんが駆け付ける。おばあちゃんに会えてうれしくて仕方がない娘…、それを見た母から出た本音。「実家に帰ってきてくれたら安心…」それでも、由佳さんがあえて、東京で働き続ける理由はなんなのか?
 
 さらに、ディレクターが出会ったのは、保育園に通わせるために“アリバイ会社”を利用し身分を偽る母親や、インターネットで格安のベビーシッターを探す母親、マタニティーハラスメントと闘う母親…。
東京の街には、「出産」「子育て」「仕事」の狭間で、常に社会から「選択」を迫られる女性たちの姿があった。

ディレクター・郡薫子(フジテレビ情報制作センター)コメント
「取材で出会った女性たちは、誰もが私たちの周りにいる、ごくごく普通の母親たちでした。しかし、彼女たちは、出生率が全国最低の「東京」で子供を育てる母親でもあります。彼女たちの日常を追えば、東京の出生率の低さの背景が見えるはず…。母親たちに話を聞くと、待機児童の問題には、保育園不足を加速させるような、親たちの“駆け引き”が潜む一方で、職場には女性たちが「会社の空気を読んで出産時期を決める」という“暗黙のルール”があることもわかりました。そんな中、「彼女たちが、そうまでして働く理由はなんなのか?」という疑問…。
 取材で見えてきたのは、働きながら子育てする女性たちの“ジレンマ”でした。「安心して子供を育てたい」気持ちと「仕事を辞めたくない(辞められない)」という気持ちの両方をかなえることは、女性のわがままなのだろうか…?
 私自身、取材を終えた今も、答えを出せずにいます。彼女たちの声を聞いて一緒に考えていただけたらと思っております」

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