小説家、反ワク医師、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、反ワク医師、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

池見酉次郎

2008-11-05 22:39:45 | 医学・病気
11月になって体調が崩れだした。今年は夏、体を焼いてうんと泳いで体力をつけておいたので、秋ものきりきれるだろうと思っていたが、あまかった。やはり寒いのは駄目である。少なくとも私は男はどんなに辛くても弱音を吐くべきじゃないと思っている。が、ブログは記録になるので書いておこう。
アレルギー性鼻炎。朝晩の冷え。
寒さのため、思考が働かない。発想力、思考力、記憶力、記名力、すべてが低下しだした。前頭前野の機能低下である。こういう時には、何も出来ない。まあ、毎年、ずっとつづいてる事なので、仕方がない。やはり日本の四季なんか無い方がいい。一年中、夏の方がいい。

私が一番、尊敬している医学者は、池見酉次郎先生である。
世間では日野原重明先生を医学の神様のように言っているが、私は池見酉次郎先生の方が日野原先生より、遥かに上だと思っている。日野原先生は自身、健康で、健康な人は、どうしても患者の気持ちまではわからないのである。また、医学者としても、そのエネルギーは、病気を持っている人の方が遥かに上なのである。

私が池見先生を敬するのは、池見先生が、内向的な性格で過敏性腸症候群を一生、持って人生を生きぬいたからである。しかも、池見先生は、病気のハンデによって、学者として劣るどころか、心身医学では、全てを解明してしまっている。「愛」さえ、科学的に、その原理を解明している。もはや、池見先生に答えられない事というのは無いと言ってもいい。全知全能の神である。
私にとって池見先生の本は、まさに座右の書だった。
世間では内向的な性格をネクラと言って救いようのない欠点のように言う。
内向的な性格の人間には、何のメリットも無いよう言われている。
実際、人間および生物は、そもそも外向的であるべきなのだ。これは真実である。
しかし内向的な人間にも素晴らしい長所がある事を池見先生は堂々と主張している。
池見先生の本、「心身セルフ・コントロール法」(主婦の友社)の中で、池見先生は、過敏性腸について、研究した事を述べている所がある。その中で、池見先生は言っている。
「優秀な人に多い過敏性腸」
内容は、細かく書かないが、私は、この所にどれだけ力づけられたことか。
そもそも学者や研究者には内向的な性格の人間の方が向くのである。
そして私が池見先生に傾倒するのは、内向的で過敏性腸、繊細でクラスや社会にうちとけない、孤独、など性格的に似ていて共感するからである。

精神科医なら、誰でも神経症の森田正馬の名前を知っている。
しかし心療内科と標榜して、池見酉次郎の名前を知らない医者が多いのである。
なにも私の贔屓目ではなく、池見先生は日本に心療内科をつくった創始者であり、学者としても、超一流。文章力も優れていて、感動的なほどである。
池見先生の研究はミクロ的ではなく、マクロ的である。
学問はミクロになりやすい。
自分の専門や視点からの研究になりやすい。
池見先生の本は、心身医学の永遠の温故知新の書と言えるだろう。

苦しむ患者にとって大切な事は、病気の微視的な原理が解明される事ではなく、病気が改善される、当然の事だが、このことに尽きる。

ブルース・リーの格言にもこういうのがある。
「真実は、単純な日常の動作の中にこそある。触れ、感じ、見ることで手中に出来るはずの真実を、大半の武術家は、全体ではく一点を掻き回すことで、知りそこなっている」

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