小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

ゴルゴダの丘

2013-10-10 22:15:17 | 武道・スポーツ
2020年に、オリンピックの開催地が東京に決まって、日本国民全員が喜んでいるというのに、
「全てのプロスポーツおよびトップアスリートは、くだらない」
と言っている一人の男がいました。彼の名は、浅野浩二と言って素性は謎の男です。日本国民は、怒り狂って、浅野浩二の家に押し寄せ、
「十字架にかけろー」
と叫びました。彼らは、浅野浩二を鞭打ち、頭に茨の冠をかぶせ、十字架を担がせました。
「さあ。ゴルゴダの丘へ行け」
暴徒たち(いや日本国民)は、そう言って浅野浩二を鞭打ちました。浅野浩二は、十字架を担いで、ゴルゴダの丘へと向かいました。十字架の重さのため、ハアハアと息も絶え絶えに、浅野浩二は、ゴルゴダの丘につきました。暴徒たち(いや日本国民)は、浅野浩二の両方の掌と足首を、大きな釘で十字架に打ちつけました。浅野浩二は、激痛に、
「ああー」
と叫びました。彼は天を仰ぎ見て、
「主よ。彼らを許してやって下さい。彼らは自分たちが何をしているのか、わからないのです」
と言いました。
「何をゴチャゴチャわけの分からないことを言ってやがるんだ」
暴徒たち(いや日本国民)は、十字架を、よっこらしょ、と立てました。両手、両足に釘をさされているだけなので、なかなか死ねません。それでも、五時間近く経ち夕暮れになると、ようやく、浅野浩二も、意識が薄れてきました。彼は天を仰ぎ見て、微かな声で、
「エリ、エリ、レマ、サバクタニ(わが神、わが神、どうして私を見捨てるのですか)」
と言い、息をひきとりました。その時、ピカッと稲妻が走り、ゴゴゴーと大地震が起きました。暴徒たち(いや日本国民)は、この異変に驚き、キャーと叫びながら、ゴルゴタの丘を去って行きました。

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