SLEとは、膠原病である。ポリクリ(臨床実習)の最初は、小児科だった。私には病棟患者では、SLEの女の子の症例があてがわれた。カルテに入院時の写真が貼ってあって、すごくかわいい。カルテは、SOAPで書かれてあった。SOAPとは、S(Subject、患者の訴え)O(Object、検査値とか、医者側から見た病状)A(assesment、評価)P(Plan、治療の計画)である。Sでは、「お腹が痛い」とか「こんな顔で学校、行ったら、絶対、笑われる」とか、が書いてあった。読んでいて涙が出てきた。何とかして、治してあげたいと思った。しかし私は一介の医学生である。仕方がないので、図書館で内科の本をたくさん借りてきて、読んだ。翌日、病棟に、それらの本を持って患者を見に行ったら、「すごーい」と病棟の子供たちが驚いていた。病棟の子供たちは、今度は、どんな医学生が来るかと、興味を持っているのである。私を見るなり、子供たちは、皆、「優しそう」と言った。症例のSLEの子がいない。おかしいなー、と思って、ベッドの名刹を見て、その子をみつけることが出来た。その子は、ステロイドの副作用で、顔が変わってしまっていた。可哀想すぎる。やりきれない。しかしステロイドをやめたら、腎不全を起こして死んでしまう。ので、仕方がない。病院の中にも、院内学級というのがあって、その子は、真面目で、一人でベッドにいる時にも、結構、勉強しているらしい。と、カルテに書いてあった。
それ以前に、第一内科(心臓、腎臓)の講義でSLEのことを話していたのが印象に残っている。
江戸時代の頃は、SLEは、原因不明の病気だった。原因がわからないから病気というより、おかしな現象だった。SLEには、色々な症状が出るのだが、精神症状として、統合失調症が出るケースもあるのである。つまり、わけのわからない、おかしな事を言うようになるケースもあるのである。そうすると親、親族は気が動転する。子供に狐がついた、と思ってしまう。SLEは、遺伝病ではないが、家族に、精神疾患の患者が出ると、あの家系は、精神疾患の家系だ、と他の人々に噂されるようになる。そうすると、その家系の他の子供も、結婚の相手がいなくなる。そのため、家族は、SLEの子が、いるということを何とか隠そうとする。外に出さず、土蔵に入れたりする。SLEは、光線過敏症があって、太陽の強い光を浴びると症状が悪化する。そして、その逆に、光を浴びないようにしていると、症状も軽減する。土蔵に入れることで、太陽の光を浴びなくなると、症状が軽減するのである。そうすると、とりついていた狐が去ったと言って、家族は喜び、土蔵から出す。そして外にも出す。しかし、太陽の光を浴びると、症状が悪くなるので、また、狐がついた、と言って、土蔵に押し込める。その繰り返しである。
それ以前に、第一内科(心臓、腎臓)の講義でSLEのことを話していたのが印象に残っている。
江戸時代の頃は、SLEは、原因不明の病気だった。原因がわからないから病気というより、おかしな現象だった。SLEには、色々な症状が出るのだが、精神症状として、統合失調症が出るケースもあるのである。つまり、わけのわからない、おかしな事を言うようになるケースもあるのである。そうすると親、親族は気が動転する。子供に狐がついた、と思ってしまう。SLEは、遺伝病ではないが、家族に、精神疾患の患者が出ると、あの家系は、精神疾患の家系だ、と他の人々に噂されるようになる。そうすると、その家系の他の子供も、結婚の相手がいなくなる。そのため、家族は、SLEの子が、いるということを何とか隠そうとする。外に出さず、土蔵に入れたりする。SLEは、光線過敏症があって、太陽の強い光を浴びると症状が悪化する。そして、その逆に、光を浴びないようにしていると、症状も軽減する。土蔵に入れることで、太陽の光を浴びなくなると、症状が軽減するのである。そうすると、とりついていた狐が去ったと言って、家族は喜び、土蔵から出す。そして外にも出す。しかし、太陽の光を浴びると、症状が悪くなるので、また、狐がついた、と言って、土蔵に押し込める。その繰り返しである。