小説家、反ワク医師、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、反ワク医師、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

涙療法

2014-01-25 22:03:40 | 医学・病気
過敏性腸症候群で腹痛に苦しんでいる時、悲しい映画、「クリスマス・ツリー」とか「二十四の瞳」とかを見て悲しい感情を起こすと、腹痛が一時的にせよ、なくなるのである。映画より、実際の体験での涙の方が、もっと効果的であることは、言うまでもない。

私は、大学四年で休学して、武蔵野中央病院の心療内科の大谷純先生にかかった時、涙がポロポロ流れて、止められなかった。絶対、治らないと思っていた腹の激痛が、ピタリと止まったのである。それ以外でも、大阪の豊中の心療内科の黒川医院の黒川先生(池見酉次郎先生の弟子)に会った時も、腹の激痛がピタリと止まった。

過敏性腸症候群は精神的ストレスによって引き起こされる。典型的なのは、ストレスによって下痢が起こる、である。(私の場合は、池見酉次郎と先生と同じ、便秘、腹痛型であるが)

なぜ悲しくなって涙が出ると、腸の痙攣がおさまるのか、それは、わからない。

しかし、過敏性腸症候群はつらい精神的ストレスによって引き起こされるのであるから、その逆もしかりで、良い精神的刺激が起こると大腸の痙攣がおさまる、という理屈であることは明らかである。

ただ、ミクロで見た場合、どういうメカニズムで、悲しい感情が腸の痙攣をおさえるのかは、わからない。

ここらへんのことは、医学に情熱のある、医学者が研究したら、面白いのではないか、と思う。

解明して、ちゃんとした論文にしたら博士号である。

(しかし現実には、研究熱心な医学者というのは、私を除いて、ほとんどいないのである)

それは、大学病院のポリクリでも、研修病院のベテラン医師も若手医師も、私は、数多くの医者を、見てきているが。勉強熱心な医者というのは、ゼロと言っても過言ではない。のである。彼らは、休み時間には、必ずテレビでサッカーの試合を見るのであって、休み時間に医学の勉強をしようと机に向かう医者は私一人だけしかいなかった。

物事の原理がわかると面白いと思うのだが・・・。

私は、感傷的、センチメンタリズムを嫌っているが、過敏性腸の腹痛の応急処置として、悲しい映画を見るのは、有効な治療法である。

もちろん私も、激痛がひどくなると、それをしている。

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生類憐みの令

2014-01-25 13:51:07 | 考察文
徳川5代将軍、綱吉の、生類憐みの令、であるが。これは、天下の悪法と人から言われているし、小学生でも、バカなことと笑うだろう。私も当然、バカげた令だと思う。

犬や動物(蚊まで)を殺した場合、人間を罰するなどとは、極めてバカげている。

しかしである。これも見方を変えてみると、一概にバカげているとは、言いにくい面もある。なぜなら、これは、綱吉が仏教の、生きとし生けるものの生命を重んずる、という思想を重視して、出した法令である。

法令というのは、推奨とは違う。

法令として出した以上、それを守らなかった者に、「守りましょうね」とか「守りなさい」とか、口で注意するだけでは、それは、道徳的な推奨であって、法令ではなくなってしまう。

法令として出した以上、その法を守らなかった者には、罪があると認定し、その罪に対して罰をしなくては、法令ではなくなってしまう。

それは、昔も今も変わらぬ普遍的な原理である。

現代でも、「老人をいたわりましょう」というのは、奨励であるから問題はないのであって、それを法令にして、「老人をいたわらなかった者は罰金一万円」としてしまったら、それは、世にも滑稽な天下の悪法になってしまう。

綱吉の、生類憐みの令は、それを推奨として出していたなら問題はなかったが、法令として出してしまった所に、行き過ぎの失敗があった。

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