かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 1の29

2020-06-02 17:07:16 | 短歌の鑑賞
    改訂版渡辺松男研究4【地下に還せり】(13年4月実施)
      『寒気氾濫』(1997年)12~
      参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、鹿取未放
        司会と記録:鹿取 未放(再構成版)


29 シベリアを父のいうとき樹は凍てて根は意志以下のすさまじき爪

 ★お父さん自身にシベリア抑留の体験があるのだろうか。そういったことを踏ま
  えて渡辺さんが自らの言葉にしたという感じがある。(鈴木) 
 ★人間自身もこういうところではむき出しの状態になるんでしょうね。極限状況
  の人間を樹に照らし合わせて歌っている。何か胸にぐーっと伝わってくる。
    (崎尾)
 ★「意思以下」が鋭いと思います。普通だったら「意思のごとき」とかするんじ
  ゃないでしょうかね。「地下に還せり」の一連は魅力的で、この人のお父さん
  像の作り方が好きです。(鹿取)
 ★本当に「意志以下」というところがすごい。すさまじさを出している。(曽我)
 ★ニーチェは「力への意志」と言っている。自然界全体を動かしているもの、根
  源的な動きというものをそう呼ぶ。まあその言葉が誤解されて権力への志向の
  ようにとられたりしているが。この歌の場合は単純に普通の意志と考えてよい
  と思うが。(鈴木)


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