サナギが膨らんでいた。
割れた、と思った瞬間、パリパリッと縦に亀裂が入り、蝶の辛子色の複眼が覗いた。蝶は白い二本の脚を突っ張らせて殻を押し広げ、項垂れるような形で収められていた頭を持ち上げると、下向きになっていた黒い触角を殻からそうっと引き抜いた。オレンジ色の肩のような翅の付け根が見える。肩からするっと落ちるように殻から抜け出し、抜け殻によじ上りながら、伸び切っていたストロー状の口吻をゼンマイばねのように巻き取った。
抜け殻を見ると、金や青に輝いていた突起は透明になっていた。
柳美里の『飼う人』より↑(圧巻の観察眼 蛹化から ツマグロヒョウモン♀羽化までの息をのむ描写) まさに飼う人でもある絵理子俳句とのシンクロ二シティである🐝
津川絵理子/初蝶やスカートのなか脚うごく
ツマグロヒョウモンの♀↑
津川絵理子/春愁やアンモナイトの耳飾
宣言が出ようが解除されようがそれは政治的なこと、いま自分の立ち位置は変えようがない。マスクしてセイムブレス・セイムウォーク、出来るだけ平常心でありたいものだ。