鎌倉道彦第一句集『伏流水』⭐️二十句選

2024-11-02 17:23:40 | インナーポエット

 

 

ヤマジノギク?…まさか…他人の空似のノコンギク↑ノコンギクには変異種も多いらしい 野菊という名の菊はないのだが 素人に緻密な判断などできない

 

 

鎌倉道彦氏の新刊句集をいただいた 長年陸奥で高校の数学教師をされながら生徒たちに俳句指導し 俳句甲子園に帯同されていたという あの東日本大震災に見舞われているが 飾らないまっすぐな詠みぶりに好感が持てた

 

 

 

卒業す教室の泥掻き出して

春愁やだらりと垂れし靴の紐

苛立ちて黒板叩くぼたんゆき

虎落笛愚直愚直といくたびも

 

流氷はまず眼裏に寄せて来る

震度五に家族集まるおぼろ月

水槽が並ぶ生物室緑夜

夕立の止みて戦火が匂いくる

 

蝦夷(えみし)の子蛍のごとき息をして

少年はいつも直線藤の蔓

賢治の手ごつごつとある冷夏かな

大福の餡のはみでる秋日和

地吹雪に抗う馬の濡れ睫毛

 

十月や阿弖流為の碑をまた撫でる

なんと早熟の子よ山繭の艶

秋風や髪をチョークの指ですく

 

眼球にこつんと目薬おちて冬

五月闇錠剤がまだ喉にある

夏の夜や誤嚥にむせる音のあり

みちのくのものみな眩し雪解水

 

 


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